私 「今日、お父ちゃんの誕生日だよ」
息子 「まじ!!」
私 「手紙でも書いたら?きっと喜ぶよ」
息子 「OK。できた!」
ある日の私と息子の携帯でのやり取りです。日付感覚がなく、今を生きている息子9歳は、毎回こんな調子です。祝いたい気持ちはあるようで、手紙やら折り紙のわっか飾りやら家族の誕生日には用意してくれるのですが、いつもなんだかドタバタしています。
仕事も終わり、私はどんな手紙が出来上がっているか楽しみに帰宅しました。
「お父ちゃん、お誕生日おめでとう!!! いつまでも元気にお過ごしください。」
褒めなきゃいけないことはわかっていますが、思わず笑ってしまいました。「いつまでも元気にお過ごしください」のチョイスが定型文持ってきた感がぬぐい切れなかったからです。きっとこの間、祖父の誕生日の際に書いた手紙の感覚が残っていたのでしょう。
気持ちは分かります。大人でもついつい定型文を持ってきてしまう文化はあると思います。相手との距離感を間違えた表現も多々あります。想いと文章が釣り合っていない表現も。
本日は「文章」にスポットを当てた伝達術を考えてみたいと思います。
何故文章だとぎこちなくなるのか
まずは、文章について考える前に、【会話】について整理してみます。
そもそも会話とは、「二人以上の人が、何らかの方法で意思を交わし、共通の話を進めること」と辞書に記されています。「共通の話を進めること」、これはとても良い表現ですね。やはり共通の話になっていないものは会話とは言えません。さらに私個人としては、共通の話を進める際に大事なポイントは、相手との距離・立場や環境の違いを適切に見極めることだと思っています。よってここでは、【会話】を、下記のように解釈したいと思います。
会話とは・・・
「①相手と自分の距離を適切に見極め、②それに応じた内容で言葉を伝え合いながら、③共通の話を進めること」
では、この会話が成り立っている対面での会話と、ぎこちなくなってしまった文章の事例で確認してみましょう。
【Scene】先輩社員から、間違いを指摘してもらった時の対応
対面:
「●●さん、先ほどの件有難うございました。私も迷いながら、Aを選んでしまったので・・。
Bなんですね、大変勉強になります!すぐ直して提出します。」
テキスト:
「●●さん、申し訳ございません、承知しました。
すぐに対応いたします。よろしくお願いいたします。」
これは、私が新人の時にやってしまった実例です。対面での会話例が、私の本音です。対面なら背景も自分の気持ちも、適度にそして気軽に伝えることが出来たかもしれません。
しかしテキストでの崩しはまだできない年頃でしたし、失礼があってはいけないという気張りが、かえって失礼になってしまったケースです。最後の「よろしくお願いいたします。」も、何に“よろしくお願い“しているのかさえ不明です。
何故、口頭と文章ではこのような差が出てきてしまうのでしょうか。会話の定義を元に、それぞれの違いを確認してみます。
簡単に纏めると、求められる要素は、下記の5つです。
□相手との距離を近づける、適度な背景説明
□相手への配慮を伝え、共通意識にするためのYOU視点
□自分の意思を伝え、相手の壁を取り除く、I視点
□分かりやすく伝わるよう、結論となるミライ視点
□そして相手との関係性にふさわしい低姿勢さ
本来、対面では自然に無意識に行っている上記の要素を、しっかり考えて文章にすることが求められるのです。
先ほどの私の失敗例は、テキストになった途端、背景説明もしておらず、雑な印象です。またYOU視点I視点の欠如により温かみや柔らかさがありません。さらに何のための行動なのかのゴールの要素が皆無で、とても作業的に感じられます。定型に取りつかれるあまり、すべての思考を飛ばしてしまった結果です。
文章の難しさは定型化からの脱出だけ?
文章の失敗例として「定型に偏りがち」という例から始めましたが、実際はそれだけではありません。定型化を超えた際も、苦労があります。
・崩しすぎて失礼になってしまった。
・言いたいこと全部伝えていいか迷う。
・相手の反応が気になって、なかなか送信ボタンを押せない。
・悩みすぎて大事な情報が欠落してしまった。
・指示が淡泊で、相手の気持ちがついてこなかった
等、定型を突破した社会人経験の長い方でも、少なからずテキストコミュニケーションの難しさは感じていると思います。もちろんテキスト以外のコミュニケーションで補完し合うことも大切ですが、できるだけテキストコミュニケーションの段階でも、相手と良い関係性を築きたいものです。
文章タイプを分類してみた
そこで、文章タイプを分類してみました。
テキストコミュニケーションは、口頭によるコミュニケーションと比べて、【声の印象】【積極性】【社交性】といったコミュニケーションの表面に現れやすい傾向が緩和されます。さらに文章の方が、しっかり考えて発信するためか、その人の傾向が表れやすいように思います。
前述の通り、テキストコミュニケーションは、対面の会話で何気なく行っている要素も文字で表現することが求められ、その要素は、【背景と結論】 【相手視点と自分視点】です。
早速ですが、皆様は何タイプでしょうか。是非お試しください。
皆様は、どのタイプに行きつきましたか。
それぞれのタイプは、先ほどご紹介した要素の
・【相手との距離を縮める、背景説明】
・【共通のゴールを示す、結論説明】
・【相手への配慮、相手視点】
・【意思表明、自分視点】
以上4点の得手不得手の傾向で分類されます。
このように、【背景(カコ)と結論(ミライ)】 【相手視点(YOU)と自分視点(I)】 どちらの軸も、バランスがとても大切です。結論だけでは、意図が伝わりませんし、背景だけでは結論が曖昧です。相手に求めるだけもダメですし、自分の意思を語るだけでもダメなのです。
コミュニケーションの内容により、求められるそれぞれの深みは変わりますが、いつもこのバランスを意識することで、陥りがちなテキストコミュニケーションの失敗を減らせるかもしれません。
相手のことを今以上に想像する
最後に一つだけ。私は、ことあるたびに思い出す言葉があります。
あなたの話し相手は、あなたのことに対してもつ興味の100倍もの興味を、自分自身に対して持っている
デール・カーネギー氏
(1888~1955 アメリカ:企業トレーニング・スピーチ・対人スキル等の開発者。作家・教師。)
かなりリアルな言葉なので、とても印象に残っています。結構冷たい現実に思えますが、とても重要な気付きです。
・話すときには、相手に自分事として受け入れてもらうための最大限の工夫が必要
・自分が聞くときは、利己主義と思われないように最大限の傾聴と寄り添いが必要
と置き換えて捉えることが出来ると思っています。
皆様の明日からの有意義なテキストコミュニケーションに、お役立て頂ければ幸いです。
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皆さまのご参加を、心よりお待ちしております。
現場ドリブン
ビーウィズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 森本 宏一) は、ティネクト株式会社と、オンラインセミナー「実践者に聞く。SEOより得意なことを書いてもらった結果、やっぱり上...
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