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ちょっとダサいパワポを、おしゃれにする方法

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HUMAN

仲江洋美

2021.04.27

苦手のレベル分け

「資料作成が苦手だ」という人は、私の周りにもたくさんいます。
苦手といってもそのレベルはさまざまで、「ココの色を変えたら?」「コレは表にしたらいいね」等の簡単なアドバイスにより一瞬で良くなる資料もあれば、
「このページでいちばん言いたいことは何?」という質問に作成者が無言になってしまうので、私に出来ることは何も無いとかもあるし、
アドバイスしたとしても、かえって修正方針を間違えて伝えてしまうということもあります。
このような資料作成の助言を求められる経験を通じて、「資料作成の苦手レベル」を4段階に分けてみました。

 Level1:実は伝えたいことが無い
 Level2:伝えたいことはあるけど、表現し切れない
 Level3:ぜんぶ表現したが、誤解される
 Level4:正しく伝わるが、少し残念

きっとLevel2やLevel3で悩んでいる方が多いのだと思いますが、今回は「Level4:正しく伝わるが、少し残念」という、レベル高め、完成度高め、資料作成は「苦手」というより「得意」なレベルの資料を題材にして直していきます。

直す資料はこちら。
どうですか?どこを直したら良いと思いますか?


こんなところが「よくできている」

私はこの資料を「よくできている」と思います。でも、作成者本人が「ちょっとダサいから直してくれ」と言うのです。だから、本人の許可を得て公開治療することにしました。もう一度言いますが、私はこの資料を「よくできている」と思っているので、まずは良い点を挙げてみることにします。

・大胆な画面遣いと色のインパクトが良い
OmniaLINKのイメージカラーであるオレンジ色で約3分の1をべた塗りするという大胆さ、気持ちが良いです。
次の章で色が変われば、受け手は「章が変わった!」と瞬間的に視覚的に受け取ることができるのです。

・情報がシンプルで、整理されていて良い
1ページに入れるメッセージがシンプルで欲張っていないのが良いです。
そして「本社の佐藤さん@ハードフォン」の部分は「場所+人名@端末の種類」と、表記にきちんとルールがあります。
既に出来上がった資料として見れば、この程度の整理は当たり前のことのように思いますが、世の中の資料は実はこういう単純な整理すら出来ていないものが多いのです。

まず「見た目」だけ、直してみる

次に、「ちょっとダサい」原因を探っていきます。まずはあえて本質的な内容には踏み込まず「見た目」に限定して直します。
完成された資料に疑問を持つことは意外と難しいものです。アタマもココロも出来る限り空っぽにして、先入観をなくして、もっと言えば書かれていることに興味を無くして、少し遠いところから眺める感覚で見てみます。私はこんなツッコミを入れました。


直す前に言っておきますが、これらは全て「見た目」の問題なので、全て直したところでこのページが伝えるメッセージの強度は、きっとなんら変わりません。だから直すには少し気が引けます。ケチつけている感じにならないよう「なぜ直すと良いか」という理由を大切にしながら直していきます。

・ロゴが窮屈そう
下に白い四角を敷くと良いです。そうすればロゴが伸び伸びしているように見えます。その方が良い製品に見えます。

・〔優先度〕の角丸も窮屈そう
線もフォントも太いのですが強調するほど重要に思えません。だから線も字も細くします。

・パソコンの色が目立つ
ページ全体がオレンジのトーンでまとまっているからこそ、なんら理由のない紫が悪目立ちしています。パソコンの写真を選択して、上部のリボンから[書式]タブを選択、次に〔色〕を選ぶと、画像の彩度やトーン、色合いの変更ができるので、全体に馴染む色を選ぶことができます。今回は、色の彩度を変更し、モノトーンにすることで目立たなくします。

・ページ番号は目立ちたいのか目立ちたくないのか
目立たなくても良いけれど、必要ではあるので、隅っこへ。

・「本社の佐藤さん@ハードフォン」の部分
一行に全ての情報が並ぶよりも、改行するだけで、並列に見て情報を比較しやすくなります。

・真ん中の線が曲がっている
これを見て、今朝行った整骨院で先生に言われた言葉を思い出しました。「骨盤ちょっとズレてるね、背中も少し左を向いちゃってる」そうそう、そんな感じ。そうか、この資料は背骨が曲がっているんだ。ということで、中央に揃えます。
どうでしょう。直してみたら、資料の背筋がすーっと伸びた感じがしますね。


「どれを最も強調したいですか?」

ここからは後半戦。もっとじっくりこのページと向き合っていきます。
「このページで最も伝えたいことは何か」に注目して、アレンジしていきます。
ポイントは、
・最も重要な情報は、「場所」か「人」か「端末の種類」か
・優先度はどれほど重要か

の2点です。


ここからは推測なのですが、作成者は、
・「場所」と「端末の種類」が重要、人はそれほど重要ではない
・「優先度」はそれほど重要ではない

という考えなのではないかと思います。
その場合、こうなります。


「場所」と「端末」を強調


「人名」は登場させるほど重要ではない気がしたいので削除しました。「場所」と「端末」を同じ重要度で扱いたいので、両方ともイラストを入れました。目線を横に移動した時に、「場所」の違い、「端末」の違いを比べ易いように、横一列に配置しました。

次は「人名」が重要な場合を考えてみます。このページだけを見ると「人名」は重要ではない気もするのですが、佐藤さん、林さん、山田さんにキャラ設定が加わってくると、「人名」を強調する意義が生まれます。さらに次ページ以降で、そのキャラ設定が活きてくるシナリオが用意されているのであれば、なおさらです。


「人名」を強調


「いらすとや」さんのおかげですが、資料の雰囲気が、まーるくなって、「システムとして出来ること」という技術的な説明だけでなく、「運営上、便利そう」という側面が加わってきました。

最後にもう一案、「優先度」を強調したい場合も考えてみました。この場合、3者を横並びにしていては伝わりません。「優先度」を図そのもので表現すると良いでしょう。この場合、ここまでの案では、背骨はまっすぐ、全て中央揃えで構成してきましたが、左を起点に構成した方がスッキリします。そのためOmniaLINKのロゴを飛び出させました。


「優先度」を強調


重要なのは「伝えたいことは何か」

いかがでしたか。このページと真剣に向き合って、ここまで複数アレンジできることに、実は私自身も驚いています。そして気づかされたのは、冒頭でお伝えした「Level1:伝えたいことは何か」の重要性です。

資料作成が苦手だと言う方は、時に「パワポが苦手で」とか「色のセンスが無くて」とか言います。でも本当は、たぶんそれはどうでもいい話です。資料がうまく作れないという人は、まずは「私には伝えたいことがあるか?(上司に言われただけで、実は私には伝えたいことが無いんじゃないか?)」「私がこのページで強調して伝えたいことは何か?」を問いただすことから始めてみてください。「伝えたいことが何であるかハッキリしていること」が、資料作成のスタートラインです。

それでは、皆様。
まずは「伝えたいこと」の整理から。
資料作成、頑張ってください。

当社は、コンタクトセンターの構築・運用・改善・高度化の手順を、最新の動向を踏まえて豊富な図や事例で解説した書籍 『図解でわかるコンタクトセンターの作り方・運用の仕方』 を、株式会社日本実業出版社より発刊しています。

本書では、コンタクトセンターを最初に立ち上げる際に熟慮しておくべきこと、日々の運用の過程で次々と出てくる課題や改善の高度化要望の実現を効率的に進めていく手法等、コンタクトセンターの構築・運用・改善・高度化の進め方から、スタッフ育成、最新テクノロジー活用方法まで、151の図解と31の先進事例、効果がわかる実態データも含めて、詳しく説明しています。



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