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新たにセンターを作るときのテレフォニー設計

コールセンターの設計図「コールルーティング」を徹底解剖!~第2回:コールルーティングから見る組織設計~

2022年5月17日
コールルーティングについて考える上で、実際に現場で応対にあたる人材をどのように配置し、どのようなスキルを持たせるかは非常に大事です。なぜなら、コールセンターの稼働率や応対品質に直接影響するからです。いわばコールセンターの全体設計に関わる問題と言えます。そこで今回は、組織をどう設計していけばよいか、さらには拠点間の分担をどのように進めればよいか探っていきたいと思います。

「バーティカル型(特化型)」 と 「ホリゾンタル型(横断型)」

コールセンターに配置するオペレーターのスキルをどうセットするか。これは現場を回していく上で非常に重要な問題です。

300席のコールセンターで考えた場合、300人全員が高度なスキル(コアスキル)を持つべきか。コアスキルを持つのは100人で、残りの200人は基礎的なスキル(エントリースキル)でいいのか。
これに対する答えは、取り扱うサービスや業務内容、ミッションによって異なってきます。専門的な商材を扱うのであれば、知識のあるオペレーターが応対すべきでしょうし、簡単なアウトバウンドであれば新人のオペレーターでもいいでしょう。
また、品質を重視してコアスキルの人材ばかりをそろえると人件費が高くなりますし、エントリースキルだけだと品質が下がってクレームのリスクが上がります。

オペレーターのスキルを、専門分野に特化するタイプと幅広くカバーするタイプの2種類に分けた場合、仮に前者を「バーティカル型(特化型)」、後者を「ホリゾンタル型(横断型)」とします。実際の現場ではこの両者はどのような役割分担をするでしょうか? 家電の問い合わせ業務を例に見てみましょう。

家電のコールセンターの特徴として、修理の受付はテレビでも冷蔵庫でもエアコンでもすべての種類の家電に対応します(ホリゾンタル型)。しかし、製品の使い方の相談となると専門的な知識が必要になるので、テレビ専用、冷蔵庫専用、エアコン専用といった具合に問い合わせ先を分けます(バーティカル型)。このように業務内容によって必要となるスキルセットは異なってきます。
<スキルの分類イメージ>

内製か委託か、都心か地方か

次に組織づくりをする際の注意点をいくつか挙げてみます。

まず、コールセンター運営を内製(自社運営)で行うか委託するかによって、組織のあり方は違ってきます。
都内のセンターを内製で運営し、BCP対策として地方にも拠点を置き、そちらの運営は外部に委託するとします。この場合、内製のセンターでは直接雇用のオペレーターに一定の権限があって、自分の判断で応対できていたのが、委託にすることでオペレーターのスキルを整えなおすという作業が発生します。これまでオペレーターが体現していたその企業の文化を、外部に移植するわけですから、手厚い教育が必要になってきます。

組織づくりを考える時に、人材の採用面も考慮しておくとよいでしょう。というのも、採用には地域差があるからです。
都心部で人を採用する場合は、競合のコールセンターが多く人材が取り合いになる反面、経験があるオペレーターを採用しやすいという特徴があります。一方、地方では競合が減る分、コールセンターの数が少ないので経験者の採用がしづらいといった面があります。
センターを立ち上げて組織を編成するにあたって、上記のようなエリアごとの特色を知っておくと、どのようなスキルセットを設定すべきかを考える際の参考になるかもしれません。

もちろん運営コストだけを考えれば、地方拠点のほうが人件費や場所代は安くなります。ただ、東京に本社がある場合、連携という意味では都心で業務を行ったほうがいいという判断はあり得ます。そうなるとコストは地方よりも高くなりますが、本社との連携が密になって応対品質が向上する可能性はあります。
あるいは、簡単な業務でボリュームが多い案件をコストが安い地方で受けて、コストが高い都心では高度な応対が求められる作業を受けるといった振り分け方も、1つの選択肢かもしれませんね。
大切なのは運営コストと品質のバランスです。
<運営コストと品質のバランスが大切>

複数の拠点で業務を分担すると…

組織設計について考える時に、ほかの拠点と業務をどのように分担するかという観点も絡んできます。

例えば東京・北海道・福岡の3つの拠点を使い、首都圏のお客様は東京センター、首都圏以外の東日本は北海道センター、西日本は福岡センターの3拠点で分担し、それぞれの呼量が均等になるように割り振ります。ただ、このようにエリアごとに分担すると、繁閑差に対応しづらいというデメリットがあります。この3拠点を例に以下で説明します。

ある時、新商品告知のDMを一斉に配布します。東京から発送した場合、真っ先に届くのは首都圏エリアです。DMが届くと電話が鳴るので、東京センターの呼量が一気に増加し、最悪の場合はパンクしてしまいます。一方、それ以外の地域にはまだDMが届いていないので、残りの2拠点の稼働率は低い状態です。つまりある商品の販促を仕掛けた際に、地域によって呼量のピークにばらつきが生じます。その結果、エリアごとに生じる繁閑差をセンターごとに吸収することになるため、機会損失や稼働率の低下が発生してしまいます。

複数のコールセンター会社が共同で1つの案件を手がける場合にも同じことが起こり得ます。上の例では東京センターはA社、北海道センターはB社、福岡センターはC社といったイメージですね。

もっとも、エリアごとに担当拠点を分けることによるメリットもあります。その1つが担当エリアの地理が分かることです。大阪の「千里中央」と言われて、東京のオペレーターはすぐには理解できなくても、大阪のオペレーターであればどのあたりか目星が付くでしょう。場合によっては駅前の様子など細かなことまで知っている可能性もあります。そうなると応対がスムーズに進みやすいです。

先の例では東京センターがパンクする事例を挙げましたが、これを避ける方法として、エリアで分けるのではなく、コールの割合で拠点を分ける方法があります。

全体の呼量の4割を東京センター、3割を北海道センターと福岡センターが受け持つといった形です。コール割合で担当する拠点を分けることで、各拠点が連携して繁閑差に対応することも可能になります。
<3つの拠点でエリアごとに分担した際のメリットとデメリット>
このようにエリアや呼量割合で拠点同士の割り振りを決め、最適な組織づくりを行うこともコールルーティングにおいて必要になります。そう考えると、組織設計がカバーする領域もかなり広いと言えますね。

今回はコールルーティングを組織設計の観点から解説しました。次回は具体的な設計方法について紹介します。

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