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コールセンターこそ、従業員満足度ではなく、エンゲージメントを高めなければならない理由

  • #エンゲージメント

HUMAN

仲江洋美

2023.02.15

“100人で考えるエンゲージメント”という企画を進めています。

当社にはコールセンターや事務センターに勤務するオペレーターがたくさんいます。
オペレーターさんたちが、より働きやすく、よりやりがいを持って、よい仕事ができるよう、スーパーバイザー100人でエンゲージメントについて考えていこうという企画です。



100人といっても一堂に会するのではなく、フェーズやチームを分け、いくつかの企画が実行に移されるまでに合計100人の意見を反映していこうというもので、今は第1フェーズのワークショップを終え、第2フェーズに突入したところです。

これまでも、各センターや拠点では、個々にエンゲージメント向上の取り組みをおこなってきました。しかしコロナ禍。研修すらできるだけ集合を避け、飲み会はおろかランチも黙食・孤食を推奨する等、コミュニケーションが制限されました。エンゲージメント向上の活動は、どうしても停滞気味になっていたと言わざるを得ません。

そして今、コロナ禍も終わりが見え始めてきたところで、エンゲージメントの機運を盛り上げていこうと、この企画が始まりました。

さて。では、まずは“エンゲージメント”とは何なのか、言葉の意味を理解することから始めていきます。

“エンゲージメント”と“従業員満足”

“エンゲージメント”という単語をよく聞くようになったのは最近のことです。その意味をWebで調べたり本で読んだりして理解しているつもりですが、“エンゲージメント”とは、どこまでいってもわかったような、わかっていないような、そんな感覚が残る言葉で、私はこの言葉を簡潔に説明できません。ですから長めの具体事例で考えてみました。

“エンゲージメント”を理解する時、たいてい“従業員満足”と比べます。

“従業員満足度”とは、仕事内容、給料、休暇、環境、上司の支援など会社が与える条件に、従業員が満足しているかどうかのことをいいます。

“エンゲージメント”とは、会社の考えや想いに、従業員がどれだけ共感し愛着をもって仕事に取り組めるか、ただ仕事をこなすのではなく自発的に良い仕事をしたいという想いを持って働けているかを指します。

ということは、従業員満足度は高くても、エンゲージメントが低い職場もあるわけです。

例えば
 ・仕事内容はイヤじゃない
 ・時給にもまあ満足
 ・通いやすい
 ・自分の好きな時間に働ける
 ・職場や休憩室がキレイ
 ・上司がみんな親切でイヤな人がいない

という職場。
不満は無く"従業員満足度"は高いといって良いでしょう。

しかし――――
これと同時に次のような状態も成立します。
 ・一人で仕事ができるようになったので、上司や同僚と話す機会が減った
 ・仕事に慣れてきたので、最近は成長実感がない
 ・対応に問題がないから、叱られもしないけれど、褒められもしない
 ・自分と同じ立場の人がたくさんいるので、自分の存在意義・価値を感じづらい

例えば、数人で回せる規模の飲食店の場合、「これ5番テーブルに出してきて」「ハイ!」とか「作れるドリンクの種類が増えてきたね」とか、仕事を通じたコミュニケーションをしやすく、チームワークを感じやすいので、上司や同僚と話すことなく仕事が進むという状況は、想像しづらいかもしれません。

しかし、同じ役割のオペレーターが数十人以上いるコールセンターでは、こういうことが起こりやすいように思います。一人で上手く応対できるオペレーターはなおさらで、エスカレーションやフィードバックの機会が少ないので、あえて機会を作らないと、上司との会話の機会は減ってしまいます。

仲間意識を持ちづらい、成長実感も最近ない、承認欲求も満たされない、自分の存在意義を感じづらいとなると、私だったら、ちょっとしたことで休んでしまいそう。そして、仕事の手を抜くことはなくても、必要以上には頑張らないかもしれないな、と思ってしまいました。ごめんなさい。

これが“従業員満足度”は高いのに“エンゲージメント”が低い状態なんだと思います。

対面の取り組みがやっぱり強い

コールセンターのオペレーターは、意識的に交流機会を作っていかないと孤独になりやすいからこそ、私たちは意識的に行動していく必要があるのです。

さて、100人で考えるエンゲージメントの話に戻ります。

第1フェーズでは全5回のワークショップを開催し、合計49名が参加しました。ワークショップでは、これまで各センターでおこなってきたエンゲージメント向上施策の成功事例や失敗事例、そしてこれから先、ミライにやってみたいアイデアの共有をしました。

挙がった意見の数を集計した結果が下表です。



まず私が注目したのは「声掛け・褒める/1on1面談/座談会・勉強会」といった対面での取り組みです。これらの取り組みは、成功事例が多いのに失敗事例がほとんどありませんでした。面と向かって話せば想いは伝わるし、うまく伝わらなかったらその場で取り戻せる。センターが面談や座談会に使った時間は相当と思われますが、いくつかのセンターで欠勤率や退職率が下がった、生産性や品質を上がったという成果に結びつきました。

実は難しい表彰

意外な難しさに気づかされたのは「表彰・プレゼント」です。成功事例もたくさんあるのですが、失敗事例もそれなりにあります。「失敗」と判断するに至った理由は何でしょうか。

表彰を始めたばかりの頃は盛り上がります。
しかし、それを毎月続けていくと同じ人ばかりが表彰されるようになります。表彰される人は表彰されることに慣れ、表彰されない人は関心を示さなくなる、誰にとっても刺激が少なくなってしまうのです。

そこで次の段階で表彰される対象者を増やすことを試みます。
なんと、これがうまくいかないというのです。意外です。表彰される人が身近になると「〇〇さんが表彰されることに納得いかない」といった不満の声が出るというのです。なかなか難しいものですね。

となると次は全員を表彰しようと更に対象を拡大したくなります。
例えば「明るい de 賞」等、個性に着目した表彰をおこないます。オペレーターさんそれぞれのことを想って表彰するとは、なんと素晴らしい取り組みでしょう。オペレーターさんの個性や強みをよくわかっているセンターでは大成功します。しかし、継続が難しいこと、ピントがズレれば期待ほど喜んでもらえないことは、理解しておいた方が良さそうです。

どの層に対する取り組みか(ハイエンゲージメント層か、ローエンゲージメント層か)、どのくらいの頻度でやるべきか(毎月か、半期に1度か、1年に1回か)。この2つの要素のバランスが大切であるということを学びました。

100人で考えるエンゲージメントは、第2フェーズへ

第1フェーズのワークショップでは、ファシリテーターをしたり、見学をしたり、議事録を読んだり、事前のアンケートも全て目を通しました。参加したスーパーバイザーのエンゲージメントへの熱い想い、深い考えに感心しました。ミライの取り組みの楽しいアイデアに刺激をもらいました。失敗事例には「それはダメでしょ!」とも思いました。そしてエピソードの中には痛みを感じるような話もありました。現場はキレイごとでは回せないという事実はしっかり胸に突き刺さりました。

仕事ってどんな立場の人にとっても、喜怒哀楽ぜんぶだなぁと思わされました。仕事は楽しいこと、嬉しいことばかりではありませんが、“喜”や“楽”が増えるようエンゲージメント企画をしっかり進めていかなくてはと、とても強く思っています。

第2フェーズでは、次の6テーマで取り組みます。現場ドリブンを読んでいただく皆さんにも良いお知らせができるよう、しっかり進めてまいります。



当社はオペレーター採用サイトをリニューアルしました。
オペレーターさんがどのような思いで仕事に取り組んでいるか、ご自身の生活の中で仕事をどう位置付けているか。たくさんのオペレーターさんのお話には誰もがきっとほっこりした気持ちになることと思います。ぜひご覧ください。



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