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「失敗」のインサイドとアウトサイド ~失敗との向き合い方~

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2022.08.10

「成功を祝うのはいいが、もっと大切なのは失敗から学ぶことだ」
「失敗とは、成功のもと」
「失敗を恐れるべからず」

世の中には、「失敗」にまつわるたくさんの名言があります。どの名言も大変説得力があり納得できます。失敗を成功に変えている人はすごいなと思いますし、他者の失敗もまた、学びが多いのも事実だと思います。

世の中の失敗学の本には、名だたる企業の失敗事例を取り上げ、その原因を明らかにすることで二度と繰り返さないよう教訓化し、学びに繋げています。やはり「失敗」は成功の元とするのが正解なのでしょう。

しかし、もっと自分に身近な「失敗」は、皆さんどのように捉えているでしょうか。現代のビジネスマンにとってやはり「失敗」は天敵。失敗をして「よし、またひとつ成功に近づいた!」と思えるマインドの人がどれほどいるでしょうか。

短期間で結果を出さなければならない私たちが、失敗恐怖症になってしまうのも仕方ありません。できれば失敗したくないと誰もが思っていると思うのです。

このように、「失敗」のあり方が名言の中とは異なる環境下にある私たちにおいて、「失敗の美学」をふりかざすのが本当に正解なのでしょうか。

失敗のアウトサイドは効率的な学びとなりますが、失敗のインサイド、つまり当事者とその周りは学びにするまでには大きな葛藤があります。「失敗」を受け入れることのできた人は、結果「成功」しているのだと思います。

その「成功」経験者が「失敗」を語るケースが多いために、「失敗」がやや美化されているような気もします。本当に「失敗」に壁を感じている人には強すぎるメッセージであるケースも少なくないと思うのです。

すべての失敗の関係者が上手く消化できているわけではなく、メンタルダメージも受けてきているはずです。

本日は大小さまざまな失敗に遭遇してしまった際のインサイド視点での失敗との向き合い方を考えてみます。

自分は失敗を受け入れられるタイプなのか

まずは、自分と失敗について整理します。
以前の私は、今よりもずっと「失敗」という言葉に過敏に反応していたように思います。コールセンターでSVをしていたときには、一番その「絶対失敗したくない」意識が大きくありました。

とはいえ、センター運営はそんな簡単なものではありません。想定通りの生産性を保てないことも多くありましたし、理想とする品質に至らずもがいていたこともあります。あまりに長く続くと、どこかで自分でも「失敗」に似た感情を感じます。

それでも、メンバーもクライアント様も、みんなプロセスを知っているせいか、誰一人「失敗」とは言わず、「頑張った」ことを褒めあって何とか状態を保っていたようにも思います。

しかしこの時、もしも会社や他者から「このやり方は失敗」だと言われていたら、上手く受け止められた自信が正直ありません。ギアを思いっきり入れた状態での結果のため、他者からの「失敗認定」は、「自己否定」にも似た感覚として受け止めてしまい、荒れ狂っていたに違いありません・・。自分で「失敗」をわずかに感じていてもです。皆さんにも思い当たるような経験はないでしょうか。

私は、しばらくこの状態を、ただの「負けず嫌い」と処理していたのですが、どうやらそんな単純ではなさそうです。実はその人が「失敗」を受け入れられるかどうかは、思考傾向によって異なるという研究があるそうです。


(心理学者:ジェイソン・モーザー氏)


固定型マインドの人は、「知性・才能は変わらないんだ」と思いやすい人で、自分にかかわる失敗を捉えるときに原因を自分に置きやすいと言われています。

一方、成長型マインドの人は、「努力によって知性・才能は伸びる」と考えていて、失敗に目を向けたときに原因はプロセスにあると考えられるため、失敗を分析し成功まで行動を継続しやすいそうです。

確かに、自分を責めたら誰だって失敗を受け入れるのは難しくなります。しっかり原因分析をすることが大切ですね。

ではこの成長型マインドはどうしたら身に付けられるのでしょうか。以前の私はどう考えても「固定型マインド」です。でも今は少しずつ「成長型マインド」に寄ってきたような気もしています。その差は何でしょうか。

恐らくそれは、「失敗からの成功」体験に他ならないのではないでしょうか。でもそうなると厄介です。成功するまで負のループに陥ってしまいそうです。そうならないための初期の失敗との向き合い方を考えていきます。

慣れないときは失敗を「失敗」と言わない

失敗を学びに変えていくためには「客観視」がとても大切です。しかし「失敗」という言葉は「負け」「敗北」という何とも感情的なイメージが含まれていて、少々客観視の邪魔をしている気がしてなりません。

実は「失敗」をただの「失敗」と呼ばないことが成長型マインドの大きなステップなのだと思います。

「私は失敗したことが無い。ただ1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」

エジソンのこの名言中の名言は、そんなマインドの見本であるともいえます。
逃げずに向き合うことは必要でとても大事ですが、「失敗」という言葉が馴染まなければ「失敗」と言わない、これもメンタルコントロールとして大事な気がします。

特に自分が関係していない失敗に遭遇したときは、この辺りは特に気を使ってほしい部分です。自分が「成長型」マインドだった場合、相手に向かって良かれと思って「失敗」という言葉を使ってしまうことがあると思います。

しかし、相手が「固定型」マインドだった場合、相手を不用意に傷つけてしまうことになりかねません。

1.ゴールに届かないときは、不足を見ず、足跡を見る

さて、まず一つ目の失敗対処法です。なかなかゴールにたどり着かないケースの失敗の例です。忙しいSVにはタスクが進まず達成できないケースも多々あるかもしれません。

そんな時には、その事象全体を「失敗」とざっくり捉えてしまうとモチベーションも上がりませんし、出来ていないことばかりに目が行ってしまい、これでは上手くいくものも行きません。

「失敗」の兆しを感じたら、やってきたことに目を向けると良いです。すると、「不足」ではなく、「+α」としてそのゴールまでの道のりが見えてくることがあります。

「あとコレとコレをやらなきゃ」という狭い視点から、「こうしたら上手くいくかも」「これも同じようにやったら早いかも」という効率的な視点も見えてきます。ここでも原因を自分にすることは厳禁です。「コト」の整理をするのがポイントです。


2.思った結果と異なる時は、ゴール地点との差を見る

失敗のよくあるケースのもう一つが、計画通りやってはみたが、想定のゴールと乖離があるケースです。その場合結論が出ているので「失敗」がもっと目の前に押し寄せてきます。

この場合も、やってきたことすべてが失敗なのではなく、どこを調整すればよかったのかを冷静に見極めることが大切です。


最近、私はこれに近い体験をしました。長い時間を費やしてきたプロジェクトの結果が想定と違ったのです。

しかし一緒に進めている関係者の皆さんが、「試してみた価値はありましたね」「ゴールまでの方向性が見えましたね」とまさに、お手本のような切り返しをすぐさましていたので、私が普段陥りがちな「私のミスリードではなかったか・・」という負の思考に偏り過ぎずに、修正ポイントと出来ることを冷静にかつ集中力を保って取り組むことに繋がったと思っています。メンバーのアシストは、とても大切です。

3.ありたい姿への唯一のシナリオはない、サクセスストーリーは複数ある

最後に、複数シナリオの重要性です。失敗を受け入れるときに大切なのは、「想定外もある程度想定しておくこと」です。リスクヘッジに近いです。

成功のイメージが固定化し、余白がなくなると、当然自分に課するハードルも高くなり、自分で自分の首を絞めることになります。想定外も想定しておく、もっと言えば「失敗を想定しておく」ことで人は強くなります。

想像力はメンタルを鍛える大きな要素だと思います。TO BEを描き強い成功イメージを抱くことはとても大切なのですが、時にはセカンドプラン・サードプランに切り替えられる余白が大事です。


この考え方は、「絶望」しないための対策に似ています。あるメンタルトレーニングの本で、「絶望」は固定概念からくると学びました。例えば人生の成功プランを固定化しすぎると、破滅しやすいということです。

他人との交流や、小説や伝記などで様々な方の人生に触れ、様々なシーンを自分事として捉えておくことが、固定化せず、柔軟に状況を受け入れるメンタルに大いに役立つそうです。

これを知って以来私は、何か落ち込んだことがあると、自己反省だけに費やすのではなく、他者の経験に目を向けることを意識的にしています。そうすると、復活が早くなったりヒントが見つかることがあるのでお勧めです。

コールセンターは失敗からの学びが日常?

さて、今回改めて「失敗」についてまとめてきて、気づいたことがあります。それは、私たちコールセンターで働く人たちは、「失敗」を学ぶサイクルを実行しやすい環境でもあるということです。

実は日々小さな「失敗」=「改善できる余地があること」をたくさん経験し、知らないうちに「改善実行」までしているのがオペレーションなのです。

オペレーションは継続であり、区切りが無いので、「失敗認定」せずとも「改善サイクル」に入っているので、小さな失敗感覚的に受け入れることが出来ている人も多いのかもしれません。

しかし一方で、大きな「失敗」は影響が大きく、その対処方法となると感覚的に動けず、立ち止まってしまうことがあるのかもしれません。また社会人として成長すると、オペレーショナルな領域から、企画・構築・課題解決といったより大きなテーマにかかわることになります。

成長にしたがって、大きな失敗リスクが大きくなることも徐々に自覚していくことも大切なのだと思います。今のうちに自分なりに「失敗」の受け入れ方を消化し、人生ずっと「成功」とはいかない状況を想像しておくことが大切だと思うのです。

他人からの失敗認定にはどんと構える

ここまで、自分と失敗との向き合い方を考えてきました。しかし先に記載したように成長とともに、仕事の領域も大きくなり、関わる人がどんどん広がります。

すると、自分では、計画や成功イメージの道中にあったとしても、他者から失敗認定されてしまうケースは結構あるものです。大きな仕事になればなるほど、関係者ではない第三者や社外からもそのように見られてしまうことさえあります。

そんなときは、是非今回の失敗への向き合い方を思い出してください。他者は「不足」部分しか見えないものです。他者からの評価にはどんと構えて、冷静に「コト」と向き合い、逆に他者からの失敗認定を起爆剤として利用できるくらい強くなりたいものですね。

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詳しい資料は、以下からご覧いただけます。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-126.html


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