6度目6年振りの引っ越し
実家を出てから、6度目6年振りの引っ越しをした。
6度目の引っ越しのテーマは、「とにかく捨てる」ことであった。
なぜならば、私の家は、
新卒1年目に一人暮らしを始めた時に買ったブラウン管テレビを置く棚がソファのサイドボードになっていたり、
10年くらい前に突然料理をしようと思った日に、取り急ぎ近所で買った鍋があったり、
「あるから使っているだけで、今の生活に必ずしも必要ではないもの」が蓄積されていたからだ。
新入社員の時と私の生活は変わっているし、志向性も変わっている。若いころに必要であったものは、今では不要になったりしている。そのようなこともあり、引っ越しを機に「必要なものだけを厳選して集めて、今の生活に必要なものだけを新たに買い足したい」というミニマリスト的な志向に至った。
おそらく読者の皆様にとっては、「何をいまさら」なのだと思う。
引っ越すときにはちゃんと捨てたり、新しいものを買ったら、古いものを捨てたりするのだと思うが、私には絶望的にその力がない。
そのために、これまで「手持ちの物をベースに、新しい家のレイアウトを考える」人生を歩んでしまった。
そこで人生最大の断捨離を実行し、身軽になって、新居に引っ越した。
新居での活動
私の過去5回の引っ越しの荷解きは、天才的に早かった。
午後一で新居に荷物が届いたら、2時間集中して荷物を解き、15時には全部解き終わって引っ越しの段ボールを回収してもらっていた。
なぜそんなことができていたかというと、作業の目的が「段ボールを当日中に回収してもらうこと」にあったからだ。
そのために、置き場が決まらないものでも、とりあえず段ボールから出して、取り急ぎの場所に置くという方法で荷解きをしていた。
人生最大の断捨離をした6回目の引っ越しの最大の改善点は「置き場所が決まらないものは、段ボールから出さない」ことに決めたことである。
それによって、取り急ぎで置き場所のルールを作ってしまうことをせず、生活するうえで効率のよい置き場所を決め、必要に応じて最適な収納道具を購入してから置き場所を作ることに集中した。
段ボールはすぐに捨てられず、いまだ段ボールを解ききっていないが、それでも正しい選択をしていると思っている。
しかし、弊害も多くあり、現在、新生活を軌道に乗せるのに苦労している。
たとえば、料理を作ろうと思っても、調味料を全部捨てたので、醬油がない。
じゃあ、醤油を買って料理をしようと思うが、醤油を置く場所と、醤油を置くシステムを要件定義していないので、醤油を買えない。だから料理できない。というループで、新生活が長くままならなかった。
ついに、醤油を置くシステムを要件定義して、実行フェーズに入ったが、今は砂糖を置く場所を決めていないので、砂糖を買えずに困っている。
なぜ、醤油を置く場所は決まったのに、砂糖を置く場所に困っているかというと、砂糖はやたら販売量が多く、容器にすべてを移しきれずに必ずストックになる。そのストックを輪ゴムで縛って保存しているとそのストックがすぐ固まってしまう。この問題の解消方法がわからず要件定義ができない日々が続いているからである。(小さい砂糖を売ってほしい)
でも、料理に困るので、取り急ぎ、高級砂糖の和三盆を買った。
なぜ和三盆かというと容量が少なくて、袋にチャックがついているからだ。砂糖を保存する容器が確定できないので、取り急ぎ袋からとって使う人生を歩んでいる。
このままでいいとは思っていないけれども、高級な和三盆で作る肉豆腐はさすがにおいしかった。(料理に砂糖は大事)
併せて、生意気にもお掃除ロボットを導入した。
会社に行く前に、床においてあるものをお掃除ロボットで掃除をしない部屋に集めてから出かける。そうすると外出中にお掃除ロボットが部屋を掃除しておいてくれる。
たいして広い部屋ではないのだから、本来そんなものはいらないのだが、「床に物を置かない生活の実現」と「継続的な掃除の徹底」を図るための投資だと思っている。
結局いいたいこと
長々と、私の生活力の低さについて、語らせていただいたが、やっと本題に入れそう。
何が言いたいかというと、私が今やっていることは「5Sの徹底」に向けた取り組みであるということである。
「5Sを徹底しましょう」などの合言葉で使われるが、皆さんは、「5S」を「いつもきれいにしておくこと」とか「トヨタ式のアレ」というようにざっくり捉えていないだろうか。
5Sとは「日本産業規格JIS 8142-5603 」で定義されている日本製造業の行動指標である。そこでは以下のように定義されている。
====
職場の管理の前提となる整理,整頓,清掃,清潔,しつけ(躾)について、日本語ローマ字表記で頭文字をとったもの。
====
見ていただくと、私がやろうとしていることは以下のように捉えることができる。
「整理」(いらないものを捨てる)
↓
「整頓」(置く場所を決める)
↓
「清掃」(お掃除ロボットで掃除)
我が家は、「整頓」がまだ完了してないから、整っていないところもあるが、ここまでの進捗はまずまずだ。
ここから、「清潔」「しつけ」になるが、結局この運用の維持継続が大変な気がしている。
「清潔」は、例えば、お風呂や洗面所の掃除、炊飯器や冷蔵庫を拭くなどのメンテナンスである。
今は、風呂に入ったら、風呂掃除して出る。洗面所を使ったら洗う。などの行動はとれているが、まだまだムラがあり、家事サイクルの定型化が必要だと感じている。
家事には、1日サイクルのタスクもあれば、週サイクル、月サイクル、シーズンサイクルのタスクもある。いろんなサイクルを回すルールを構築する。まさにオペレーションと同じだ。
そして、最終的に、「しつけ」で自ら決めたルールを徹底できなければ、まったく意味がない。そして私にとっては最大の難関である。
だからこそ、「ルールが守れるような要件定義」=つまりは「導線を意識した整頓」とお掃除ロボットによる「清掃の自動化」、定型化された「清潔のサイクル化」、サイクルごとの「マイルストーン」の設計が大事になってくる。これもオペレーション運営のコツと同じだ。
まだまだ、「サイクルの定着」までには至っていないけども、確実に丁寧な生活ができるようになってきたと思う。
オペレーション現場では。
さて、あなたのセンターは、どのように5Sを徹底しているだろうか。
読者の皆様のセンターにお客様が来た時に、一番初めに見て、わかりやすくダメだと思われてしまうところは「5S」である。
具体的には以下のようなセンターである。
- 管理者がゴミゴミしたオペレーションブースをかき分けながら、ラウンドしているセンター
- 明らかに古いポスターが貼ってあるセンター
- 書類が散乱しているSV席
- フォルダが整理されていない
- どのナレッジが最新かわからない
- オペレーターにごとに、持っているトークスクリプトのバージョンが違う(配布資料のバージョン管理がされていない)
こういうセンターは、やはり「雑な仕事をしそう」という印象であるし、経験上実際に仕事も雑だ。これは、言い切ってよいと思っている。
「汚いけども、品質は高いです。ブースがきれいなことと、センターの品質は関係ありません。」と言えればいいが、5Sができないということは、オペレーション品質を高める上で本質的に必要なことができていないと言っても過言ではない。
具体的には以下のようなことである。
整理ができない :いらないものを捨てられない。よって無駄が多い
整頓ができない :必要な情報がすぐに取り出せない。よって生産性が低く、ミスが多い
清掃ができない :掃除が行き届かず、環境が悪い。よって離職率が高い
清潔ができない :PDCAを回すことができない。よって業務の改善ができない
しつけができない :スタッフにルールの徹底をさせられない。よって品質にムラがある
この記事を読んでくださったあなたは、ご自身のセンターにおいて5Sが徹底されているか見てもらいたい。
あなたのセンターの品質や生産性、離職率がいまいち振るわないならば、もしかすると環境の整備の不徹底かもしれないからだ。
<整理>
まずは、偉大な先人が作ったポスターや資料が今も本当に必要なのか、を見極めることからスタートしよう。
偉大な先人であっても、現実に動いているこの瞬間のセンターにマッチしているかどうかを判断できるのは、今現場で活躍しているSV以外にいない。
こんまり風に言えば「ときめかないモノ」は捨ててしまおう。
データや紙だけでなく、キャビネットの中に入っている資料や、備品が本当に必要かについても点検しよう。
<整頓>
そして残った必要なものには、住所をつけよう。
置き場所が決まらないものは置き場所を決めよう。
具体的にキャビネットに置き場所のラベルを貼ったり、フォルダ名をもっとわかりやすくして迷わないようにしよう。
<清掃・清潔>
ここまでできたら、掃除をするサイクルを決めて、ルーチンタスク化し、5SのPDCAを回していこう。
日々のPDCAサイクルの中で、やりにくいところがあったら、定期的に改善しよう。そのために収納ケースなどの備品が必要な場合は、購入を検討しよう。
<しつけ>
最後に決めたルールが徹底されるよう、意識づけと仕組化をしよう。具体的には当番制や、ルール通りにやらない人へのフィードバックなどになる。
今回は、自分を棚上げしながらも、5Sについて語らせていただいた。
「5S」はオペレーションの極意そのものであり、我が家もPDCAを回しながら、より快適な住宅環境を整えていこうと思う。
緊急事態宣言が出ました。今こそ、コンタクトセンターを在宅化しませんか?
ビーウィズは自社開発のクラウドPBX「Omnia LINK」を活用した在宅コンタクトセンターサービス「Bewith Digital Work Place」をご提供しています。
<ポイント>
- 在宅に必要なシステム環境の提供だけでなく、運営のノウハウ、教育などのソフト面のサポートから品質を下げずに運営が可能
- 全国700席、30社の実績
- 電話だけでなく、事務業務も在宅化が可能
詳しくは、ぜひ資料をダウンロードをお願いします。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-134.html
ライター「形柳亜紀」の最新一覧
- オペレーションセンターは「定型化」だけでなく「創造性」も目指すべきで、そのためにはプロセスがある。
- 一生懸命作ったトークスクリプトは、なぜ、使われないのか。
- あの夏の”紙地獄の格闘”が、15年後AIによって救われるまで
- 在宅コールセンターのオペレーターと対面してわかった。コロナ前後で「人の行動を変えるプロセス」が確実に変化していると思った件
- 本当の“オペレーション”とは何か?「現場ドリブン」がもたらすもの
関連記事
月間ランキング
HUMANの新着記事
-
コンタクトセンターでのカスタマーハラスメント対応 ~カスハラの芽を早期に摘み取る方法~ 2024.08.21
-
もうポカーンとさせない ~ふわっと浮かない、さらっと流れない、今より響く、考えや想いの伝え方~ 2024.07.03
-
ビジネスチャットの功績とリスク ~「今」重視のチャットは、「この先」の私たちを蝕むのではないかという、ちょっとした不安について~ 2024.06.19
-
新入社員のメールはなぜ失礼なのか。「社会人業界のしきたり」ってちっとも本質的じゃないですよね?について考えてみました。 2024.04.17
-
「9時から17時まで働くだなんて頭がおかしくなる」TikTokでの悲痛な叫びは不適切にもほどがあるのか? 2024.03.27