私は昔から習い事が大好きです。
コロナ禍でオンラインになったもの、ならないもの様々ありますが、料理教室は引き続き今もオンラインで受講しています。もともとこの料理教室は、料理を作るのが楽しいというよりも、どちらかというと、その後おいしい料理が食べたいという気持ちで通っていました。
ですので、お金をかけて料理を習っている割に、復習をすることも少なく上達しないため、決して料理が得意だと言えないところが残念なポイントです。
リアルな教室では、実際の食材や調理方法を直接見て学べ、食べる感動まで味わうことができます。わからないことをその場で質問したり、絶妙な塩加減や焼き色具合等、微妙なニュアンスのアドバイスを受けることもできる利点があります。オンラインに切り替わってからは、残念ながら、直に目で見て学び、楽しむ時間ではなくなってしまいました。
今は、携帯画面越しでレッスンを受けているのですが、気軽な生徒の皆さん同士のコメントを楽しみながら受講しています。テレビ番組でよくある「はい、15分経ちました」といった差し替えの工程もあるので、一緒に動画を見ながら料理をつくるのは難しく、あらかじめ手元にあるレシピにポイントをメモしながら学びます。
当たり前ですが、オンラインレッスンでは出来上がった料理をいただくことができません。料理を作るのではなく食べるのが楽しみな私が、オンラインレッスンを受講し続けていることを不思議に思うかもしれませんが、それには理由があります。
先生の工夫とオリジナリティが素晴らしいのです。
この日のレッスンメニューは、ハヤシライス。
あめ色玉ねぎを作るなど一(いち)からだとかなり手間がかかるだけでなく難しい工程があります。
薄力粉とバターを焦がして作るブラウンソースの工程では、ブラウンルウの焦がし具合がポイントになるのですが、その色をできる限り正確に伝えるための工夫に感動しました。
今や誰もがウェブで検索できるカラーチャートの番号で、出来上がりのタイミングを教えてくださったのです。
さっそく私も、カラーチャートを調べて、同じ色になるように作ってみました。
これにより、多くの生徒の皆さんが、おいしいハヤシライスにたどり着く率が高まるのだと思います。
もれなく私もおいしいハヤシライスを作ることに成功しました!
これまで料理の色をカラーチャートで伝えた先生がいたでしょうか。
生徒の皆さんの満足度や継続率の高さは、この正しく、またわかりやすく伝えるための工夫と努力にあるのだと思います。
先生の伝える力と工夫はすさまじく、他にも私の“おいしい料理が食べたい”が実現できない代わりに、先生ご自身がアツアツのお料理を飛び切りおいしそうに食べてその感想を言ってくださるので、おいしい感覚まで味わえて幸せな気持ちになるのです。
その場でおいしい料理をいただくという私の最大の重要ポイントが無くても、生徒で居続けてしまっている理由は、まさにここにあります。
「シャンパンゴールド」ってどんな色?
さて、突然ですが、皆さまは「シャンパンゴールド」と聞いて、どんな色を思い浮かべますか?
パッとイメージして、それを上手に伝えられる人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
私は正直、色はなんとなく思い描いたものの、「ゴールドじゃない... それよりはちょっと柔らかい感じ...」とうまく言葉にできませんでした。
販売力を磨くための研修のロールプレイでの出来事です。
製品のお買い換えをご検討されている高齢のお客様を想定したロールプレイだったのですが、お客様から「シャンパンゴールドってどんな色ですか?」と質問がありました。
私にとっては全く聞いたことのない色ではありませんが、ご高齢のお客様の中には馴染みがなく、ご存じない方も多いと思います。
その時にふと、製品の実物を手にできない電話応対での色のご案内はかなり難しいのではと思いました。
もしかすると、日々色味のご案内をしている化粧品やファッションのセンターの皆さまからしたら、今更と思われますね。
今回のお話は、電話応対での色をご案内する時の工夫についてです。
人によるイメージの差
研修の後、シャンパンゴールドの説明について、もう少し考えてみました。
いきついた私のイメージとぴったりと合うのは、「品のある金色」です。
きっと、しっくりと来る方や、ピンと来ない方まで様々ではないでしょうか。
実際にまわりのメンバーに「シャンパンゴールドってどんな色?」と、同じ質問をしてみたところ、いろんな回答がありました。
「金色よりちょっとくすんでいる感じ」
「金色と銀色の間くらいの色」
「ギラギラ感が薄い金色」
「高級感がある金色」
私の表現と一致した人はおらず、ちょっとずつニュアンスが違うのです。
更に、実際に家からシャンパンゴールドだと思う製品を持ってきてもらったところ、実際の色でも差が出ました。
みんな、なんとなくいろんなゴールド感のあるものを持ってきてくれたのですが、やはりそれぞれ色が違うのです。
最も多かったのは、携帯電話のカラーでした。
実際にその携帯電話の正式なカラー名称を調べたところ「シャンパン」の文字はなく、ただの「ゴールド」の表記でした。
ある日、新しいジャケットを着用してきたところ、上司から「これこそシャンパンゴールドじゃない?」と言われましたが、私の中では確かに光沢感はあるものの「ベージュ」だと思っていたので、大変驚いたというエピソードもあります。
色の名前から浮かべるイメージは、人それぞれで少しずつ異なることを理解した上でご案内しなければなりません。
最初のご高齢のお客様の例ではどうでしょうか。お客様はおそらく「シャンパン」の色のイメージが付いていません。この場合は、まず色のイメージを持っていただかなければなりません。
流行りのチャットGPTにも聞いてみた
最近は、気軽にAIにも聞いてみることができる時代です。私ももれなく活用したりしなかったり、楽しみながら使っています。さっそく「シャンパンゴールドってどんな色ですか?」と聞いてみました。
「シャンパンゴールドは、明るめの黄色系の色で、シャンパンの色合いに近いとされています。金色と黄色が混ざったような色のイメージです。華やかで高級感のある色合いとして広く利用されています。」との回答でした。
更に、シャンパンの色がイメージできない高齢者でも伝わるように教えてと聞いてみると、「シャンパンゴールドの色は、茶色がかった黄色で、おしゃれな感じのする色です。また、キラキラとした金属的な輝きもあるので、高級感や華やかさも感じられます」との回答でした。
「おしゃれ」「キラキラ」「高級感」・・・そんなニュアンスが伝わる言葉の並びに、思わずフムフムと納得させられそうになったものの、私の中でのシャンパンゴールドに「黄色」の色味はむしろ全く感じられず、さらに「茶色がかった黄色」で、これは違うなーという気持ちになりました。
お客様応対でできる工夫
これらのことから言えるのは、カラーのイメージが付いていないお客様には、まず言葉で色のおおまかなニュアンスをお伝えし、既にイメージをお持ちのお客様には実際の製品とお客様のイメージとのギャップを埋めるための工夫が必要だということです。
一番良いのは、カラーチャートにかわるような誰もがイメージできる揺るぎないたとえがあることですが、たぶんシャンパンゴールドにはありません。
例えば、国旗のカラーなど、誰もがあの色はこんな色とイメージできるのであればよいのですが、そうでない場合は、お客様がお持ちの製品との比較やお客様のお好みの色を聞いてみるなどの工夫ができそうです。
お客様の想像や感性に委ねすぎず、客観的な情報を織り交ぜながら色合いを伝える必要があります。
「ピンクゴールド」
「パールホワイト」
「ピュアホワイト」
説明が難しそうなカラーは、まだまだあります。
実際の製品を目にする私たちだからこそ、お客様にイメージが違うとがっかりさせることが無いよう、ご案内していきたいものです。
どんどん増えるカラーバリエーション
色の名前はどんどん増えているようで、今や、ニュアンスカラーと呼ばれる、複数の色味が混ざったような曖昧な中間色が出ています。
「くすみカラー」ともいわれる色です。
「グレージュ」とか、「ピンクベージュ」「エクリュ」など様々ありすぎて、名前からイメージを想像することすら難しくなっているように思います。
こんな時は、どんな色ですというニュアンスをもとに、お客様との会話でイメージを合わせ、お客様の好みに合ったものを魅力的に感じていただけるといいなと思います。
応対はどんどん難しくなりそうです。
なかなか明確な答えを出せないお話ですが、私自身もまた、難しくしすぎずシンプルにお客様へ伝える工夫や、伝え方の工夫の引き出しを増やしていきたいと考えます。
では、最後に私が感動したブラウンルウの色について、おいしそうな雰囲気を皆さまにお伝えすべく、頑張ってご説明します。
カラー番号が言えたら良いのですが企業秘密だと思うので、「おいしいブラウンルウは、テカッとしたつやがあって、香ばしく感じるような色です。濃い目の茶色で栗の皮の色です。」
・・・・・まだまだ私には鍛錬が必要なようです。。
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