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会議は戦場だ。丸腰で挑めばケガをする。

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HUMAN

形柳亜紀

2022.08.24

今回言いたいことはタイトルの通りだ。
わかる人にはわかることであり、ピンとこない人にはわからない理論だ。

これで終わってしまうと記事にならないので、ピンとこない人にわかってもらう記事を目指して説明していきたい。

企画するということ

コンタクトセンターから企画部門に異動して4年が経つ。社内にはいくつか「XX企画」があるけれど、「XX企画」のような部門が企画することには大きく二つあることに気づいた。

1つは法律の改正等に伴い、社内のルールを変更せざるを得ないものである。
これらは法律と実態の差分を埋めることや、難しい法律をちゃんと解釈するという苦労がある一方、法律に支えられているので、答えが複数存在しない。法律がそうなのであれば、自社もそうでなければならない。

そして、法律の改正までに行わなければ、自社は法令順守ができなくなる。それは、明日の会社運営に絶対的に必要な企画だ。

コンタクトセンターであれば、新製品の研修は絶対に実行が必要な研修だ。新製品をオペレーターが理解していなければ、明日センターが運営できない。こういう研修というのは、少なくても「やること自体」を否定する人は存在しないであろう。

一方で、「やらなくても明日の業務に支障がないこと」や「答えがほかにもあること」のような繊細な企画もある。例えば「クレド」の策定だ。重要度は高いが「クレド」がなくても明日のセンターを回すことができ、正解がない。こういう企画は非常に繊細でつぶされやすい。

やらなくても明日の業務に支障がないことは、「そこまでしてやる必要ある?」という言葉につぶされることもあるし、「答えがほかにもあること」は「好み醤(コノミジャン)」につぶされる。

「好み醤」は「(ただの)好みじゃん!」から派生した、上司の好みだけで否定されるシチュエーションを示したパワーワードである。まだ流行ってはいない。

このような繊細な企画は、必ずしも明日必要なわけではないが、長期的な目で見れば絶対的に必要だ。むしろ、このような取り組みがセンターの格を高め、重要度を高めていくのだ。

しかしながら、繊細な企画は“つぶされやすい”から、大事に企画していかなければ負け続けだ。負けが続くと人は頑張れなくなってしまう。

そのためにどうするか。会議を制するのだ。つぶされやすいからこそ、会議を武装して守るのだ。

いいことを心に秘めているのに、会議での武装不足で企画を進められない人というのが一定数存在する。
会議でつぶされた企画は「企画が悪かった」と思うかもしれないし、「理解してくれないのが悪い」と思うかもしれないが、「会議がダメだった」とは思いにくいだろう。

なぜならば、会議が原因で企画がつぶされたとしても、会議メンバーからこのようなフィードバックを受けることになるからだ。「この企画は本当に必要?他にもやることがあるんじゃない?」

会議で武装する

ここまで読んだ読者が勘違いしないように念のため記載すると、会議はゴールじゃない。ただのマイルストーンだ。でもマイルストーンだから、会議の前後で何かが変わっているべきなのだ。承認をもらう、方向性を決定する、認識を合わせて同じベクトルで動けるなど。

具体的に会議で武装するためにすることは、①会議前後で何が変わっていなければならないのかを設計すること。そして、②その結果に向けた準備を行うことだ。

会議の参加者にとって、その繊細な企画が「絶対に必要なもの」と思えるように。
「あなたのWant」じゃなくて、「みんなのMust」になるように。
そのためには、ストーリーのある会議づくりが必要だ。

会議のゴールを決める

会議の武装に向けて、具体的に何を行うか。

まずは、会議のゴールを決めることだ。
「承認をもらうこと」「報告・共有して、同じイメージを持つこと」「味方になってもらうこと」「ディスカッションしたい」などがある。

このゴール設計がないと、相手がどのようなメッシュで確認をするべきなのかがわからない。

相手の立場で考えると「承認をもらうことがゴール」ならば、具体的な進め方や、スケジュール、かかる費用までちゃんと見て、承認したい。「味方になってもらいたい」のであれば、企画から得られる効果や、ざっくりとした進め方、立案者の想いなども確認したい。

このゴール設定がぼやけたまま会議に臨んでしまうと、この後の会議資料の作成や、会議の進行において、全員の意思統一ができなくなり、失敗の確率が高まってくる。

よくある失敗している会議では、さんざん議論した挙句、「で、これは今日決めないといけないの?」とか「今日は何を決めるんだっけ?」と誰かが言い出す。
これはゴール設定がメンバーに伝わっていない証拠であり、ゴールに合わせた会議プランになっていないことが想定される。

会議の資料を作る

次に会議の資料を用意する。
会議には資料が必要だ。用意するのが前提であるということをまずは理解してほしい。

会議に資料が必要な理由はいくつかある。

1つは、資料があることで、メンバーの前提を合わせることができることである。
社会人は、経験や年齢がばらばらな人たちと会議をするため、同じトピックでも理解度が変わってしまう。だから、今回の議論の土台となる前提条件を資料にまとめておくことによって、全員の理解を合わせる必要がある。

社会人用語の一つに「空中戦」というのが存在する。「空中戦」は会話だけで行われる会議のことで、不毛になりやすい。なぜ不毛になりやすいかというと、前提が可視化されていない会議は抽象度の違う議論になるからだ。

例えば、Aさんは「今のセンターは生産性の向上が急務である」と言っている。Bさんは「お客様相談室はお客様の満足度が大事である」と言っているような時。
抽象度が明らかに異なっている。それは、どちらが正しいとか間違っているではなく、視点の位置が異なっているだけなのだ。



Bさんは抽象度が高い視点で「お客様満足度が大事」と言っているが、Aさんは抽象度を下げて「お客様満足度」を要素に分解し「生産性の優先度が高い」と言っているに過ぎない。資料を使って、会議を可視化し、前提条件を合わせることができないと、上記のようなアクシデントが生じやすい。

2つめに、会議資料を作ることによって、自分自身の提案をより深く考えることになる。
会議に向けてそのトピックについて最も深く考えることは、「好み醤」を退けるための最も重要な装備だ。

資料を作りながら、「A部長はこういう好みだから、こう言われるかもな。そうしたらこう回答しよう」などと考えながら作る。A部長の「好み醤」はきっと思いつきだ。それでも好みで返すのではなく、ロジックで打ち返すことを目指すべきだ。つまりは自分の想いをロジックにするということだ。

この時にフレームワークも有効的である。以前以下のような記事を書いたこともあり、是非参照いただきたい。
感覚派のあなたこそ、フレームワークを使うべき~アイデアをロジックに昇華する方法~

想いをロジックにすることは、「あなたのWant」じゃなくて「みんなのMust」にする最大の防衛策であり、違う意見や感覚を持つ人も同意できるような企画にしていく作業でもある。そうすると、企画はより深みを増すことになる。

会議には資料が必要だ、なんて主張をすると、何やら壮大な資料を作らなければ会議を入れてはいけないと思うかもしれない。

しかし、そもそも会議の時間は有限であるし、会議の主役はメンバーの発言なのだから、たいていの会議は壮大な資料を作る必要はない。
たいていの会議は、word1枚で十分だ。社内会議ならば箇条書きで十分。キレイに作る必要もない。むしろ、1時間の会議にword10枚とか、パワポ50枚とか持ってこられても困る。

会議の進行をシミュレーションする

会議の資料ができたら、どのように会議を進行していくかをシミュレーションする。
自分の企画内容の説明方法、議論の進め方などだ。

私は負けられない会議の前は、家で会議の進め方を練習する。通勤途中でも会議の進め方のことばかり考える。
会議の準備がよくても、会議の進行で雲行きが怪しくなればうまくいかない。会議の参加者の顔を浮かべながら、最大限リアルに会議の進行を想像してみる。

それが、会議での武装の最後の仕上げだ。

参加メンバーにとっても満足度が高い会議を

こういう理論を振りかざすと、たまにこういうことを言う人がいる。
「社内の会議のために準備するなんて、時間の無駄じゃない?もっと大事なことがあると思う。」

こういう人は、自分の時間を無駄にしない代わりに、プロジェクトメンバー全員の会議の時間を無駄にしている。そして、会議の前後でも何も変わらないことになる。それはやらなくてよかった会議だったのだ。

良い会議は、会議に参加しているメンバーがあなたの問題提起を自分事化することで、前向きな議論がなされ、参加するメンバー全員が有意義だったと思える会議だ。
会議で武装することは、参加メンバーの限られた時間を有益にするためにも、重要な取り組みである。

何かしら企画がうまく進まないとき。会議の改善だけで、物事がうまく回りだすかもしれない。

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