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状況の変化にポジティブに対応する必要はない。「しぶしぶ力」の極意。

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HUMAN

古川真澄

2023.07.05

コンタクトセンターに限らず、仕事をしていれば大小を問わず変化を求められる場面がある。
仕事の目的は同じでも、それに伴う目標が変更される場合があるし、目標が同じままでもその到達のためには、今までの手法が通用しなくなることもあるからだ。

コンタクトセンターの運営とこの状況を照らすなら、KPIの変更や、その達成状況のモニタリングで未達が発生した場合がその契機にあたる。そしてスーパーバイザーは、変化が求められる場面に出会った場合は、現状を正しく分析し、必要な変化を遂げていかなければならない。

また、変化が求められるのはKPIを取り巻く事象だけに限定されたものではない。企業がエンドユーザに提供するサービスは、エンドユーザが求めるものに合わせて変化する。また昨今はデジタル技術が発達し、それを前提にしたサービスが次々と生まれている。このような時代の中では、エンドユーザに求められる前に変化していくことすら必要になっているのだ。

・・・などと、もっともらしい正論を書いてしまったが、実際のコンタクトセンターではこの「変化」を実現していくことが実に難しい。特に、チーム全体で変化を遂げていくにあたっては、とにかく難儀なものだ。

変化を受け入れる難しさ

大体において、「今のままじゃダメだ」という決意からして難しい。
クライアントからKPIの変更が提示されると、「ぬぬぬ・・・」という気持ちになることシバシバであるし、KPI未達の状況を発生させてしまった時は、「今日は調子出なかったなぁ。そういえば〇〇な問い合わせが多かったもんな。」などと、短期的な特異要因にKPI未達の原因を求めてしまい、やり方を変えるという判断を先延ばしにしがちだ。

こうやって振り返ってみると、どうやら「どんな風に変わらなければならないか」を考える前に、「なぜ変わらなければならないのか」という、変わるべき理由に納得することに時間がかかるようだ。

人というのはそもそも、変化を嫌うものであるらしい。
何かを変えること、それ自体が生物にとってはストレスになることと、変化させるということは、この後イチイチ考えて判断を下すという作業を更に求められるようになるため、そこには不安や恐怖が生まれる。

そして、スーパーバイザーの仕事に目線を戻して考えてみると、上記に加え、変化を求められるということは、これまでの手法に不足があったと言われているように感じ、ある意味プライドを傷つけられることに繋がるからなのかもしれない。
だからどうしても、変化を受け入れるためには心情的なもやもやが邪魔をする。

更に、スーパーバイザー自身はなんとか変化の必要性を受け入れたとしても、その先はコンタクトセンターで一緒に仕事をする、他のスーパーバイザーやオペレーターにもその変化を求めていかなければならない。ここでまた苦労が増える。他のスーパーバイザーやオペレーターも、やはり同じく変化を嫌うからだ。

しぶしぶ力の極意

かく言う自分も、変化や新しいことは苦手だ。
でもまぁ長年仕事をしてきたので、苦手なものでもなんとか実行に移すことはできるようになった。食指が動かない仕事でも(ある程度)着手できるのは、数少ない自分の強みだ。なのでその自分の特性に名前をつけてみた。

「しぶしぶ力」。
今回はこの、なんとか実行に移すためのしぶしぶ力をお伝えする。

まず、第一に伝えたいことは、変化や新しいことには必ずしも前向きに取り組む必要はないということだ。
古い物をためらいなく捨て、新しいことに取り組める人は本当に素晴らしいし眩しく見える。そうなりたいと思うし、そうあるべきとも思う。

それを前提に考えると、変化に対してはポジティブな気持ちで取り組むべき。そういう気持ちになってしまうのではないだろうか。だがその気持ちが強すぎると、変化に対してネガティブな感情を持ってしまう自分に嫌悪を感じ、それをこじらせた結果「変化なんて今本当に必要なんですか」の域に至る。
これを更にこじらせると、変化に対してポジティブに取り組む人を妬ましく感じるようになり、その結果「あの人、張り切ってるよね。ねぇ。」などと言い始める。実に厄介だ。

まずはその「変化や新しいことにはポジティブな気持ちで取り組むべき」という思い込みを捨てよう。世の中には、危機感や焦りというネガティブな感情から生まれ、変化せざるを得なくてしぶしぶ変化し、そしてその結果成功したものなんて五万とあるのだから。しぶしぶで良い。変化のきっかけなんて、しぶしぶで充分だ。

「しぶしぶでもいい」 ということが理解できたら、次は現実に目を向けてほしい。
KPIが未達の状況であるなら、冷静に見ればそこには変化をしなければならない理由がごろごろしているはずだ。でも変化したくない気持ちが邪魔をするから、いつも現実から目を逸らしてしまう。

コンタクトセンターを取り巻く理想も現実も常に変化する。だからやるべきことも変化しないといけない。今までのやり方が通用しなくなったのは、あなただけのせいではない。これまでも最善を尽くしてきただろうと思うが、最善の策は結局常に変化するのだ。

だから変化したくないという気持ちをいったん差しおいて、「これまで頑張ってきたし」という思いもいったん横によけて、ここは他者が運営しているセンターだと思って客観的に見てみよう。どうだろう。変えた方が良い部分はないか?きっとあるはずだ。いったん時間を空けてでも冷静に客観的に現実を見てみれば、見える景色は変わってくる。

そして仕上げに、変えるべきものを変えない未来を考えてみてほしい。
そこにはコンタクトセンターの目的を達成できない未来が、そこそこはっきりと見えているのではないだろうか。
変化せずとも、新しいことに取り組まずとも、コンタクトセンターの目的を達成できている未来が見えるなら、それでいい。

だが、達成できない未来が見えるなら、もうするべき決断は「変化を受け入れる」一択になっている。
そこに気づけたら、しぶしぶでもいいから、変える決断をすればいい。何かを変える決断をして、どうやるかを考え始めたら、きっと物事は前に進み始める。

他者のしぶしぶ力をどう引き出すか

自分がしぶしぶ力を手に入れても、次はチームメンバーとそれをどう分かち合うかの問題が出てくる。
なぜなら、チームメンバーにだってあなたと同じように変化や新しいことへの不安や恐れや嫌悪があるからだ。だから、メンバーにも変化や新しいことを受け入れるためのきっかけを与えてあげてほしい。

・他者にポジティブさを求めない
なにか新しいことをやろう!と言った時に、チームのメンバーがノリノリになってくれないと私たちは少し傷つく。でも、思い出してほしい。自分だってさっきまで変化を嫌悪していたし、今だって所詮しぶしぶだ。
他者にだけポジティブさを求めるのはやめよう。話を聞いてくれただけでありがたい。

・目的を伝える
変化することや新しいことにチャレンジする必要性を、メンバーにきちんと説明しないまま、行動だけを促してもうまくはいかない。なぜそれをやらなければならないのか、それをやらないとどうなるのかを、相手が理解できるように伝えなければならない。あなたが客観性を持って手に入れた変化の必要性への理解を、きちんとメンバーにも理解できるように伝えてほしい。

・やり方を一緒に考える
特に大人は、一方的に指示をされることを嫌う。大人には、程度の差こそあれ一定の経験があり、一家言あるからだ。だから、やり方を変える、新しいことにチャレンジする時には、周りの人たちにその目的を伝え、やり方を一緒に考えてみると良い。

新しいことをやるかやらないかは議論しない。どうやるかを議論することで、変化をしない・新しいことへチャレンジをしないという選択肢を見えなくしてしまおう。そしてどうやるかを一緒に考えることで、変化への不安や恐れを発散させながら、より良い方法を一緒に考えてほしい。自分が提案したやり方なら、他者から一方的に押し付けられたやり方よりも、比較的容易に取り組むことができる。

最初はしぶしぶだっていいし、後ろ向きだっていい。どんな心持であれ、現状を冷静に分析し変化への一歩を踏み出す勇気は称賛に値する。
例え小さな挑戦でも必ず意味はあるのだから、恐れずにしぶしぶトライしてみてほしい。


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