コロナ禍によって、教育は大きな変化を求められるようになりました。
研修も面談も、オンラインという形式に変わりました。この変化は、比較的上手く消化され、様々な企業で運用が定着しつつある状況にあるように思います。この変化は、コロナに関わらずこれからの教育にとって、非常に良い変化であったと考えられます。今後は、効率性・利便性といった面でもオンラインが重宝されることは間違いありません。
コールセンター事業者である我々の会社では、全社横断的に管理者であるSV向け研修を定期開催しているのですが、対面開催が難しいため、2020年5月以降全面的にオンラインに切り替え、既に120本を超える研修を開催してきました。各コンタクトセンター内のオペレーター向け研修についても、オンラインの事例がかなり増えてきました。
私は研修講師を担当しており、受講者の皆さんの様子を肌で感じてきました。オンライン研修の初回開催時も、開始早々は画面いっぱいに不安そうな皆さんの顔が並んでいましたが、1時間もすると、そこには大変リラックスした皆さんがいらっしゃいました。そんな皆さんを見て、とても頼もしく感じたのを覚えています。そう感じたのは、受講者の皆さんも同じだったようで、アンケートにはこのようなコメントが並びました。
アンケートからも分かるように受講者の皆さんもオンラインに違和感が少ないようです。講師からしても、双方のコミュニケーションも問題なくとれますし、実は対面の時より個々人の表情がよく見える部分もあり、「知識の習得」という意味では、対面と遜色ない場が提供できるようになってきたと感じます。“札幌と福岡のSVでディスカッション“といった場面も当たり前になり、普段は交流の難しいメンバーが、すぐに繋がれる良さがあります。
しかし、この【オンラインの集合研修】の成功だけに目を向けて、教育のすべてがうまくいったと括るのは大変恐い気がしています。本当にオンライン研修だけで、本来の育成目的は果たせるのでしょうか。
本日は、リモート環境における「育成」という観点から考えてみたいと思います。
考えよう、リモート環境での教育
まず、多くの企業現場における「育成」は、①「知識」を与えること、②「技能・スキル」を身につけること、そして③「モチベーション」に働きかけること、この3つに大別されると思います。この3つの育成ポイントについて【オンラインの集合研修】との相性を見てみます。
・「知識」【オンライン集合研修との相性★★★】
まず、「知識」は、先ほどご紹介したようにオンライン研修と相性が良いと感じます。説明を聞きながら知識の習得が出来るので、対面と遜色ない効果が期待出来ると感じます。さらにeラーニングなどの併用で効果は高まります。テスト機能などもあるので、より知識の定着効果が増します。
・「技能・スキル」【オンライン集合研修との相性★☆☆ 】
続いて「技能・スキル」です。これは、得た知識をどう使うかです。運転免許で言えば、実車教習です。「頭では分かっているつもりなのに、出来ない」という経験は皆さんあると思います。その経験の通り、“実車“はとても大事です。コールセンターで言えば電話応対のロールプレイング、事務処理センターで言えばダミー環境での事務処理実践です。
しかし、研修のオンライン化が進むと、この“実車教習”は、少し軽視されている印象があります。「現場で覚えよう」といったような、現場経験主義に考えが傾き、初期教育には優しくないケースも考えられます。本来、適切なパフォーマンスでスキルを保持できているかは、「初期段階」そして「成長段階」で都度チェックしなければ業務の質を保つことはできません。
この部分は、しっかり意識して取り組まなければ、以前と同様の育成は難しくなるでしょう。
当社のあるPJTは、zoom等の画面共有を用い、遠隔でもOJTの体制を組み運用をしていました。これはかなり効果のある取り組みでした。アドバイスはタイミングを逃さず伝えることで、即スキルとして習得することが出来ます。つまり、「技能・スキル」とオンラインとの相性は、工夫次第で★★★にもできるのです。
・「モチベーション」【オンライン集合研修との相性★☆☆ 】
「モチベーション」についてはどうでしょうか。これもリモートでは難しい面があります。集合研修による、一体感はリモートでも一時的に作り出すことが出来ますが、モチベーションを一定に保つためには、継続的な関わりがとても大切です。この面では、リモートではまだ仕組化されておらず、苦労している方も多いかもしれません。
モチベーションに働きかけて、相手を良い行動に導くためには、「褒め」と「気付き」を与えることが欠かせません。リモートにおける関係性は、「褒め」と「気付き」の量を保つことが何よりも難しくなります。
教育の在り方を、見直してみよう
これまで見てきたように、オンライン集合研修を取り入れて教育することは、決して簡単な事ばかりではありません。管理者にとっては、在宅勤務者が増えるほど、感覚的な動きから計画的な動きにシフトし、コミュニケーション量をコントロールしなければなりません。これまで気軽だったコミュニケーションが、とても重たいもののように感じられ、教育する側もされる側も、大変な負荷がかかることが想定されます。やはり、オンライン研修だけの対応は長く続くといろんな歪みが出てきてしまうかもしれません。
そんな中でもお互い少しでも楽に、そして効果的に教育できないかを考えたいものです。
そこで新たにご提案したいのが、「自律型成長」へのシフトです。
ここれまでの育成とは、下記のようなイメージです。(管理者依存型)
―これまでの教育
上記のように、指導する側からの介入によって、本人の行動を促す、気付きを与えるスタイルです。
しかし、本人の行動にとって大切な、気付きや自己目標のきっかけを与える面談のタイミングは管理者に任されています。この場合、管理者が忙しくなることで、チーム全体の成長が止まってしまうという事さえ考えられます。
まさに管理者に依存した育成環境です。管理者がリードをとり、導いていかなければいけない教育です。
―これからの教育 デジタルでエフォートレスを受け入れる (自律成長へのシフト)
管理者がリードすることに依存していた仕組みから、本人が動き出したくなる自律成長する仕組み化への転換が、今後大切になっていくと思います。気づきこそ成長に繋がると考えられるため、気付きの機会を積極的に持つ仕組みを構築することが望ましいといえます。
そうすることによって、オペレーター自身がある程度自走できるようになります。自走できるようにすることこそ、真の育成なのかもしれません。
そのアシストをするためにデジタルの力を借りることは、大いに結構だと思います。
ここで気を付けたいのは、決して放任ではないという事です。しっかり見守ります。見守られていることもまた、行動を後押しする大切な要素です。「見守る余裕」を管理者が持てるように、デジタルの力を活用したいのです。
デジタルの力で、自律成長を後押し
-Qua-cleなら自立成長サイクルの補助に
私たちビーウィズの提供する、教育デジタルプラットフォーム「Qua-cle(クオクル)」は、まさに上記コンセプトを発端に企画開発されたものです。忙しい管理者を救いたい、成長したいオペレーターを守りたい、そんな思いを込めました。
3つの機能で、成長のステップを包括的にバックアップします。
① eラーニング (知識を学ぶ)
② トレーニング (実践・スキル)
③ フィードバック (自動モニタリング/コメントフィードバック)
本日ご紹介した①「知識」にはeラーニングでサポートし、②「技能・スキル」はトレーニングコンテンツとして、音声を録音・再生することが出来るため、自身の応対スキルを実践的にトレーニングしながら学ぶことが出来ます。③「モチベーション」に関しては、自動モニタリングによる定期的なフィードバックにより、気付きの機会を与えることで大きく働きかけることが出来ます。個のサイクルにより、オペレーターの自律成長サイクルに働きかけます。
ポイントは、管理者の時間を効率化し、本来必要な行動に集中できるようにすることです。
育成は、本人へのアドバイスや練習の時間こそが大切ですが、これまでの品質管理は、「チェック」することばかりに時間が取られていました。テスト結果の集計、モニタリング評価のスコアリングと集計、レポート作成などです。これらの「チェック」作業は、育成の前準備です。本当の育成はこの後の「フィードバック」にあります。
デジタルの力を活用することで、集計を簡略化します。特に「自動モニタリング」は、これまで管理者が確認しなければならなかったモニタリング作業が自動化されるため、大きな時間削減に繋がります。だから、時間の使い方を変革できます。
コミュニケーションが貴重な時間になっている今だからこそ、管理者は、作業に追われる時間から解放され、有意義なコミュニケーションに時間を使っていきたいです。
データで語られたフィードバックに効果はあるのか?という疑問が残る方のために、最後に補足します。データで語られたフィードバックは、診断書・傾向分析書として捉えられ、むしろ人が伝えるより隅々まで読んでくれます。詳細は、過去の関連記事も是非ご覧ください。
AI時代の応対モニタリングは、人と機械のマリアージュ | HUMAN | オペレーションを進化させる現場のWebマガジン 現場ドリブン
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モニタリング自動化って「本当にやっているの?」、と聞かれます。今回は、モニタリング自動化のイマについてお話します。これまで、コールセンター
「自律成長サイクル」が皆さまの新しい教育の、検討機会になれば幸いです。
ビーウィズでは、コールセンター教育を効率化し、オペレーターの成長サイクルを高める教育プラットフォーム『Qua-cle』をご提供しております。
最大の特徴は、eラーニングから学ぶだけではなく、フィードバックのサイクルまで組み込んだこと。モニタリング自動評価機能も搭載し、日常の自分の成果を確認することができ、オペレーターの大きな成長機会に繋がります。
詳しい資料は、以下からご覧いただけます。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-130.html
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