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だから従業員満足(ES)は難しい ~CSとの違いから読み解く、ESの捉え方~
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2021.01.27

昨今の、テレワークなどの労働環境の変化により、ESを守ることはより難しくなってきていると感じます。

これまで、従業員にとって、働きやすいオフィス環境を整えることで保っていた部分も、テレワークの新しい環境を整えることにシフトしなければなりませんし、これまでの顔を合わせてのチームワークで保っていた人間関係も、コミュニケーションの様式を考えなくてはなりません。

場当たり的な運用を続けてきた負荷が、そろそろ従業員にのしかかるであろう頃であり、今こそESなのではないかと想い、今回このテーマを選んだ次第です。

そんな今だからこそ、ESの難しさを紐解いていき、着手の一歩にして頂けたら嬉しく思います。

従業員エンゲージメント、ESって身近?遠い?

皆さんは、従業員エンゲージメントやESについて考えたことがありますか。多くの方が、言葉としては大変馴染みがあるように思いますが、実際行動を起こした、という方はどれくらいいるでしょうか。

数年前の「日本は熱意あふれる社員の割合は6%しかいない」という衝撃的なニュースから、あまり状況が変わっていないとすると、多くの方が「知っているけど、取り組んだことが無い‥」という状況なのかもしれません。

「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査

一般に「経営理念が徹底されている会社ほどES度が高い」というように、従業員エンゲージメント・ESの取り組みは、会社として大きな枠組みで取り組んでいくことが多いと考えられますが、私のいるコールセンター業界の場合は、比較的、自分事としてESを捉える機会が多いようにも思えます。

それは、コールセンターがクライアント企業のセンターごとに区切られて運営され、そこにそれぞれの文化を醸成し、育成していくからです。

センターを動かすスーパーバイザー・マネージャー自身が、センターごとにESを作り出して行かなければならない課題に直面する機会が多いのです。

しかし、ESとは実態がなかなか図りにくく、改善は簡単なものではありません。私自身の経験を振り返ってみても、従業員一人一人の様子はとてもよく分かるけれど、ESと括ったとたん、靄がかかり、とてつもなく大きな雲ように思えた感覚を思い出します。

他のセンターでうまく行っているからと言って、その方法をそのまま真似ても上手く行かない経験もあります。

  • 行動のとっかかりとしてアンケートをとったが、意見がバラバラ過ぎて改善に繋がらない
  • 目安箱を設置したが、定着しない
  • 朝の掃除当番を決めたが、長続きせず、かえってやらない人への不満を生む羽目になってしまった

「理念の浸透こそESに繋がる」という教科書に添って取り組みを進めようとしても、言葉ほどシンプルにはいきません。

ポスターを掲示したり、面談したり、朝礼で唱和してみたり、「理念の浸透」という新たなことをしようとしているにも関わらず、使い古されたような打ち手しか思い浮かばず、「ピンとこない」という方も多いかもしれません。

また「理念の浸透」は、時に「理念の強制」という誤った施策に変換され、抵抗感を生み、誤った方向に進んでしまうことさえあります。

では何でこんなにも難しさを感じるのでしょうか。今日はESをもう少し細かい視点で「なぜ難しいのか」を考えていきます。今回は、比較対象としてCSを取り上げることで、ESというものの輪郭を明確にしていきます。

その1【ゴール設定の難しさ】

さて、ここからCSとESを比較する形で違いを探っていきます。
まずは、ゴール設定の難しさです。言い換えれば満足度の測り方です。


上記のように、顧客として「商品に満足か?」の質問を投げかけられたら、答えは簡単に出ると思います。それはお客様にとって、ニーズが明確だからです。

お客様それぞれのニーズは異なれど、お客様側から商品の判定をすることは意外に明確なものです。使い続けたいか、次回も買うか、買わないか、という軸で考えているので判断は明瞭です。その分シビアな評価が下されることも事実です。

一方、従業員として「今の職場に満足していますか?」と聞かれたらどうでしょう。


このように、なんとも曖昧な回答にならないでしょうか。もちろんアンケートのためだけの回答はすぐに出せると思うのですが、本質的かどうかは迷います。実はこの質問ほど、難しいものはないのかもしれません。

「あなたは幸せですか?」と聞かれた際と同じ印象です。「まあ、満足しているともいえるし、もっと満足したいとも思っている」など、大変複雑な感情になります。また質問のタイミングや、誰に伝えるかによっても回答が異なる可能性を秘めています。

「幸せ」の定義が難しいように「働く満足」の定義は壮大です。その定義が曖昧なまま投げかけても、お互い迷宮入りです。語るには大変面白いテーマですが、施策に繋げようとすると、やはり投げかけが粗すぎます。

ESを活動に繋げるためには、ある種の軸を作り、その中でお互い意見し合える環境づくりが大切だといえます。つまり、【従業員のゴール】と【会社側としてのゴール】をすり合わせることです。

まずは、会社としてのゴールを

こうなると、ESに取り組むこと以前に、まず会社や部署・センターごとのゴール設定が重要であることに気付きます。皆に満足して欲しいけれど、満足のために何をしてもいいわけではなく、皆が“ゴールに向かう過程で”満足していることが重要です。

では、ゴールはどう定義すべきでしょうか。売上10億?成約率20%?…このようなKPIをゴールに掲げても、ピンときません。

ESのゴールを考える上で大切なのは、業務上の達成目標を念頭に置きつつも、「従業員視点」で考えることです。「顧客満足」も、顧客の視点で企業がどうあるべきかを考える機会です。「従業員満足」も、従業員の視点で会社・部署がどうあるべきかを考えることがスタートだと思います。

そして、もう一つ大切なのは、相手視点に立った後、企業視点と重ねることです。この両者にとっての共通ポイントこそ、理想のゴール設定だといえます。


この部分が可視化出来てくると、企業・部署・センターとして従業員に伝えるメッセージも見えてきます。

「一緒に成長したい」「楽しく仕事をしたい」「お互いに尊重しあいたい」「仲間を大事にしたい」
メッセージを企業側から伝えることで、従業員も共感できる部分に意識が行くようになりますし、お互いに努力しようとします。共有こそ協働の始まりです。

このメッセージの追求が、ESに取り組む土台なのかもしれません。「理念の浸透」と言われるより、現場感を感じられるのではないでしょうか。

その2【接点が曖昧】

企業と従業員の接点も難しさの根源です。


このようにCSは、チャネルごとに十分な体制を持ち、十分に調査がなされていて、綿密な設計のもとマーケティング活動が行われています。このコントロールが事業の要となっています。


ESの接点は、書き出すと意外にもたくさんあります。そして、いつも一緒にいるからこそぼやけます。もはや、接点ではなく、共同体と捉えるべきかもしれません。

しかも、従業員と企業の繋がりは、あらゆる場面であり、顧客接点をマネジメントするような計画された体制も難しく、領域も曖昧です。

ゴール設定でもお伝えしたような、あるべき状態に必要なあらゆる項目について注意する必要があるのです。
接点、改め、共有領域が多いことを認識することがまずは大切なのだと思います。単発の行動が効果を生みにくいのもこのためだと考えられます。


その3【時間設計が難しい】

最後に、共有する時間の長さです。


顧客と企業が繋がっていられるのは、商品やサービスの利用や媒体を通じてのイメージの発信など、間接的な部分を多く含みます。その間接的なつながりを、いかに身近に感じ続けて頂けるかが、CXのポイントだといえます。接点を線にしていく関係性づくりがポイントです。


企業と従業員の繋がっている時間は、切り取ること自体が難しいです。もともと“線”が約束された関係性です。また商品などの一つの視点を軸に設計するにとどまらず、これまで述べてきたあるべき関係性に必要な要素すべての今後の計画が必要です。

つまり、一つの視点だけを考えればよいわけではなく、かなり多角的な視点でものごとを良い方向に導いていかなければならないですし、今この瞬間だけを考えるのではなく、この先も考えなければならないのです。
ESの“線“は、長くて太いのです。

さらに、顧客に対しては、最高の舞台を見せるために、舞台裏で様々なことを準備できますが、従業員は、殆どの瞬間を共有しているために、舞台裏を作ることが難しく、全て筒抜けです。


結論【従業員満足の答えは、借りものじゃない。歩み寄りによるオリジナリティの獲得である。】

ここまで、いかに難しいかを書いてきましたが、ハードルを上げるつもりなど全くありません。難しいものを分解し、シンプルなパーツに分けることで、少しでも出来ることを増やしていきたいという思いです。

少し分解することで、「ESとはこういうことだ」という教科書的取り組みから、自分たちの文化に根差した取り組みに変換しやすくなると思います。

テレワーク環境は、まだ即席のものが多いと思います。報告のタイミングやPCや機器の配置一つとっても、本人次第な部分が多分にあります。それは、自由領域が増える分、決断が増えていることに他なりません。決断は思ったよりも疲れます。

テレワーク環境が日常化してきた今、改めて、従業員がどうありたいのか、会社としてどうあってほしいのかを考え、お互い歩み寄りの時間を持ってもいい頃だと感じます。

最初は、仕組みや機能で企業の都合でのみ動かしてきた部分を、従業員視点で考え共有することで、独りよがりの頑張りも、チームで乗り切れるかもしれません。

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