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イマドキのSVのリスキリング ~職場での学びをどう推進していくかについて考えてみた~

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HUMAN

形柳亜紀

2023.09.27

先日、福岡に行く機会があったので管理職の皆さんにお時間をいただいて、センターを見せてもらい、いろいろとディスカッションする機会があった。私は、もともとコールセンターを長く担当していたが、センターから離れてからもう5年経つ。
5年前まで同僚だった九州事業部長にこの5年間で「最大の変化」を聞いたところ、興味深い答えが返ってきた。
「現場のレベルは下がっていないし、品質も決して下がってない。だけど、現場は格段に難しくなっている」理由は、DX。

イマドキのSVはクライアントから「オムニチャネルにすると、運営はどう変わるんですか?」とか「有人チャットは普通の電話の何倍の生産性ですか?」という数年前にはなかった高度なご質問をクライアントから普通にいただくらしい。SVは、テクノロジーでできることをきちんと知る必要があるし、どうテクノロジーを活用するかを現場目線で考えることを求められているようだ。

クライアントが高度な提案を現場的な視点で求めてくれる。いい時代じゃないか。そんなの現場を熟知するSVにしかできない。私もその時代にSVをやりたかったよ。

とはいえ、これまでのSVは研ぎ澄まされた現場感が最大の武器であったけども、これからのSVはきっと、現場感を磨くだけでは足りないんだろうな。現場感を持ったうえで、新しいテクノロジーの概念を理解して提案する力が求められているわけで、改めて、これが「かの有名なリスキリングか」と、私の中でようやく身近な事柄としてつながったわけです。

世の中は空前の「リスキリング」ブーム。
昔は何かを勉強しようと思えば、何十万円とか払って塾に通うとか、理解できるかわからない本を買って読むとか、とにかく壮大であった。でも今の時代、すべての触りはYoutubeが教えてくれる。勉強というのは最初を理解するのが一番難しいから、初めの一歩を教えてくれるYoutubeはありがたい存在だ。
ちょっとだけお金を払えば、Udemyも使える。Udemyならば、コンテンツにもよるけど1冊本を買う感覚で教育コンテンツを購入できる。気軽だ。本当にありがたい。

一方で、上司が部下に「Youtube見ておいて。それで全部わかるから」というのはあまりにイージーすぎるのではないかとも思っている。
そして、上長がプレイヤーだった時代から、DXの時代に変わった今、上長だからと言って何かをたくさん教えられるわけではない。むしろデジタルネイティブな若者の方がよっぽどDXを理解している可能性が高い。そんな時代に、部門長は、どのように組織メンバーのリスキリングをするべきか、について考えてみたいと思う。

学ぶことをもっと、奨励しよう

「キャリアは自分で切り開く」時代。将来やりたいことがあるならば、あの上司に気に入られるとか、社内政治を駆使するとか、いろんな方法があるのだろう。それらの方法は、うまく立ち回れる時もあれば、立ち回れない時もあり、不確実だ。着実に「キャリアを自分で切り開く道」は、「勉強すること」だろう、と思う。

勉強は自分で内容を選ぶことができる。そのテーマを深堀りしていくことは大きな力になっていく。社会人が勉強するのはとても大変なことなので、細切れ時間の“ながら勉強”になることが多いと思う。この際に、「時間があったらやる」じゃなくて、「通勤時間はこの参考書を読む」と型化してしまうのがコツだ。実は“ながら勉強”ではなく、時間を決めてしっかり机に向かって勉強するのもとてもおすすめだ。何時に机に向かい、どの本からやる、ということをルーチン化してしまう。
勉強を継続する力は才能だと思っている人がかなり多いと思うが、継続力はスキルだ。勉強もセンター運営と同じで型化ができれば、意外と継続できるものだと思う。センターで継続的に改善ができる皆さんならば、きっとできるに違いない。

おそらく、大半の社会人には勉強をする習慣はない。総務省統計局が2022年に発表した社会生活基本調査(令和3年度調査)によれば、日本の社会人の勉強時間は平均13分らしい。世の中こんなに勉強しないのだから、ちょっと勉強しただけで差がつくことは歴然。こんなに確実性の高い「キャリアの切り開き方」はないと思う。

勉強をする際に、最も大変なのは、ゴール設定だ。実務では業務習得をすぐにできるのに、資格試験などの勉強になると、とたんにみんなの顔が険しくなるのは、「ゴール設定と、到達後のイメージ」があいまいだからだと思う。できなくてもいいことには人は時間を割けない。
だからこそ、上司はもっと部下の背中を押したらいいのだと思う。新聞を読むこと、本を読むこと、資格を取ること。最近はリスキリングにちなんだ補助金もたくさんあって、スクールに通うことも可能だ。「上司に言われて勉強を始める羽目になる」みたいな押しの弱い人ならば、喜んで上司が悪役を買って出ればいいのだし、王道としては、「こうなれれば、こういう仕事ができる」とか「こういうことを勉強している人が組織にいたらこの部分で助かる」等、勉強後のイメージをしっかりと描いてあげることは上司のつとめであると思う。

勉強をして、職場では容易に身につかない知識を得ること。それは、iPhoneのOSがアップデートされる感覚に似ている。iOS16からiOS17になるとき、利用者側からはわずかな違いでしかないが、iPhone内部では大きな変化が起こっている。同じように、ある人が急に勉強をしたところで、他人からは何かが変わったようには見えない。しかし、本人からすると見える世界が確実に変わる。
たとえば、職場で発生する何とも説明ができなかったことが、昔の偉い学者によって、とうの昔に言語化されたことを知る。それだけで今日の現実は昨日までの現実はもう別のものに見えてくる。

私はいろんな人にこの気持ちを味わってほしいと思っている。だから、教育ママばりに「勉強しろ」とメンバーに言う。たぶんウザいと思われていると思う。それでも、10名に1人くらい本当に勉強してくれる人が出てきたら御の字だ。そうは思うけども、勉強で一番大変なのは最初の一歩だから、勉強したくなるような最初の一歩をどうやったら引き出せるだろうかと考えたりしている。

新しいことをするときは学びのチャンス

お客様から新しい提案を求められる。新しい企画をしなければならない。そういうタイミングこそ、学びのチャンスだ。

ちょっと脱線するが、何かを新しく企画をするときに、机の上でウンウン考えて何かをひねり出そうとしている人がいる。何かがひねり出されればいいが、たいていはなにもひねり出されない。なぜならば、それはただのインプット不足だからだ。新しい企画は組織にナレッジがない。
そんな時に、1人で本を読んで情報収集するのも大事だけど、1人では「今の課題はインプット不足だった」ということに気づけないことも多いから、「本でも読んでみたら」と言っても、なかなか気が進まなそうな人も多い

そこで、最近私は、職場で一緒に同じ本を読むという勉強法を最近実施している。普通に本を読み合わせするのだ。この方法は何がいいかというと、本を読んでいると普通にわからないことが出てくる。そうすると若者がインターネット検索して、「こういう意味ですよ」と教えてくれる。別の若者が、「そういえば、この間こういうのをテレビで見て、こういうことだったんですね」とつなげてくれる。私も「過去にこういう案件があって、こういうことで困ったよ」と教えることができる。

1人もその本の内容を知っている人はいないのに、複数名であれこれ言いながら本を読むと、理解が深まってくる。
そして、企画の前提条件となる知識が統一されるので、その後の議論も目線がずれずに進めることが可能だ。

そして、職場でこのように本を1冊読んだことで、問題が解決できた、という経験ができれば、次に何も思いつかなかったとき、本から情報を集めてみようと思ってくれるかもしれない。

上司の仕事は経験と知識を紐づけること

ウェビナーが一般化した世の中、普通に有識者のセミナーを簡単に受講できる。一緒にウェビナーに参加して、終わった後にあれこれ振り返りをするのものいいけども、ウェビナーに参加した人に内容をシェアしてもらう時間を取るのもいい。本人にとっては、インプットをアウトプットする学びの時間になる。
また、その本人がウェビナーで持ち帰ってきた知識を上司の過去の経験とつないで変換することで、その学びは、「自分の会社の事業に調整された学び」になる。

新しいことを学ぶだけでは、若者はその知識をどう活用したらいいのかがわからないことも多い。ここに上司が自分の経験を通じてサポートすることで、「活用できる知識」にしていくこと。そういう上司の在り方が、正しい年の功の使い方だ。

学びは触りに過ぎない 実践を通じた知識活用の場を作る

ここまでの説明の通り、新しい知識と現場のノウハウが融合したときに、知識は活かされる。
日本人は英語を一生懸命勉強するのにしゃべれないのは、知識と現場(英語を使う場面)がつながってないからだ。

同じように、「本を読んで終わり」「ウェビナーをシェアして終わり」では、学びは活用されない。ぜひ、学んだことが繰り返し活用されるような仕事を創出したい。とても上司としては難しい課題だけれども。

SVが学び、現場のプラクティスとつなげることができたときの説得力はものすごい。
ぜひ多くの人が学ぶことで、皆さんの見える世界が変わっていくとよいと思う。

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