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家事だけじゃない!やってもやっても終わらないコールセンターSVの忙しさの原因は「名もなきタスク」にあった!

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HUMAN

sasaki

2023.07.19

2019年に話題になったやってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。をご存知でしょうか。「バイトするなら、タウンワーク」などの人気CMを手掛けたコピーライター・梅田悟司さんが育休中の体験を元に執筆し、ベストセラーになった書籍です。
無限にある「名もなき家事」に1つずつ名前を付けて言語化。Twitterでは累計PV1200万を超え、書籍ではより共感を得られた70個の「名もなき家事」を1日の流れに沿って紹介しています。例えばこんな感じ。。。

・タッパーのふたと容器を正しく組み合わせる「タッパー神経衰弱」
・洗った食器を、水滴の有無を確認しながら所定の位置に戻す「リ・ポジショニング」
・ごみ袋を閉めた後に新たなごみが出て再び開ける「開閉地獄」

家事らしい家事をやった事のない私でも、「あー、あるある」と思わずうなずきたくなるものもあれば、「そんな家事もあったのか」とハッと気づかされるものばかり。SNSを中心に「よくぞ言ってくれた!」と共感の声が渦巻いて、全国の主婦&主夫の圧倒的な支持を得たのもわかりました。

家事と似ているコールセンターSVのタスク

でも、本を読んでから改めて「家事」について考えてみると、どこか既視感があります。読めば読むほど、知れば知るほど、実際に体験している気分になってきました。しかも、私にとってかなり身近で、相当なじみ深い。そう、「コールセンターのスーパーバイザー(SV)のタスク」にどこか似てないでしょうか?

家事が掃除、洗濯、買い物、料理など大きなカテゴリの隙間を埋める「名もなき家事」があるように、コールセンターSVのタスクも、オペレーターのシフト管理、手上げ対応、ブースコントロール、上席対応、報告書の作成、研修講師などの大きなカテゴリの隙間に「名もなきタスク」がびっしりと詰まっています。そして「名もなき家事」がそうであるように、「名もなきタスク」こそが、SVの大切な時間をじわじわと奪って、忙しくさせる大きな要因だったりします。

「今日はこのタスクを終わらせよう」と意気込んで出社したものの、何かに追われて気が付いたらもう18時過ぎ。「一体私は今日何してたっけ?」そう思って振り返ってみたものの、何をしてたか思い出せない。記憶喪失になったかのような体験はありませんか?そう!これが「名もなきタスク」の仕業なのです。

この状況をどうにか打破したい。そのためには、まず名前が付いていない小さなタスクを棚卸して、言葉にする事が、「追われている何か」をあぶり出し、仕事をスムーズに進める第一歩になるんじゃないか。そう思い、家事に倣ってコールセンターSVの名もなきタスクを少しだけ言語化してみました。

コールセンターSVの名もなきタスクの言語化

・朝のラジオ体操(PCの電源を入れる)
業務開始前のコールセンターに出勤してまず最初に何をするか。多少の順番は違えど、業務で使用するパソコンの電源を入れる作業は必ず行うのではないでしょうか。
数台であれば造作もないですが、30席くらいだと辛くなってきて、50席~100席の大規模センターになるとちょっとした運動。数人がかりの作業です。それはまるで朝のラジオ体操さながら。

移動しながら1台1台ボタンを押して、全台起ち上った頃にはじんわりと汗が出てきます。「出勤してくるオペレーターさんに自分が使うPCを起ち上げてもらえば楽なのに」という声もあるでしょう。
でも業務開始ギリギリに出勤して、PCを起動している間に朝礼が始まってしまい、大事な周知があやふやなまま電話を取る事になったり、PCを起動したらWindowsのアップデートが始まって、終わらないうちに一本目の電話が入ってくる、、、なんてことも。

ハードな運動の前に準備運動するのと一緒。朝のラジオ体操にはウォーミングアップ、下準備という意味があるのです。

・ひとりチケットぴあ(オペレーターの欠勤連絡受付)
オペレーターさんの欠勤連絡を受ける事もコールセンターSVには避けては通れないタスクの一つ。対応する庶務担当者がいるセンターもあれば、SVで受け付けているというセンターも多いのではないでしょうか。

仮に100席のセンターで5%が欠勤したとすれば5人。200席のセンターなら10人からの電話を受け付ける事になります。しかも電話してくるタイミングはだいたい一緒。センターのオープン準備でバタついている時に欠勤連絡を受け付けていたら、電話中にもう1本、さらに1本と電話のベルが鳴っていく。

まるで人気アーティストのチケット予約です。私は欠勤連絡の多い日は「今日のチケットは人気あるな」と脳内で自分をチケットぴあに置き換えて心を穏やかに保っていました。でも、この欠勤連絡受付がある事をあらかじめ想定しておかないと、電話を受ける人が誰もおらず、朝礼中コール音がセンター中に響き渡るなんてことも。。。

・鍵のレスキュー110番(ロッカー開錠)
パソコンを起ち上げて欠勤連絡も受け付けて、朝礼周知も終わってホッとしたのも束の間。オペレーターさんから「ロッカーのカギが開かなくなって。。。」と申し訳なさそうに相談された事はSVなら1度はあるでしょう。コールセンターは基本的に私物の持ち込み禁止。

荷物をロッカーにしまって暗証番号を設定して施錠して入室するコールセンターが多いですが、暗証番号を失念してしまい、ロッカーが開かなくなったという問合せはどうしても定期的に発生します。そうなった時は鍵のレスキュー110番の出動。オペレーターさんと一緒にロッカーに行って、中の荷物を確認した上で開錠するという作業を行います。さらに何時何分に誰がどのロッカーを開錠したという管理記録も記入。一連の作業はなんだかんだで結構時間を取られます。

それどころか、「どこのロッカーを使ったか忘れてしまったんですけど。。。」と言われた時はお先真っ暗。何十台、何百台あるロッカーからそのオペレーターさんが使用したロッカーを見つけ出す宝探しの旅が始まります。

・エンドレスの湯加減ラリー(空調の管理)
コールセンターの多くは数十席~数百席が収まる大きな部屋の中で業務を行います。部屋の中には仕切りや壁がないセンターがほとんどで、オペレーターが座る席や区画によっては冷暖房が効き過ぎているという声がよく寄せられます。

そんな声を受けて空調を弱めたのも束の間、今度は別の席に座っているオペレーターさんから「暑いから空調を強めてほしい」という要望が。。。急いで空調を強めると別の席の方から「寒い」と言われてしまい、対応するSVはてんやわんや。絶妙の湯加減を目指してエンドレスのラリーが続きます。

それでもどうしても寒いという方にはブランケットを貸し出したり、場合によっては席を移動してもらったり… あの手この手で対応しています。

こんなペースで名前を付けていくと夜も明けそうなので一旦止めておきますが、いざ書き出してみると名もなきタスクのオンパレード。その他にも。。。

・センターオープン前にラテラルを解錠して備品や資料を並べる
・センターに入室するためのIDカードを忘れたオペレーターにテンポラリーカードを貸し出す
・コピー機の紙詰まり、トナー切れの対応
・ボールペンやマーカー等備品の補充
・不要な紙類のシュレッダー
・パソコンの不調対応
・連絡のない未出勤者への電話連絡
・ヘッドセットのスポンジ交換
・オペレーターの落とし物を発見した時の周知
・オペレーターの落とし物の捜索
・自販機からお釣りが出てこない、商品が出てこない時の一次対応
・センタークローズ時に備品をラテラルに格納する
・備品を格納したラテラル等の施錠
・パソコンのシャットダウン漏れがないか全台確認
・コールマスター(電話機)にログアウト漏れがないか確認

などなど。毎日発生するものから、突発的に発生するまで多種多様。さすがにここまで「名もなきタスク」が積み重なれば、あっという間に時間が経って記憶をなくすことだってありますよ。私たちコールセンターSVが追われてきた「何か」がなんとなくわかってきました。

名もなくタスクにどう対応していくか

さて、この蓄積された「名もなきタスク」にどう対応していくか。もちろん中にはデジタル化して手作業から自動化出来るものや、なくすことが出来るものもあるでしょう。でも名もなきタスクは人間臭くてデジタルに置き換えにくいものが多いのもまた事実です。誰しもロッカーの暗証番号を忘れる事はあるし、空調が寒かったり、暑かったりする事もありますもん。

SVが自力で対応するとなると、うわっと身構えるかもしれません。でもタスクに名前を付けて、可視化しただけで、実は負担の半分くらいは軽減されていると言ってもいいでしょう。人間、予期していないアクシデントやトラブルが起こるとストレスを感じてドギマギしてしまうもの。でも、事前に「こういうタスクがある」「こういう事が起こり得る」と覚悟と準備をしておけば、意外なほど冷静に対応出来ます。テレビゲームの世界でも「ここで大砲が飛んでくるかも」「次の床を踏んだら突然沈むかも」と予期しておくことで、無事にクリア出来た経験があるのではないでしょうか。あれと一緒。要は起こりえるタスクやリスクを事前に把握しておくことが大事です。

欠かす事が出来ないタスクの共有

そして欠かす事が出来ないのは、名前を付けたタスクを共有する事。この手の「名もなきタスク」はコールセンターの中に必ず1人はいる「気が利くSV」「縁の下の力持ち的なSV」に集中しがちです。1人のSVがいなくなった事でなんだか妙に忙しくなった。。。そんな経験ありませんか?

後任のSVも入って引継ぎも万全にしたはずなのにどうにもこうにも忙しい。それは1人のSVがこなしてくれていた「名もなきタスク」が一気に噴き出したからというのはよくある話です。

だってタスクに名前が付いていないから引継ぐ項目にも入ってないし、まさかそんなタスクをやっていたなんて周りのSVは気に留めていないわけです。いなくなった時に初めてわかるありがたさ。「お母さんが家を留守にしたら醤油がどこにあるかもわからない」というお父さんのボヤキは家庭だけで起こるのではありません。コールセンターでも十分に起こります。

そんな悪夢を見ないためにも全体共有。言語化されたタスクをSVなら誰でもわかるようにリストアップしておいて損はありません。これが出来ているセンターは、かゆいところにも手が届いて安定運営出来ているし、新規のコールセンターを新人SV中心に起ち上げる時は、道しるべが出来て、事故や炎上を未然に防ぐ事が出来ています。

皆さんの職場にも「名もなきタスク」はないか。ぜひミーティングで少しだけ時間を取ってブレストしてみてください。コールセンターあるあるでひと盛り上がりしながら、今まで見えていなかった忙しさの原因があぶり出され、きっと日々の仕事が少し楽になるはずです。

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