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誰が為に戦うのか?~カスタマーサポートのジレンマ~

  • #Omnia LINK
  • #カスタマーサポート

HUMAN

toyojun

2023.12.20

皆さん、こんにちは。
プライベートの話になりますが、我が家は妻、長男(中学三年生)、長女(中学一年生)、愛犬に私を加えた5人家族となっています。そんな我が家は年功序列が一切なく、序列としては、「妻>愛犬>長男>長女>私」となっており、日々家庭内のことを切り盛りしてくれている妻は、我が家においては絶対的な存在となっています。

ヒエラルキーの最底辺にいる私ですから、家庭内では私の意見は全く通らず、子供たちに何かをお願いしても、妻がNOと言えば、それはNOになってしまいます。子供たちにとっては、食事を作ってくれたり、洗濯をしてくれる母親は大事なライフラインなので、母親の言う事は絶対なのです。我が家は共働きなので、子供たちに「休みの日くらい、洗濯ものを干したり、自分たちの食べた食器くらい洗ったら?」と言ったことがあるのですが、妻曰く「長男は受験生、長女は部活が忙しいので、やらなくてもいい」となり、子供たちはその言葉に従い(甘え)、家事を手伝ってくれません。

子供たち二人とも中学生ですし、家族という共同体において協力し合う事は本人たちの教育や経験の為に良いことと思って話をしたのですが、この辺りがなかなか伝わらないものですね。もしかすると、子供たちの中には意識的か無意識か別として、「母親は絶対」という思いがあるのかもしれません。尚、誤解無きよう申し上げますと、これでパワーバランスが取れている我が家は円満です。

「負のプライミング効果」がミスリードを生み出す

いきなり、哀愁漂う父親の話から始まってしまいましたが、我々が日々業務を行っている中でも、同じような事を感じる、考えるときがあります。

私の所属している部門では、Omnia LINKを導入頂いたお客様のお問合せを受けております。お問合せ内容には、即答できる軽微な内容から、詳細まで調査をしないと回答出来ないものまで千差万別です。前者については問題ないのですが、後者の時間が掛かる場合、お客様によっては当社の担当営業に状況確認の連絡を頂くケースもあります。担当営業としては自分が担当しているお客様からクレームが入っているわけですから、我々サポート部門に対して進捗状況の確認や、優先度を上げて対応するよう指示、時には「対応が遅い」とお叱りを受けるときもあります。

人というのは、このように「怒られた」というネガティブな記憶は根深く残るようで、サポート部門メンバーの中には、「営業に怒られないようにすること」が日々の目標になってしまうというような場合もあります。本来、我々カスタマーサポート部門は、名前の通り「お客様をサポートすること」がミッションでありますが、このような“負のプライミング効果”が生れると“ミスリード”してしまい、お客様に多大なご迷惑をお掛けするケースにもなりかねません。

「misread」からくる「mislead」

“ミスリード”と一言でいっても、2つの意味合いがあります。それが“misread”と“mislead”です。それぞれの意味は以下の通りです。


前述のように、本来の目的である「お客様のサポート」よりも、「担当営業に怒られないようにすること」を優先してしまうことにより、情報を読み誤り(misread)、間違った解決策をお客様にご案内してしまう(mislead)場合があります。そうなると、解決時間も延びてしまい、お客様からは担当営業にクレームが入り、お客様からも担当営業からも怒られてしまうという負のスパイラルに陥ります。

このようなミスリードを防ぐために、我々サポート部門では管理手法と指導手法の工夫をしています。

ミスリードしないための管理手法

当社のOmnia LINKサポート部門には一次対応を行うコールセンターがあります。Omnia LINKの操作・設定方法等の軽微なお問合せについては、このコールセンターにて対応をしております。それ以外不具合等が発生した場合には、コールセンターから我々のチームへエスカレーションされてきます。

エスカレーションを行う際に重要となるのが、お客様先で発生している事象を的確にヒアリングすることです。コールセンターに電話を架けてくるということは、お客様ご自身が焦っていらっしゃる場合もございますので、何をヒアリングするのかによって、後段の対応が大きく変わってきます。

そこで、発生している事象は「一部なのか、全体なのか?」、「継続しているのか?」、「発生している対象端末はどれなのか?」など出来る限り正確にヒアリングできるようトークスクリプトとして纏めています。これにより誰が電話を受けたとしても正確に情報をヒアリングすることが可能となっています。

問い合わせ内容については、弊社謹製CRM「bowline(ボウライン)」を用いて、コンタクト履歴を管理することで、フロントオフィスとバックオフィスで進捗の共有を行うことが容易になっています。また、過去の問い合わせ内容についてはFAQ化することによりナレッジの共有をしています。より正確なヒアリング、過去のナレッジを共有する仕組みによりミスリードを極力減らし、早期解決に導く仕組みを作っています。

正しくゴールへ導くための指導

お問合せの中には、前述の通り早期解決が出来るものもあれば、調査に時間を要するものもあります。長期化するほど、担当者はプレッシャーから焦り、ミスリードを引き起こしてしまいます。それを防ぐため、マネージャーが指導にちょっとした工夫をしています。

まずは「お客様を放置しない」ことです。字で書くと当たり前の事ですが、対応が長期化すると、担当者としては“明確な回答を用意できていない“ので、お客様に報告出来ないという状態になってしまいます。一方、お客様からすると問い合わせをしているのに連絡が無いと、調査が進んでいるのかどうなのかもわからず、フラストレーションだけが溜まっていき、結果としては顧客満足度の低下にも繋がりかねません。

そこで、マネージャーは問い合わせを受け担当者をアサインした時点で、回答予定日を設定し、この回答予定日を越えた問い合わせについては、担当者と状況整理をしながらお客様への中間報告を行うように指導しています。お待たせしているお客様への中間報告となりますので、その内容がとても重要です。正しい中間報告を行うために、マネージャーは担当者と一緒に状況整理を行っています。

担当者と状況整理にはロジカルシンキングを用いて「論理的に棚卸」をしています。
●元々の目的=問い合わせ内容は何なのか?
●どのような確認、検証を以て目的を達成するのか?
●その手法を検討した理由はなぜなのか?
●その手法では漏れなくダブりなく網羅できているのか?
●導き出される結論は、元々の目的を満たしているのか?

問題解決までに時間が掛かれば、掛かるほど目的を見失いがちになりますので、この棚卸をしながら間違っていれば軌道修正を行い進めています。時には工数が増える場合もありますが、ロジックさえしっかりと組み立てられていれば、目的を見失わず結果としては最短ルートで解決に導くことも出来る場合があります。

人というのは誰でも、目の前にいる人・物事などから強い影響を受け、本来の目的を見失いがちになります。これを“仕方のないこと”と諦めてしまうと、我々カスタマーサポート部門の品質は向上しませんし、顧客満足度も低下します。発生する解決すべき課題について「誰が為に戦うのか?」、カスタマーサポート部門は常に「お客様の為」が最大の目的・目標であることを決して忘れてはいけません。そのためにも今回書かせて頂いたような、仕組みや指導方法などの工夫が必要となります。

日々、カスタマーサポート部門で問い合わせ対応をしていると、これ以外にも色々なジレンマがあります。この辺りについてはまた別の機会にお話させて頂ければと思います。

ビーウィズが提供するクラウドコンタクトセンターシステム(クラウドPBX)「Omnia LINK(オムニアリンク)」は、コールセンター事業社であるビーウィズの現場ノウハウから生まれたコールセンターシステムです。

高精度な音声認識による「リアルタイムテキスト化」をはじめ、コールセンター向けの数々の先進機能を搭載しており、オペレーターとSVの業務を大幅に効率化し、コールセンターの生産性と品質の向上、在宅コールセンターの推進など様々な効果をもたらす、使いやすさにこだわったシステムです。

Omnia LINK(オムニアリンク)に関する詳しい資料は、【こちら】からご覧いただけます。


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