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フィードバック・トレーニングは背中を見せて、背中を押す仕事

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HUMAN

sato

2022.03.30

先日、人生で初めて歯(親知らず)を抜きました。
クリニックの先生には「今年中に3本抜いてしまいましょう」と言われていて、あと2本抜かなければならないのですが、ひとまず1本を抜いてほっとしつつも、あと2本抜く日が来ることに怖気づいています。

歯を抜くことになったのはかなり突然のことで、痛むわけでも虫歯になったわけでもなく、磨きにくく今後生涯のリスクを考え、抜いた方が良いという先生の判断でした。私は歯を抜く気なんてさらさらなくて、のらりくらりしていましたが、ついには先生の後押しで歯を抜くことになりました。

先生:「佐藤さん、今年中に3本抜いてしまいましょう。」
私 :「はい、、(全く抜く気なし)」
先生:「佐藤さんとしては、痛くもかゆくもなくて気にならないから、抜く気持ちにならないと思いますが、リスクがあります。覚悟が決まったら教えてください。」
私 :「はい、、(ここでもまだ全く抜く気なし)」
先生:「佐藤さん、3本あるうちの一番簡単に抜ける1本を次回抜いてしまいましょう。」
私 :「え、、はい、、(え、まじか、、抜くの?!)」

私は、歯を抜くことが決まった後、ビビりすぎて周りの多くの仲間に話を聞いてもらいました。きっと、あと一押し背中を押してもらいたかったんだと思います。
意外に「あー、大変だね。頑張って。」で会話が終わる人は少なく、これまで歯を抜くかどうかで悩んだことがある人がたくさんいました。

「私も抜いたことあるよ。上の歯は平気だったけど、下の歯は結構腫れたよー」
「よく決心したね!私も先生に抜けって言われているけど、怖くて抜いてないのよね。」
「アイドルの○○くんは、入院して4本全部一気に抜いたんだって!」

など、様々な話を聞けました。驚いたり癒やされたり、余計に怖くなったり、でもしっかり背中を押してもらえたと思います。

さて、抜歯当日、恐る恐る診察台に上がり、緊張もピークのころの先生との会話です。

先生:「(歯を抜く)覚悟はできましたか?」
私 :「いえ、それは全くできていないです・・・」
先生:「そうですか。ここまで来たら抜いちゃったほうが楽なんでね、抜いてしましましょう!」
私 :「はい・・・」

かなり自然に背中を押され、1分後には無事に歯を抜くことができました。

仕事の場面でも、私は日々いろんな人に背中を押されていると感じることがあります。
また、私自身もコールセンターの応対品質改善活動の場面で、いろんな方々の背中を時にはそっと、ある時にはかなりしっかり押してきたように思います。

さて、前置きがとても長くなりましたが、応対品質改善のためのフィードバックのお話しをします。

フィードバックと言う勿れ、トレーニングである

よく応対品質改善のための面談を「フィードバック」と言いますが、当社では「フィードバック・トレーニング」と呼ぶようにしています。
なぜなら、面談の場なので「フィードバック(伝えること)」はもちろんしますが、何よりその先の「トレーニング」が大事だと考えているからです。

例えば「笑顔が足りないですね。口角をしっかりと上げて話しましょう。」とフィードバックしたとします。おそらくオペレーターさんは「はい、わかりました。」と言うでしょう。
ところが、実際の応対でできるかは、この時点ではわかりません。できるかもしれないし、できてもトレーナーが思い描いている理想とは異なるレベルかもしれません。

トレーニングの役割は、「なんとなくできるかな~」と思うところから、「できた!」までもっていくことです。わかった気になったけど、できないことって結構あります。

トレーニングは、講師の本気

では、トレーニングって何をするのか、です。本日はトレーニングの方法をいくつか紹介します。

1つめは実際のフレーズをロールプレイで実際の応対さながらにやってみることです。フィードバックした後に「では、今のをやってみよう」と、ロールプレイをしてしまうのです。
最初、オペレーターさんは「え、声出すの?やだなー、はずかしいなー」という心情も少なからずあると思います。ここでオペレーターさんをその気にさせるには、トレーナー自身が本気で取り組むことです。

まずは、トレーニングをオペレーターさんだけにやってもらうのではなくて、トレーナー自身がお手本を見せます。そうすることで、オペレーターさんの背中がしっかりと押され、何度かトレーニングを重ねると、トレーニングをすることが当たり前になって、トレーニングがないフィードバックは物足りないとさえ思うでしょう。

上記以外にも、さまざまなトレーニングの方法があります。

・お手本を聴く
トレーナーの要件は「精いっぱい本気でやって見せること」ですので、トレーナー自身の応対が際立ってうまい必要は必ずしもありません。そのような場合は、上手な応対を一緒に聴けばよいのです。オペレーターと一緒にお手本の応対を聴き、トレーナーも一緒に練習してみましょう。どういう応対が良いかイメージができない、というオペレーターさんには特に有効な方法です。良い応対を聴くことで、目指すべき応対のゴールを設定することができます。

・ミニ研修/ミニテスト
トレーニングツールを使って、ミニ研修を行うと理解が深まります。
例えば「復唱をしましょう」と伝えても、なぜ復唱が必要なのかを最初に伝えなければ、オペレーターさんは復唱しようという気にはなりません。

概要を理解してから、ミニテストやロールプレイなど、実際に声に出してトレーニングを行うと効果的です。
このトレーニングで使うフレーズは、実際担当するセンターでの応対に出てくる内容で行うと、より実践的で、高い改善効果が期待できます。

当社には『10min Training(10分間トレーニング)』というトレーニングツールが、30コンテンツほどあります。オペレーターさんの特性に合わせて、受け可の時間等を活用して自習ができるようになっています。


<10min Training>

・掲示物
トレーニングは、やってみるだけでなく意識付けもとても大切です。常に意識できるように、オペレーターさんの席に専用の掲示物や付箋を貼ることでも効果があります。これもトレーニングの一つです。

・業務知識/動機付け
トークが安定しないのは、トーク自体が原因でないこともあります。
例えば、業務知識の不足の場合、自信を持って対応できるよう業務知識への不安を取り除く必要があります。
また、モチベーションが低い、自信が持てないなどの問題から応対が悪くなっている場合は、メンタルケアが必要です。

トレーニングは、しつこいくらいがちょうどいい

私は、よく「しつこい」と言われます・・笑。

まず、1回のトレーニングの中でも、しつこさを発揮します。
例えば、ロールプレイは1回やっただけでは全然足りません。できるまで、しっかりイメージがつくまで何度も繰り返し実践します。たぶん、皆さまが思っている3倍くらいは行います。もしかしたら5倍くらいかもしれません。

そして、私のしつこさはここで終わりません。トレーニングが終わった後の応対をできる限り聴くようにしています。もしそこで成果が全く見られなければ、トレーニングが足りていない、もしくは内容が理解できていないからです。もし少しでも改善が見られれば、褒めるチャンスにもなります。

改善すると決めたら、必要であれば毎日でもトレーニングをします。最初はオペレーターさんにとってはイヤイヤかもしれませんが、どんどん改善してしまいます・・笑。時には、数年がかりなこともありますし、改善が緩やかなこともありますが、トレーニングをしていれば、今より応対が悪くなることは絶対にありません。品質の維持もQA活動では重要なポイントです。

褒めることを忘れずに

トレーニングのお話しをしていると、どうしても指導方法や改善すべき点ばかりが中心になってしまいますが、本来フィードバック・トレーニングの場では、背中を押して「やってみよう!」と思ってもらうためにも、褒めること、良い点を伝えて伸ばすことも大変重要です。このことを私自身忘れないよう、心にとめています。

この記事が皆さまのお手元に届いているころ、私は2本目の歯を抜き終わっているはずです。
きっと仲間のみんなは、無事に歯を抜き終わった私を褒めてくれると思います。そして最後の3本目の歯を抜く勇気を持てているといいなと思っています。

私も、仲間に背中を押してもらいながら、日々前にしっかりと進んでいきます。

ビーウィズでは、コールセンター教育を効率化し、オペレーターの成長サイクルを高める教育プラットフォーム『Qua-cle(クオクル)』をご提供しております。

『Qua-cle(クオクル)』は、コンタクトセンターにおける応対品質の課題を解決するために必要な、「学び」・「トレーニング」・「フィードバック」の一連のサイクルを実現する、コールセンター向け品質改善プラットフォームで、eラーニングから学ぶだけではなく、フィードバックのサイクルまでを組み込んだことが最大の特徴です。
モニタリング自動評価(応対のSTTデータによる評価)機能では、日常の自分の成果を月に一度、確認することができるため、オペレーターにとって大きな成長機会に繋がります。


詳しい資料は、以下からご覧いただけます。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-130.html


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