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「お電話」が「おでん」? 

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HUMAN

sato

2023.09.20

みなさんは、伝えたいフレーズを聞き取ってもらえなかったご経験はあるでしょうか。私は、名前を聞き取ってもらえず、聞き返されることがよくあります。
私の苗字は、日本で1位2位?になるほど多い「佐藤」です。

名前を聞かれて、「サトウです。」と名乗ると、「カトウさんですか?」と言われてしまいます。正しく聞き取ってもらえる確率は五分五分と言ったところでしょうか。
オペレーターの時は、特に気をつけて、頭の「サ」を強調して言うようにしても、悲しいかな「カトウさんですか」と言われて撃沈することがありました。きっと世の中に比較的大勢いらっしゃるであろう「佐藤さん」なら、同じ経験がおありなのではないでしょうか。

その逆で、「加藤さん」は「佐藤さん」に間違えられることは無いのかなと思い、友達の「加藤さん」に聞いたところ、「よく佐藤さんに間違えられるよ」だそう。やはり、お互いさまでした。世の中の加藤さんもお仲間ですね。
「佐藤」と「加藤」は、母音もアクセントも全く一緒だから、聞き間違えられやすいのでしょう。

そこで、ふと思い出したのですが、ミュージカルの劇団四季の皆さんは、日本語を明瞭に美しくお客様に届けるために、母音法という練習を取り入れているそうです。セリフの子音をすべて外して母音だけで発声する練習をしていたのをテレビでも何度か見たことがあります。
かくいう私も、コールセンタ―の発声練習でこの母音法を取り入れてトレーニングしたことがあります。
「お電話、ありがとうございます」→「おえんあ、あいあおうおあいあう」
という感じです。

母音で練習した後、通常のフレーズで発声すると、口の回りが良くスムーズに話しやすくなるので、滑らかに発声する練習としては一定の効果が見込めるのでお勧めなのですが、先ほどの「佐藤さん」をはっきりと聴き取ってもらうための練習としてはまだ不足があると思います。
「佐藤」と「加藤」の場合は、母音だけでなく、子音もハッキリ言えないと伝わらないので、母音法は伝統的な手法の一つですが、鉄板の早口ことばを、早口ではなくはっきり発声する練習が最も効果的かもしれません。
サ行は、どうしても音が抜けやすく、一番苦手な方が多い行なので練習は欠かせません。

全国の佐藤さんには、
早速新設の診察室を視察 / 新人シャンソン歌手新春シャンソンショー

加藤さんには、
「規格価格かかけ引き価格か / 隣の客はよく柿食う客だ」の早口言葉でのトレーニングをお勧めします。

自分の名前を正しく伝える

佐藤さん・加藤さん以外にも、電話応対でご自身の名乗りに苦戦しているオペレーターさんは結構いらっしゃいます。電話応対では、源氏名を使っているセンターでなければ、基本的には自分の名前を名乗りますので、なんとかお客様に一度で正しく伝えたいと誰もが思っているはず。

特に、珍しい苗字のオペレーターさんは、伝えるのに苦労されている印象です。
おそらく、あまり聞いたことが無い苗字では、予想がつかないので、お客様が「えっ?!」となることがあるのでしょう。私は佐藤なので、珍しい苗字にはとても憧れますが、それはそれで苦労がありますね。
また、苗字が短く1文字や2文字のオペレーターさんは、サラサラっと名乗ると流れてしまいやすく、音が短くて正しく聞き取ってもらうには難易度が上がります。

いずれも、王道の改善方法は、“ゆっくりはっきり”と伝えることです。間やアクセントの位置によっても聞きやすさが格段に変わるので、それぞれのオペレーターさんの発声しやすさを考慮しつつ、間やアクセントを工夫しながら、ストレスなく伝えられるようトレーニングを行うことも効果的です。
なぜかいつも名前を聞き返されたり、聞き間違えられたりするという方には、伝え方の工夫の検討することをお勧めいたします。オペレーターにとっては、毎日の1件1件の応対に関わることなので、とても重要です。

カタカナって難しい

実際の電話応対で、苦労されているケースは他にもあります。マンションやアパートなどの建物名です。地名などと違って、初めて聞くような名前やとにかく伝わりづらいカタカナが多いのです。
私自身、引っ越しで困った経験があります。建物名に「ドュ」と「ヴァ」が入っていて、どうやって伝えて良いかわからず、頑張って発声するものの、どうしても伝わらず、、結局「トに点々に、小さいユ」、「バは、ウに点々でヴァです」と。

弊社の社名「ビーウィズ」は、残念ながらかなり聞きとりづらいフレーズの一つです。

入社以来、電話に出るたび、名刺交換の時や会議など様々な場面で何度も発してきたフレーズですが、ビーウィズを少しでもご存じの方との会話であれば、概ね伝わる一方で、初めてのお客様に伝えるのは一苦労です。
ゆっくりはっきり、「びー・うぃ・ず・です」と伝えたところで、全てのお客様に正しく理解いただくのはなかなか難しく、お電話でわかりやすく伝えるには言い換えも必要です。QAチームメンバーも悩みながら、「ビールのびー」じゃ、アルコールだからふさわしくないよね、、、「ビーカー?」「ビーズ?」、ウィは、「ウに小さいイ」・・・

考えた末、「ビー玉のビーのあとに、ウィンナーのウィ、スに点々のズで、ビーウィズです」もしくは、「ビー玉のビーの後に、あいうえおの「ウ」、小文字の「イ」、スに点々の「ズ」です」の2択をご提案しましたが、これ以上しっくりと来るフレーズを編み出すことができませんでした。これでもまだ難しさを感じています。

更に、以前の記事でもご紹介しましたが、音声認識のテキスト化でもかなり正しく変換されづらいフレーズでもあります。

テキスト化される=聞き取りやすい発声

モニタリング自動化で使用しているテキストでは、電話応対で冒頭によく使われる「お電話ありがとうございます」のフレーズをハッキリ発声しないと、誤変換されます。最も多いのは、「お電話」が、「俺は」に変換されるケースです。滑舌がとても良いオペレーターさんでも、少し気が抜けたかなと感じる発声では、「お電話」と正しく変換されないことがあります。
耳で聴いたら、まぁ聞こえるかなぁと思えるくらいではあるのですが、明らかに正しく変換された場合と比較すると、聞きやすさが違います。「お電話ありがとうございます」が「おでんありがとうございます。」と変換されてしまうことさえあります。いずれも、語頭の言葉をしっかりと発声しようとできている点は、グッドポイントです。

モニタリング自動化を開始する時に、多くのテキストと音声を聞き比べましたが、お客様にも聞きやすい発声は、AIもきちんとテキスト化しますので、テキスト化される=聞き取りやすい発声ができていると言えます。
滑舌の良し悪しは、自動化では全体の結果に大きく影響します。そのため、モニタリング自動化を進めるにあたっては、まず発声・発音の強化をセンター全体で取り組むことをお勧めしています。テキストを活用した評価では、滑舌が良くないためにフレーズが文字化されない場合、評価が正しく出ないことがあるのです。例えば、話癖がたくさんあるにもかかわらず、テキスト化されず、無駄なフレーズが少ないという評価になるケースもあります。

AIに正しく聞き取ってもらえる、AIに打ち勝つ発声がしたいという気持ちになってきました。
実際、人が聞いても「良い応対だな」と感じる応対は、滑舌がよいことが圧倒的に多いです。大切な寄り添いの気持ちを表現するにも、その気持ちが相手に伝わらなければ意味がありません。それを伝える後押しをする1つの要素が「滑舌」です。AIに打ち勝つことが、結果として人の印象をよくするとも言えるでしょう。

結局のところ、発声練習って大事だなとあらためて思うのですが、コロナ以後発声練習をストップして、再開できずにいるセンターは多いのではないでしょうか。
まだまだ発声練習をするには、様々な配慮が必要だと思いますが、口をしっかり動かすトレーニング、フレーズを聞き取りやすく読んでみることから再開していきたいと思います。
聴き取りやすい発声は一朝一夕で改善するのは難しく、日々の積み重ねが結果につながります。
私も、以前に比べて凝り固まったかなぁと感じる顔の筋肉を動かしながら、この記事を書いてみました。

ビーウィズでは、コールセンター教育を効率化し、オペレーターの成長サイクルを高める教育プラットフォーム『Qua-cle(クオクル)』をご提供しております。

Qua-cle(クオクル)』は、コンタクトセンターにおける応対品質の課題を解決するために必要な、「学び」・「トレーニング」・「フィードバック」の一連のサイクルを実現する、コールセンター向け品質改善プラットフォームで、eラーニングから学ぶだけではなく、フィードバックのサイクルまでを組み込んだことが最大の特徴です。

モニタリング自動評価(応対のSTTデータによる評価)機能では、日常の自分の成果を月に一度、確認することができるため、オペレーターにとって大きな成長機会に繋がります。


詳しい資料は、以下よりダウンロードいただけます。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-130.html

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