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AI時代の応対モニタリングは、人と機械のマリアージュ

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sato

2021.03.17

モニタリング自動化って「本当にやっているの?」と聞かれます。
今回は、モニタリング自動化のイマについてお話しします。

これまで、コールセンターの応対の良し悪しをチェックするモニタリングは、1件ずつ音声を聴いて評価してきました。当社のモニタリングは16項目あり、かなりの時間がかかります。(項目は、「世の中の満足は、品質管理で出来ている」をご覧ください。)


モニタリングの手順は、以下のような流れです。

  1. まず、1回聴いて、応対全体の印象を把握
  2. 次に、応対の細かい部分を確認しながら評価
  3. 最後に、聞き逃した部分や、全体に漏れが無いかを再確認

例えば、5分の短めの通話でも、3回応対を聴きなおしますので、少なくとも15分はかかります。合わせてそれぞれの項目及び、全体を通しての良い点、改善点をしっかりと書きます。

そのため、誰よりも多くの応対をこれまで聴いてきたトップモニタリスト(=モニタリングする人)でも、1本平均30分、新人モニタリストで1時間~1時間半の時間を要します。

このように、多くの工数がかかるモニタリングフィードバックは、大半のセンターにおいてせいぜいオペレーターさん1名に対して、月に1本、多くても2本程度に留まっているのが現状です。

モニタリング自動化では、オペレーターとお客様それぞれの応対を、テキスト化したデータを用いて評価します。
人が行うと、このようにものすごく時間がかかることも、機械ならば疲れることはありません。だから、何十件何百件の応対を一瞬にして評価することができるのです。

また、人でのモニタリングでは1~2本のサンプリング評価に留まりますが、モニタリングを自動化することで、オペレーターさんの月間応対件数が100本でも1000本でも、その“全件”を対象として評価することができます。サンプル数が増えることで、より精緻な評価をすることができます。

これもモニタリング自動化の大きな魅力の一つです。

モニタリング自動化の評価項目

モニタリング自動化の項目数と評価方法の一部をご紹介します。

当社では人のモニタリング評価は16項目で行っていますが、モニタリング自動化では、全部で11項目にしています。人のモニタリングよりも項目数を減らしていますが、応対の基礎と言える項目は網羅しています。

モニタリングを自動化するにあたり、想像とは違う結果が出て落選した項目もあります。こちらは、以前現場ドリブンで書きましたので、ぜひご覧ください。


今日は、モニタリング自動化で評価できる項目の一部をご紹介します。

①    オープニング名乗り
オープニングの名乗り「お電話ありがとうございます」「お待たせいたしました」が、はっきりと言えているかどうかを測定するのですが、この項目は人の耳で聴くよりも、自動化の方が圧倒的に精緻に評価できます。
オペレーターがちょっと気を抜いた名乗りをすれば、「お電話」は、「俺は」や「おでん」とテキスト化されてしまうため、より滑舌よくはっきりと発音することが必要になるからです。

また、AIも人間と同様に、超有名企業の場合、少し発音が甘くてもしっかり認識してくれますが、超有名企業とは言えない当社「ビーウィズ」の場合、ハッキリ名乗らないとこうなります。

「お電話ありがとうございますbyでございます」
「お電話ありがとうございますビールでございます」
「お電話ありがとうございます無事でございます」
「お電話ありがとうございますビビるでございます」
「お電話ありがとうございますビームスでございます」

なかなかの変換のされようです。
しかし、人間の世界でも「ビーウィズ」という社名ははっきりと発音しないと、なかなか聞き取ってもらえませんので、初見のお客様の評価とAIのテキスト変換力は大きく変わらないと考えられます。

②    クッション言葉
「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」「失礼ですが」などのクッション言葉を適切に使えているかを評価する項目です。

これまで、クッション言葉の評価は、他項目に比べ聞き逃しやすく、モニタリスト泣かせといえる項目でした。応対全体を通してクッション言葉が1回でも使えていればB評価、1回も使えていない場合はC評価、という基準にしていますが、なぜか聞き逃がしてしまうのです。どこかで1度使えているのであればB評価にすべきなので、正しく評価するために何度も聞き直します。

これは、モニタリングを経験したことがある方なら、必ず味わう苦労だと思います。私は何度もあります。

モニタリング自動化で最も得意なことは、“数を数えること”です。

自動化では、聞き逃すことはありません。だからもう、クッション言葉は数えなくていいのです。AIならば、クッション言葉を漏れなく正確に数えることができます。もちろん、適切な箇所で適切な言葉かけで使えているかまではわかりませんので、この点は人が確認すべき領域です。

ただ、もし仮に「恐れ入りますが」を応対中に一度も使っていないオペレーターさんがいた場合、そのオペレーターさんは、クッション言葉の存在を知らないということが考えられます。そのようなオペレーターさんは即フィードバックをすることで、すぐに改善することができます。

③話すテンポ/発話比率
話すテンポはテキストからどうやって測定するのか?というご質問をよく受けます。
これは、テキストの文字量から測っています。1秒間に○文字以上話していたら速い、という考え方です。

また、お客様とオペレーターの発話比率も測定しています。
オペレーターがお客様の何倍もの時間話している応対では、お客様のお話を聴けていない、一方少なすぎる場合は、お客様のお話をリードできていない可能性があります。

ただし、1つ注意点があります。話すテンポ・スピードが速かったり遅かったりと揺らぎがあるオペレーターさんの場合、平均にまぶされてちょうど良いといった結果が出ることがあります。このようなこともありますので、人の耳での判断も併用が必要です。

オペレーターさんからの全件評価に対する信頼

初めてモニタリング自動化結果のフィードバックシートでオペレーターさんにフィードバックすることになったとき、とても緊張したことを覚えています。「オペレーターさんは果たして受け入れてくれるのだろうか」と。

しかし、杞憂に終わりました。
「あー私、こんなに話癖あるんだ。そうだとは思っていたけど、数字で示されると直さなきゃなーって思う。」とか、「え!私の名乗り、こんなに聞き取りづらいんですか。どうしたら★★★(← 一番良い評価)になりますか。」と、大変前向きに受けて止めてもらうことができました。

理由は、全件サンプルでの結果がフィードバックされるため、評価の信頼性がより高くなったことにあります。これまでは、サンプルで月間1~2件程度で評価されてきたため、オペレーターさんの言い分としては「たまたまこの応対ができてなかっただけ」とも言えました。

しかし、モニタリング自動化では1ヶ月丸々全部の応対の評価であることから、オペレーターさんの評価への納得感が高まり、SVさんからも「これまでフィードバックしづらかった内容が伝えやすくなった」という嬉しい感想をもらうことができました。

自動化あるある

自動化では、おもしろいことも起こります。

①    滑舌が悪すぎて、逆に点数が上がってしまう
滑舌が悪いと、本来であればお客様に伝えるべきことが伝わらないなど、点数が悪化する傾向にあります。
しかし、あまりにも滑舌が悪い場合、多くの言葉がテキスト化されず、逆に良すぎる結果が出ることがあります。

例えば、話癖すら(「あの」「えー」など)テキスト化されないために減点されないということです。自動化結果を活用していくにあたって、まずは、AIでも理解できるような聴き取りやすい発声に最初に取り組む必要があるでしょう。聞き取りやすい発声は応対の土台であり、ここに取り組むことは対お客様への伝わりやすさ、印象、すべてにおいてプラスに働きます。

②    音声認識技術は、進化する
ある月、センター全体のモニタリング自動化の結果が、突然アップしました。調べたところ、AIで漢字変換されるフレーズが増えていたのです。
例えば、オープニングの「お待たせいたしました」が、突然「お待たせ致しました」と変換されるようになっていました。

音声認識は、進化し続ける技術です。これからも、思いもよらぬことが起こり得るかもしれません。常に進化に合わせて、柔軟に対応していく必要があります。技術の進化と格闘しながら、モニタリング自動化に真面目に向き合っています。

自動化とうまく付き合う

毎朝、通勤途中に寄るコーヒーショップに新人さんがいます。いつも笑顔でドリンクを渡してくれます。でも、お客様が増えてくるとどうにもこうにもテンパってしまい、普段の応対が取り戻せなくなりミスを連発するのです。
日本語も面白いほどにめちゃくちゃで、「よろしかったでしょうか」というだけでなく、「豆乳ラテ様」など頼んだ商品名に「様」を付けてしまったりします。

きっと、その新人さんの応対を自動モニタリング評価したなら、間違いなく良くない結果が出るでしょう。でも、とても頑張っているから、嫌な気はしないのです。
この、ステキな笑顔や、頑張っている姿勢、新人らしい清々しい応対は、人でしか評価できないし、その良い面を伝えられません。

自動化では、まだ測れないことがあります。
でも、基本的な項目を自動化に任せれば、本質的な指導が行えます。
人にしかできないことを忘れずに、上手く自動化と付き合っていきたいと思います。

ビーウィズでは、コールセンター教育を効率化し、オペレーターの成長サイクルを高める教育プラットフォーム『Qua-cle』をご提供しております。
最大の特徴は、eラーニングから学ぶだけではなく、フィードバックのサイクルまで組み込んだこと。モニタリング自動評価機能も搭載し、日常の自分の成果を確認することができ、オペレーターの大きな成長機会に繋がります。

詳しい資料は、以下からご覧いただけます。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-130.html

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