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オペレーションを進化させる
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新人研修は「頭ではわかっている。でも、できない。」に対処するカリキュラムであるべき。
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HUMAN

形柳亜紀

2022.04.20

最近英語の勉強を始めた。
受験の折にある程度勉強したはずであるが、当時勉強したことは大体忘れていて、「日本の受験英語ひどくない?」ってなっている。自分が悪いのだけれど。

マンツーマンの英会話に通っていて、講師は全員外国人。間違った英語を話すとすぐに訂正される。
「I have trouble my computer.」と言うと、「NO!I'm having trouble with my computer.」こういう感じ。
1つしゃべると、1つ修正されるのだ。

「trouble」にwithをつける、というのはそもそもわかっていなかったけど、be動詞+ingくらいは理解している。でも、いざ話すと全然出てこない。HeとかSheには三単元のsをつけることも知っているけども、平気でHe say~と言ってしまう。

こういう感覚を身に着けることが、話せる英語を学ぶということなのかな、と漠然と思ったりもする。とはいえ、あまりに初心者すぎて、長い道のりだ。

さて、英会話を始めて、つくづく英語はスポーツと同じだと感じている。

2月、少し仕事が忙しくて、二週間くらいレッスンを中止した。
そこまでも大して英語力に改善が見られないと思っていたのに、二週間経つと更にできなくなっていて驚いた。
口も頭も回らなくなり、元のつたなすぎる英語力に戻すのすら、3回くらいレッスンが必要であった。

その感覚は、アスリートが「一日練習しないと、戻すのに二日かかる」というようなことと同じ感覚ではないかと思った。私の英語力と比較するなんて、この上なく失礼だけれど。

さて、異国の言語ではないが、コンタクトセンターのオペレーターがデビューをする過程も、英語の習得に似ている。これまで知らなかった謎の業界用語を覚え、謎の業務フローを理解し、人によっては一般的ではなかったコンタクトセンターの感じの良い応対をこなさないといけない。

「trouble with」のようにそもそもわかっていないこともあれば、三単現のsのように「頭ではわかっている。でも、できない。」こともある。そんな色んな感覚の事象がしばしば混ざるところが似ているのだ。

つまりは、英語と同じようにコンタクトセンターの業務習得は、もはやスポーツなのだ。

英語もコンタクトセンターも、もはやスポーツと同じ

コンタクトセンターというのは、研修に多くの時間が割かれる。新人研修を100h程度行うのはザラである。SVは100hの研修を構築しなければならないのだから、それなりにカリキュラム策定力が求められる。

私がSVだった時も、業務の結構な時間を割いて、どうやったらオペレーターさんにわかりやすい研修ができるか?について考えていた気がする。

特に新人の初期研修は、その品質でデビュー率が変わってくる。研修の理解度を高める努力や、講師の雰囲気、この仕事はできそうだ、というような自信などを身に着けてもらうのが、この初期研修期間だ。

コンタクトセンターの初期研修のカリキュラムを見ると、先ほど述べた「頭ではわかっている。でも、できない。」ということと、「そもそもわかっていない、知らない」ということが整理された上で、全体像がデザインされた設計になっていないことも多いように思う。

言い換えると「知らないことを教えてあげるだけ」の研修に終始しているケースが見受けられる。

その要因は、以下のようなことではないかと考えている。

①    「頭ではわかっている。でも、できない。」という人としての特性が、当然であることとして、認められていないパターン
「教えたことは、できる」という前提になっている。そのような場合、初期研修は知識を教える時間として活用される。

スポーツ(剣道)で考えれば「ここで振りかざして、右足を出しながら相手の面を打つのが『面』である」という知識を落とし込みだけして、一度も面を打つことなく、いきなり試合にアサインされるイメージだ。

このような考えのもとカリキュラムが策定されていると、面を打ったこともないのに、実際にはできなかったときに「研修で習ったのになぜできないの?」と注意されている可能性すらある。

②    「頭ではわかっている。でも、できない。」を認めたうえで、「やって見ないとわからないよね」パターン
「実際にお客様対応をしてみないと本質は理解できないから」と、大したトレーニングをせずに受電をさせてしまうケースだ。

これはお客様に練習相手になっていただくということであり、お客様に対し失礼極まりなく、さらにはオペレーターにとっても過酷な状況を強いているのではないかと思うこともある。

スポーツに例えるなら「面」の打ち方は教えてもらえるけれど、「有段者と試合したほうが感覚をつかめるから」と、いきなり試合をさせられるイメージだ。有段者の容赦ない打ち込みを受けて、二度と試合に出たくないとなってもおかしくない。これは、オペレーターの自信を損なう研修カリキュラムであると言える。

どちらの方法も、スポーツではご法度なのに、コンタクトセンターでは散見される研修方法だ。

そこで、本日はだいぶ前置きが長くなったが、もっとスポーツっぽく、研修プログラムを考えませんか?という提案である。

つまりは知識の落とし込みではなくて、「頭ではわかっている。でも、できない。」を研修の中でうまく改善できないだろうか、ということである。

スポーツっぽい研修プログラムとは?

さて、ではスポーツっぽい研修カリキュラムはどう作ればいいのか。

「そもそも知らないこと」と、「頭ではわかっている。でも、できない。」項目に分けて、設計するのだ。前半は知らないことを教える内容。座学やテストなどが該当する。

これは、サービス内容や業務ルール、システム操作など、知らなければわからないことだ。それらを座学などで教えたら、テストをして定着を図る。英語で言えば、eatの過去形はateで、過去完了形はeatenというのと同じ。
きっとここまではどこのセンターだって、やっているはず。

その後、重要なのは「頭ではわかっている。でも、できない。」にアプローチする時間を割くことである。

eatの過去形はateだとわかっていても、会話の中で自然に「I ate an apple.」とすっと言えない。
それは習うことではなのなく、練習することなのだ。ではどうやって練習するか?
その答えは“音読” と “ロールプレイ” だ。

実は、トークスクリプトの音読をするセンターはおそらく少ない。

ちょっと怪しげ、恥ずかしいなど、ネガティブなイメージがあるかもしれない。しかし、音読することで頭が整理され、情報が入って来るという効果がある。文章を書いたときに黙読で推敲しても気づけなかったことが、音読すると急に文章のおかしさに気づくことがあるように。

コンタクトセンターはスクリプトを音として発音することに価値があるわけだから、「スクリプトを音読する」ということはトークの流れを理解し、かつ言い回しを研究する上で有効な手段である。

ぜひ、トークスクリプトを国語の授業みたいにみんなで音読するカリキュラムを追加しよう。みんなでやれば恥ずかしくない。

また、多く時間を取るべきは、ロールプレイだ。しかしこのロールプレイ、センターの現場においてはとても過小評価されているような気がしてならない。
一定数、アンチロールプレイのSVが存在すると認識している。

ロールプレイが過小評価される理由は2点である。

①    お客様はスクリプト通り話さないから、実践に即していない。
ロールプレイを嫌う人の言い分として、「結局、お客様はスクリプト通り話さないじゃないですかー」というのがある。
確かにお客様は、オペレーターの名乗りを遮って要件を話し出すことがあるかもしれない。しかしそれは、相手は難しい球を打ってくるから素振りをしない、と言っているのと同じである。

素振りの効果はフォームを安定させることにある。フォームが安定しているからこそ、応用して難しい球も打ち返せるわけである。よって、トークのフォームを整える、という意味でもロールプレイで基本のトークフローを体に叩き込むことは大事である。

②    オペレーター同士のロールプレイは充実しない
業務内容がわからないオペレーター同士でロールプレイをしているので、ロールプレイの内容が充実しない、という言い分もある。これは、ロールプレイ準備の不足があろうと思う。ロールプレイはオペレーター同士の自主練という位置づけだと、ご指摘の通り、ダレてしまうであろう。

ロールプレイこそ準備が必要だ。お客様の設定、お客様情報、お問い合わせの内容等をまとめたロールプレイシナリオを作成し、それに沿ってロールプレイをすることでロールプレイの中で新しい発見を見出すことができ、内容も充実してくるであろう。

ロールプレイのテクニックとして、SV同士の模擬ロールプレイも有効だ。プロジェクターなどで操作画面をつないで、ロールプレイをオペレーターに提示する。そうすることでデビュー後のオペレーターに求められるレベル感のイメージをつけることができるだろう。
ロールプレイを全体で行いながら、個別のペアの間に入って、ロールプレイをチェックすることも有効だ。
それも事前に伝えたほうが良い。チェックされると思うと、人は一生懸命練習する。

そして、研修が深まるにつれて、ロールプレイの難易度を少しずつ上げていく。すると、どこかのタイミングでロールプレイの手が止まってしまうような難題がオペレーターに課される時もある。その際に、保留にしてSVにエスカレーションをすることすら、練習するのだ。それが、実際の応対で生じる光景であり、手も足も出ない状況を練習することで本当のお客様対応でも同じことが生じたときに落ち着いて対応ができる。

さて、どうだろう。
研修はレクチャーとトレーニングの連なりなのだ。その全体感を理解した上で、うまく研修カリキュラムを設計してもらいたい。

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詳しい資料は、以下からご覧いただけます。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-130.html


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