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HUMAN

sato

2020.09.09

私は、コールセンターの品質管理を担当しています。
品質管理って一体どんな仕事?と思う方もいらっしゃると思います。

まず、イメージしやすそうな工場を例に品質管理を考えてみます。

■事例① 「レタスが入っていない!」

以前こんなことがありました。
コンビニで買った「レタスハムサンド」と言う名のレタスを売りにしている製品に、レタスが一切れも入っていなかったのです。
私にとっては結構な事件です。

だって、野菜不足を気にして、本当はたまごサンドが良かったのに、レタスにしたのに…

さて、なぜレタスが入っていなかったのでしょうか。
疑問に思い問い合わせたところ、たいへん誠実な企業で、原因を調べて報告してくれました。

「一番端っこでサンドされたため、レタスが入らなかったと思われます。以後生産ラインをきちんとチェックし、以後このようなことが無いように改善します。」という回答でした。

私がレタスにありつけなかったのは、品質管理を怠ったわけではないのでしょうが、工程途中でのチェックがきちんとなされていなかったことが原因かもしれません。

■事例② 「洋服に針?!」

もう一つ、思い出したことがあります。
私の実家は、小さな縫製工場を営んでいて洋服を作っています。高校生の頃アルバイトをしていたときのことですが、あれは品質管理業務だったと思う仕事があります。

裁断から始まり、いくつかの縫製過程を経て、製品が出来上がりますが、完成後に1点ずつ製品を広げて見て、裏表、外側内側とくまなくチェックし、枚数を確認して箱に詰める作業を担当していました。

チェック項目はこんな感じです。

  •  ラベルや付属品はきちんとついているか
  •  汚れやほつれなど、縫製に問題が無いか
  •  ボタンは規定通り、正しい向きについているか
  •  シワは無いか
  •  納品形態(たたみ方)は正しいか
  •  サイズと注文枚数は合っているか

このようなチェックシートを使っています。


そして、最後に重要なのが、検針機という機械に通して、衣服の中に万が一にも針が混入していないかを確認します。もし、お客様の手元に針が入った製品が届いてしまったら、想像するだけで恐ろしいことで、絶対にあってはならないミスです。

この2つ事例から、製品がお客様の手元に渡るまでに、さまざまなチェックが行われ、品質管理とは、お客様の安全・安心を守り、企業の信頼を得るためのお仕事と言えると思います。

さて、私の仕事、コールセンターの品質管理と比べてみます。

先ほどの工場では、事例①のケースでは工程途中でのチェック、事例②では、工程の最後のチェックによる品質管理を行うことができます。

品質管理において不合格になった場合は、やり直しとなり、やり直しなく出荷できた割合のことを「直行率」と呼びます。「直行率」の向上は製造業においては重要な指標です。

コールセンターでの応対 = 製品と置き換えて考えると、お客様とオペレーターが一対一で話して、その場でサービスが提供されるため、お客様の手元に製品が渡った後にしかチェックができません。ここが、工場との違いの一つです。

会話が終わった時には既に製品は既にお客様のもとに届いていることになり、万が一にも「返品」はあり得ません。


返品があるとすれば、それは、応対クレームです。

更に製品と違うところは、応対は目に見えないという特徴があります。
その応対が良かったかどうかは、お客様が決めることです。また、お客様が品質管理をして、毎回合格不合格を出してくださるわけでもありません。

そのために、応対を担当したオペレーター自身が自分自身の応対がどうだったかを理解できていない場合もあります。

だからこそ、応対の後にチェック項目を用いてモニタリング( = 音声を聴くこと)を行い、それをオペレーターにフィードバックし、トレーニングを行うことで、応対の質を守っています。

モニタリング~フィードバックの取り組みは、各社頻度や件数に違いはあれ、どこでも行われている電話応対の質を守るために不可欠な取り組みの一つです。

お店の接客であれば「笑顔がどうか」「声はしっかり出ているか」「お辞儀の角度は正しいか」などの項目が思いつくと思いますが、コールセンターでは、以下の16項目で評価しています。

(第一印象)
1.    統一の名乗りはできているか
2.    第一印象は良いか
(話し方)
3.    発声は適切か
4.    言葉遣い・敬語は適切か
5.    話癖はないか
6.    適切なクッション言葉があるか
7.    話す・聴くテンポ、スピードは適切か
8.    声の表情があり感じが良いか
(傾聴姿勢)
9.    合いの手・相づちは適切か
10.    復唱は適切か
11.    お客様の心情を理解しているか
(終わりの印象)
12.    挨拶・名乗りができているか
13.    終わりに向けての印象は良いか
(最後の印象)
14.    コール全体を通して会話をリードできているか
15.    わかりやすい説明か
(総合)
16.    企業代表として相応しい応対か

項目は、どんな業種でも同じ項目で評価できるよう、あえて、ごく一般的な内容にしていますので、工場と比べてみると項目の内容は違いますが、イメージしやすいと思います。

これらの項目に基づいて応対後のチェックを行い、オペレーターにフィードバックし、更にはトレーニングを行うことで、返品はもとより、ご満足いただける応対を目指しています。

さまざまな場面でチェックができる工場が、ちょっとうらやましくなってしまうような気もしますが、お客様と一対一で対応するオペレーターを想うと、とても誇らしい気持ちにもなってきました。

おそらく、どの業界の品質管理も目的は一緒だと思いますが、製品と電話応対のようなサービスでは、タイミングの違いがあります。

この点を認識した上で、日々のお仕事を進めていきたいと思います。コールセンターの応対は、“返品があり得ない”を深く再認識して。

華々しい世界ではない品質管理、結構地道に行っていますので、このお話はまたいつかどこかでさせてください。

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