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いまさら聞けないシリーズ アウトバウンドダイヤラー×KPIで思った通りの成果を出す方法

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宮本知宜

2021.06.02

コールセンターには主に、インバウンド(電話の受信)とアウトバウンド(電話の発信)の業務が存在していて、コールセンターに於けるアウトバウンド業務では、ダイヤラー(自動発信)の仕組みがよく使われます。

アウトバウンド業務といえば、


  • 保険商材のセールス
  • 通信商材のセールス
  • 通信販売の定期便への引き上げ
  • 不備/不手際のお詫び・商品の回収のお願い
  • 入金勧奨
  • 世論調査
  • 商品購入の御礼電話

等々、B to Cの業務が多かった印象ですが、コロナ禍になり、インサイドセールスの取組やリモート営業を強いられる企業が増えた影響か、B to Bの業務がかなり増えてきた印象もあります。

  • キーマンリサーチ
  • リコール対応
  • On-line展示会やウェビナー来場リマインド
  • 店舗への商品回収連絡
  • アポイント獲得

今回は、アウトバウンド業務で多く使われる『ダイヤラー』について、今更!?と思うかもしれませんが、最近のトレンドも交えてご紹介したいと思います。

そもそも『ダイヤラー』とは

コールセンターにおけるアウトバウンド(発信)業務では、発信する対象リストを上から順番に手で掛ける(通称、てがけ)のではなく、リストをシステムに投入すると自動で発信し、接続すると自動でオペレーターが会話を始めることができる『ダイヤラー』という機能があります。そして、ダイヤラー機能は以下の4種類が存在しますが、発信(架電)効率が高い順番からご紹介します。

①    パワー・ダイヤリング(強制発信)
オペレーターの稼働状況に関わらず、一定間隔で強制的に発信し続けます。その為、オペレーターの稼働以上の発信をした場合、電話に出たものの、誰も話さない(オペレーターが出てこない)ということが起こる為、最近では、オペレーターのアウトバウンドで活用するよりは、IVR(Interactive Voice Response)で自動音声を流し、プッシュでアンケートに答えていただくなどの方法で活用されています。世論調査は、以前はオペレーターが「どこの政党を支持するか」を聞いていましたが、今では自動応答で「世論調査に答えてもらえますか?答えてもらえる場合は【1】をプッシュしてください」と言われ、【1】をプッシュすると、SMSでアンケートフォームが届くような仕組みになってきました。定性的なコメントはオペレーターのほうが取りやすいと思いますが、費用面ではこのような自動での方法が優れていると言えます。

②    プレディクティブ・ダイヤリング(予測発信)
オペレーターの稼働状況以上の発信量を予測しながら自動発信を行い、対象リストのお客様が電話に出た場合のみ、オペレーターに接続します。
この予測は『倍率』が考慮されており、例えば、オペレーターの稼働全体を「1倍」とした場合、「1.5倍」の倍率で自動発信を行います。これは、リストの電話番号が使われていない等のNTTのアナウンス(通称、Nアナ)が流れたり、リストの番号の桁数が足りない等の不備も考慮した上で発信できる為、発信(架電)効率とオペレーターの稼働のバランスを取りながら発信することができます。但し、発信量が多くなることによって、①のパワー・ダイヤリングと同様に放棄リスクも発生します。
※放棄の場合はIVRを流す設定や、●●秒以上オペレーターが空かなかった場合は切断する設定が可能です。

③    プログレッシブ・ダイヤリング(自動発信)
ほぼ②のプレディクティブ・ダイヤリングと同じですが、基本的に②で紹介した「倍率」が「1倍」となるのが、プログレッシブ・ダイヤリングとなります。リストの不備やNアナ等を排除し、オペレーターの空き状況に応じて自動発信する為、放棄リスクは極めて低くすることができます。

④    プレビュー・ダイヤリング(予告発信)
発信(架電)対象リストの顧客情報を事前に確認した上で、オペレーター自身が発信ボタンを押すことで初めて発信されます。CTI(Computer Telephony Integration)連携したCRMの情報が、電話がつながった場合のみ自動でポップアップ表示される機能は、①~③でも実現可能ですが、その中でも顧客属性や購買履歴をしっかり把握した上で発信しなければならない場合は、プレビュー・ダイヤリングが有効となります。CTI連携していない場合でもCRMシステムから直接登録電話番号をクリックして発信するような運用(クリック to ダイヤル、クリック to コールとも呼ばれる)をしているケースもあります。

大量の発信をしなければならない業務ほど、発信(架電)効率を追い求めたくなりますが、放棄によるクレームリスクや企業イメージへの影響もありますので、業務の目的やKPIとあったダイヤラー方式を選ぶことが重要です。

アウトバウンド業務のKPIとは

アウトバウンド業務のKPIは、代表的なものだとコンタクト率や獲得率といったものがありますが、細かいものも含めるとビーウィズでは80個以上のKPIが存在します。
目的や成果(ゴール)によって、正しいKPIを設定し、設定したKPIの達成率を定点観測していくことも必要です。



<KPIの達成率と原因分析/改善活動>

A:有効リスト率が悪い
リスト自体の「鮮度」が悪く、古い情報が多く混在している場合、電話番号が変わっていたりする為、取得した顧客情報の定期的なクリーニング活動が必要になります。

B:対人コンタクト率が悪い
発信(架電)のタイミング(曜日・時間帯)を変えることで大幅に改善する可能性があります。対象リストの顧客属性にもよりますが、例えば、飲食店のリストに対して発信(架電)を行う場合は、言わずもがなお昼時の忙しい時間帯は避ける等の工夫が必要となります。なかなか対人コンタクト率が良い曜日や時間帯が捉えづらいリストの場合は、無作為にサンプリングした少量のリストで様々な時間帯に発信(架電)を行い、対人コンタクト率が高い時間帯を把握するテストマーケティングを試みてもよいでしょう。

C:獲得率が悪い
トークスクリプトやトークフローの見直し、キャンペーン等の遡及ポイントの整理をする必要があるかもしれません。お断り理由を分析するのも有効ですが、最近はアウトバウンドセンターのハイパフォーマーの音声認識結果のテキストデータを複数分析し、通話開始からどのタイミングで料金プランの案内をしているか、どのような言い回しを使っているか等、AIで分析した上でトークスクリプトを改定し、センター全体の成果向上を行う取り組みができるようになりました。

参考①:『音声認識って本当に使えるの?と思っている皆さんへ』


参考②:ミライ転換力


ダイヤラー×RPAによるあふれ呼対応の効率化

ここ数年で大幅に普及したRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による自動化をダイヤラーに活かす事例をひとつご紹介します。

とある通販企業様は、不定期に広告による反響インバウンド(受信)による新規受注を行っていますが、どうしても媒体出稿直後は反響入電が多く、電話が取り切れない時間帯が多くありました。もちろん電話が取れないと受注もできない為、機会損失になってしまいます。

その為、あふれた電話はIVRで折り返し電話の予約をする仕組み(コールバック予約)を導入し、管理画面からリストを抽出し、手動で発信を行い、紙の受注表で注文を承っていましたが、この一連の作業をダイヤラーとRPAを使って自動化し、管理工数や受注工数を大幅に削減することができました。


コロナ禍では、これまで対面で行っていたお仕事もどんどん非対面化が進む時代になってくると思います。
その中で、本日ご紹介したダイヤラーや、デジタルソリューションを組み合わせることで業務の効率化ができるかもしれません。今アウトバウンド業務に従事されている方、或いは、これからアウトバウンド業務を立ち上げる方にとって、より良い運営と改善サイクルのご参考になれば幸いです。

参考③:『あなたにも、きっと作れる。インサイドセールスのトークスクリプト。(フォーマット付)』


ビーウィズでは、自社開発のクラウドPBX「Omnia LINK」は、プレディクティブ、プログレッシブ、プレビューのダイヤラー機能も搭載しています。又、「Omnia LINK」を活用したオペレーションの現場ノウハウをぜひ活用してみてください。

<資料ダウンロード:アウトバウンド業務運営指標一覧>
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-200.html

<Omnia LINK>
https://www.bewith.net/service/omnialink/callcenter/


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