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伝統の“カバン持ち”スタイルから脱却せよ!1対多の師弟関係を作る仕組み

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HUMAN

toyojun

2023.08.16

こんにちは。
突然ですが、みなさんは好きな食べ物ってありますか?
私は、ラーメンが大好きで週末になると食べ歩きをしています。近所にとてもおいしい味噌ラーメンのお店があって、15年くらい通っていたのですが残念なことに先日閉店してしまいました。当時は70代くらいの夫婦で切り盛りしており、“ラーメン一筋”という雰囲気の真面目そうなご主人が、長年かけて作り上げたこだわりの味噌ラーメンは正に“至極の一杯”という感じでした。

ただ、ここ数年はお歳を召したからか、体力のせいなのか、代変わりをして若い方が厨房に立っていました。
2年前くらいに行ったとき、「あれっ、何か味が変わったかなぁ?」という印象を受けました。見た目は同じ味噌ラーメンなのですが、何ていうか“味に深みが無い”というか決して美味しくないわけではないが、“また食べに来たい”と思う味ではなくっていました。きっと私と同じような印象を持ったお客さんも多かったのでしょう、先代の味を守れなかったお店は客足が減り、先日閉店してしまいました。コロナ禍の影響もあったかと思うのですが、おそらくこの部分は大きかったのではないでしょうか。

さて、話は変わりますが、「Omnia LINKが売れている」から1年、更に多くのお客様にOmnia LINKをご導入頂き、忙しい日々を過ごしています。・・・と前回(2023年4投稿)も同じような話を書かせて頂きましたが、お陰様で最近は更に忙しい毎日を過ごしています。

Omnia LINKを皆様にご提供して7年目に突入しておりますが、当初は“気合と根性”でなんとか乗り切ってきましたが、流石にそれも限界を迎え、今期は我々デリバリー&サポート部門も沢山のメンバーを迎えることとなりました。どんなに優秀な方が入ってきたとしても、さすがにゼロ日で即戦力という訳にはいかず、ある程度の育成期間が必要になります。この期間を如何にして短くするかが1つの課題となります。

師弟関係による人材育成の利点と弱点

少し前、まだまだメンバーが数名しかいなかった頃は、1対1の“師弟関係”で育成を行っていました。内容としてはOJTが中心で、簡単なオリエンテーションを行った後はすぐにお客様との打ち合わせに同席、作業に同行してもらっていました。お客様とのミーティングの進め方、交渉の仕方、作業の手順など、自分の背中を見せて理解してもらい、その中で分からなことが出てくれば、都度潰していくという“カバン持ち”スタイル(注:実際にカバンは持たせたりはしていません)を行っていました。

「百聞は一見に如かず」、「経験に勝る知識なし」、「論より証拠」など色々なことわざがありますが、まさに経験に勝る知識はないと思い、しばらくこの手法で育成を行っていました。
この育成方法の一番のメリットは、教える側が持っている知識や経験、ノウハウなどを余すところなく、引き継げるということです。じっくりと時間をかけて育てていくことにより、自分と肩を並べるような人材に育ってくれました。

上述の通り、“まだまだメンバーが数名しかいなかった頃”は、この師弟関係での育成をやっていましたが、私自身この育成方法には課題と限界があると思い、今は手法を変えています。

1つ目は、大勢のメンバーの早期育成には向かないということ。上述通り今期から沢山のメンバーに合流してもらいましたが、全員に対して1対1の師弟関係を作るのは現実的に無理があります。組織を急拡大させていく中での増員ですので、如何に早く立ち上げるかが最重要課題となります。

2つ目は、伝授する情報、ノウハウに少なからず抜け落ちる部分があるということ。教える側は自分の知識、経験を全て伝えようとしますが、教える側、教わる側ともにどうしても抜け落ちる部分は少なからずあります。コピー機で書類をコピーして、次にコピーした書類を元として再度コピー・・・これを続けていくと書類は徐々に擦れて不明瞭になっていくかと思います。同じように“一子相伝”で教育をしていくと、徐々に情報は抜け落ちてしまいます。

3つ目は、情報に偏りが出てしまうことです。教える側の知識、常識に誤りがある場合もあれば、時間経過とともに変わってきたこともあります。誤った情報、更新されるべき情報をそのまま伝授してしまうとオペレーションミスも生まれますし、間違った情報をお客様にお伝えしてしまう可能性もあります。

もちろん、師弟関係にはプロフェッショナルの技術を間近で見て・感じて、しっかりと習得できるという利点もあります。今もこの手法で受け継がれている業界もありますので、全てを否定するわけではなく、今回のような多くのメンバーを早期で立ち上げるためには、別の手法を考える必要がありました。
そこで我々が取り組んだのが、「スキルマップ」を作成する事でした。

スキルマップによる人材育成の可視化と標準化

「スキルマップ」とは、その業務に対して必要となるスキルを明確化し、スキル習得に必要なコンテンツの準備、必要な期間の算出などを行い、習熟度を明確にするためのツールです。

さて、いざスキルマップに書き出そうとするとこれがなかなか難しく、私の部門では、Omnia LINKをお客様へご提供するために「要件整理」、「設計」、「構築」、「導入」、「導入後のサポート」を実施しているのですが、各フェーズの行程を事細かに洗い出さなければなりません。長い間掛けて習得してきた知識、ノウハウはすべて頭の中にあり、この整理とアウトプット(文字化)することに大変苦労しました。

更に、差分化したタスクに対して、そのタスクを実行するために必要なスキルとは何かを明確にしていきました。ここも“やる気”、“気合”、“根性”など抽象的・精神論的な要素は排除し、より具体的なスキルに落とし込みを行いました。

例えば、コールセンターシステムの要件整理をするためには、個社ごとの差異はあるものの、コールセンターの業務・運営に関して理解している必要があります。またコールフロー設計を行うためには、チャート図を読み解く・書き起こすためのプログラミング知識も必要となってきます。

必要となるスキルが明確になったら、あとは“どうしたら”、“何があれば”そのスキルを習得・向上させることができるのかの整理です。特に“何があれば”の部分は苦労しまして、以前「マニュアルは読んでもらえなければ意味がない」で書かせて頂いたように昨年度より、Omnia LINKをご利用のお客様向けマニュアルの整備を進めているのですが、社内向けのマニュアルについては後回しになっており全く整備できていない状態でした。

自分だけが判る資料ではなく、その資料を読み、理解することで業務遂行に必要なスキルが身に着くようなものになってないと意味がないので、自分にとっての“当たり前”を無くし誰でもわかるような作り方を心がけました。また、マニュアルのようなドキュメント整備以外にも社内勉強会の開催、推薦図書等の洗い出しなども行いました。

このようにスキルマップで整理を行うことで、人材採用も効率的に行えるようになりました。
今、どのフェーズに人的リソースが足りていないのか、どのようなスキルを持った人材を採用すればよいのか、足りない部分はどのように補っていけばよいのかが明確になりました。
また、“出来ること”、“出来ていないこと”、“出来るようになって欲しいこと”が明確になりますので、担当者の成長度合いを計る、振り返るのにもスキルマップはとても役に立ちます。

このスキルマップを活用し人材育成を可視化・標準化することにより、我々の部門ではスタッフの育成期間を短縮することが出来ていますが、マンツーマンの師弟関係での育成が決して悪いわけではなく、業界・職種・文化などによっては、この手法が適している場合も沢山あります。
人材育成に限らずですが課題解決の手法は千差万別で、今回我々の部門ではスキルマップというフレームワークを活用して効率化を行った結果、期待できる効果が得られたというものです。

ただ、個人的には冒頭ご紹介したラーメン屋さんでも、ご主人が抜け漏れなく引き継げる方法で人材育成をしてくれていたら、今もあの味を楽しめたのだと思うと少し残念ではあります。

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