デジタルAI機能開発部に入って3年目。
デジタルAI機能開発部員として、デジタルテクノロジーを活用した、これまでの形態を変化させるニュースには日々興味を持つようにしています。
そんな中、デジタル活用に関するニュース記事を目にし、違和感を覚える事もあります。
その中の一つとして最近思うのは、「無人店舗ってほんとに無人?」というものです。
労働力不足や、今ではコロナ禍の中で急激に注目度が高まった “非対面接客” の隆盛により、コンビニや駅ナカ売店の無人化開始に関するニュースを目にする機会が増えました。
接客に関するオペレーションは確かに自動化され、顧客側で完結する仕組みかもしれませんが、さすがに商品の補充は必ずしも “無人化” できていないようです。
そのような背景から、言葉の端を取るわけではありませんが、“無人店舗” という単語に対して少し違和感を覚えました。
デジタルテクノロジーという言葉における心理的効果
最近思うこととして、AIとは?AIでできることとは?が明確に分かりにくいので、「AIがあれば、なんでも無人でできる」というイメージが先行していることです。
それは「人工知能」という言葉の響きによる影響もあるのだと思いますが、「ドラえもん」の世界になってきた、という印象を世の中が抱いているのではないか、とも思っています。
このような印象によって、「アンカリング効果」が発生しているように思います。
「アンカリング効果」とは「最初に提示された数値や条件が基準となり、その後の人間の判断を左右させる」という心理的効果です。
人は判断を迫られたときに、何らかの基準を求め、その際に自分のこれまでの経験や聞きかじった知識を加えて考えます。
この印象による心理作用は、多くの実証がなされ、経済学などの分野に取り込まれています。
例えば、通常価格と先着順の値引き価格を並べて表示して、購買を誘発する。通常価格を基準として記載することで、値引き価格を安く見せる効果を持っています。
AIの世界において、世の中は、現在のテクノロジーに触れた経験が基準に進化が語られているのではなく、「ドラえもん」のイメージが基準となっているように思います。
そのために、テクノロジーの能力に過大な期待をしているのではないかと感じます。
そこで、初めの「無人化」の話に戻るのですが、「無人化」「省力化」「自動化」という言葉がフォーカスされればされるほど、世の中のイメージと実際にできることのギャップが生じているのではないかと思えてなりません。
それは、「どのくらい無人化なのか」「どのくらい自動化なのか」ということが十分に見えていないことにも要因があると思います。
現時点における技術においては、「ドラえもん」と「今のデジタルテクノロジー」のGAPを人で埋めていく必要があります。このGAPをどう埋めることを前提に考えられるかどうか、がデジタルの利活用に大きく関わってきます。
印象と実態の違いを埋めるには
さて、今日はAI-OCRの利活用のお話をします。
AI⁻OCRは、以下のように手書き文字をデジタル化し、しかも手書き文字を読み取れば読み取るほど、精度が高くなっていくというものです。
AI-OCRを利用されるお客様は、紙の帳票をデジタル化し、分析したり、レポートに活用したいお客様です。
しかし、紙の帳票をAI-OCRでデジタル化できたとしても、それをデータ利活用につなげるためには、人の知恵による工夫が必要です。
当社が利用しているAI-OCRの仕様に依存するところもありますが、考え方はどのソフトでも同じだと思いますので、置き換えて読んでいただければと思います。
1)帳票のゆらぎを排除する
帳票に以下のような日付を書く欄があるとします。
これだと、以下のように2パターンで記入する人が出てしまいます。
上記のような揺らぎがあると、データ分析をする際に、入力方法をそろえる必要が出てしまいます。
以下のように帳票を設定すれば、ゆらぎが出ません。
2)選択肢を簡潔にする
以下のような、選択式の帳票ってありますよね。
この場合、AI⁻OCRで出力されるデータは以下のようになります。
選択肢ごとにカラムが作成され、該当するものは「1」、該当しないものは「0」と出力されます。
これはこれで、分析はできますが、このような選択式の設問が多い帳票では、カラムが多くなりすぎてしまい、分析がしにくくなります。
以下のように設問を工夫することで、入力するデータをすっきりさせることが可能です。
こうすると、AI-OCRの出力イメージも以下のようになり、カラムが1つにできるためシンプルになります。
3)入力する人の目の流れに合わせてカラムを設定する
AI-OCRのAIによる入力の精度はかなり高いと言われていますが、仮にAIの精度が99%だったとしても、1%はミスがある、ということです。
それは100項目の帳票においては、1項目は間違っているということになり、帳票によっては致命的な数字です。
そのため、AI-OCRでは、AIによる入力のあと、人が実際に目で見て確認する「ベリファイ作業」を実施します。
(「結局人が見ないとダメじゃない」と思った読者もいらっしゃるかもしれません。それでも、AI-OCRを使うことで、入力速度は2倍から3倍になります。十分な生産性の向上なのです。)
その際に、人の目の流れに合わせて項目を設定する必要があります。
AI-OCRでの項目の設定は、以下のように画面上で項目ごとに枠で囲んで決定します。出力時のデータカラムは、枠を囲んだ順番にカラムが設定されます。
この時に、人の目の動きを無視した順番で項目を設定してしまうと、ミス率が高くなってしまいます。
以下のように、左上から、右下に設定することが入力精度をより高めることにつながります。
AIは日々進化しており、すべてがAIでできるようになる日は遠くないかもしれませんが、本日の時点ではまだまだ「ドラえもん」の世界に到達するまでにはギャップを埋める必要がありそうです。
それは、未来に向けて1歩ずつ進むことができる時代になった、とも言えるのではないでしょうか。
できないところがあるから落胆するのではなく、こうしたら快適にテクノロジーを利活用できる、と知ることは、具体的に未来のイメージができるようになってきたと言えるのではないでしょうか。
我々もこの流れに遅れる事がないように、また得られた実体験を様々なお客様に還元できるように、デジタル&オペレーションサービスを進化させ続けたいと思います。
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