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80代おばあちゃんはどうぶつの森からWi-Fiを学ぶ
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2020.08.12

「そんなもの(スマホ)なんかわたしにゃ使えんよ」(半年前)
 ↓
「アップデートの設定はWi-Fiに繋いで自動更新にしていいんかい?」(つい先日)

半年前と、つい先日の会話で私の80歳の祖母から発せられた言葉の変化。

私の祖母は根っからの鹿児島っ子で、住んでいる地域からは山と畑しか見えません。
最寄りのコンビニは、近所に住むおばあちゃんが毎日朝に作った総菜が並ぶアットホームな“ヤマダマート”。

そんな遠い場所に住む祖母に何度かスマホを持ってもらおうと説得をしたことがあります。
「ラインは無料で電話できるし、顔も映るよ」「簡単スマホもあるから大丈夫」
そんな説得の数々に対する返答が冒頭の回答でした。

確かに、折り畳みですらないけれど、携帯も持っているし電話しか使わないからな、と逆に自分を納得させてきたのが半年前。

そんな祖母が体調を崩したとの事で東京に呼び寄せたのが今年の1月のことです。
その後新型肺炎の流行により鹿児島に帰るに帰れなくなってしまったのでした。

体調は無事に回復したものの、外にも出られず暇をしている、なんて話をしていた流れで、
「あんたが昔やっていたぴょんぴょん飛ぶゲーム持ってないのか」
「それ、スーパーマリオね」という会話をきっかけに、
少し浮かれた気持ちでNintendo Switchを遊んでもらう事にしました。

昔のゲームならば、カセットを入れて電源ボタンを押せばゲームが始まりましたが、今の最新機器はたくさんのセットアップがあります。
祖母どころか母にすらできないだろうと最初の設定をしてコントローラーを渡してみました。

最初、祖母が動かすキャラクターはコミカルを超えてシュールな動きで、
さすがに難しかったかなと、冷静になりつつもしばらく様子を見てみようと、その日は帰宅しました。

2週間程度が経ち、スマホの画面にはライン通話で母からの着信。
以前は「スマホ」という単語すらよく理解していなかった祖母から、「アップデートの設定はWi-Fiに繋いで自動更新にしていいんかい?」というなんとも高度な質問を受けたのです。

祖母から、「アップロード」や「Wi-Fi」なんて単語が飛び出すなんて!

祖母はゲームを通した体験から、今まで触れてこなかった(むしろ遠ざけていた)“新しいもの”を自身の中に取り入れていました。

私は普段、顧客に「デジタルトランスフォーメーション」を提案する営業をしていますが、この 祖母の“新しいもの”に対する意識の変容は、私にとって、まさに身近な“デジタルトランスフォーメーション”でした。

しかし、程度の違いはありますが、祖母のように“実体験”を伴う意識の変容は、ビジネスシーンでもよく見られます。

“AI技術やRPAがビジネスシーンにおいては有効、便利である“といった認識は、もはや事実として共通認識化しているといっても過言ではありません。
一方で、多種多様な業界企業様において思うようにデジタル活用が進んでいない、断念したとコメントを頂くのも事実です。

このように、デジタルの活用が進まない要因には、大きく2つの共通点があると考えています。

一つは、スマホを使った事が無いためにスマホは要らないと言っていた祖母のように、“実体験が無いために具体的な将来像を想像できていない”という点です。


“新しいもの=新技術”には勿論、実体験がありません。
よって、導入検討における企画段階の「具体的な将来像の想像=期待効果の試算」が難しくなります。

では、体験を持つためにどうするのか。
一個人であれば、私の祖母のように“新しいもの”にまずは触れてみて、動かしている内にどういう事が出来るのかを知り、体験を積んでいくことができます。

企業においては、テクノロジー技術提供者の取組として、“PoC”という形のサービスが一般化しています。

本来、PoCとは目指す将来像(サービスや効率化)に対して、どの様なテクノロジーが適しているかについて、仮説を立てて、検証することが本質です。
しかしながら、製品・サービスを小さく導入し、システムに触れた上で、自分たちの業務におけるどの問題を解消するか、というプロセスで検討されるケースも増えています。これは、システムがSaas型になっており、気軽に検証ができるようになったことも大きく影響していると考えています。

PoC https://www.keyman.or.jp/kn/articles/1802/07/news130.html

つまり、PoCにおいては、以下のような、理想と現実が存在します。
理想:叶えたい具体的な理想像に対して、必要なテクノロジーの仮説が立てられている。
現実:プロダクトアウト的に、テクノロジーを知った上で、そのテクノロジーに合わせた解決可能な問題を探す。

そして、この理想と現実はPoCだけではなく、本来のデジタル導入でも同様です。
よって、デジタル導入の難しさの原因は、デジタル導入の“理想“を立てるために、PoCの実施を検討するも、
結局、PoCの理想と現実のギャップに苦しむという堂々巡りにあります。

そしてデジタルの活用が進まない要因の2点目は、導入後におけるリカバリー策を明確に持てるか という事です。

これは、1点目の矛盾と共通する部分がありますが、将来像に対して
“思っていた効果と現実が異なっていた場合のリカバリー方法を立てられるか”です。
PoCの有無に係わらず、デジタル活用が上手くいくケースは総じて導入後の迅速なリカバリーがなされています。

私の祖母がスマホを持つ事を忌避していたのは、「スマホにして、今、出来ている事が出来なくなったら嫌だ」からです。

変化そのものに対してではなく、失敗したときのリカバリーの仕方がわからないから、失敗したくない。だから変化は嫌だと思ってしまいます。
実際、最新ゲームで楽しんだ成功体験があれば、これまで導入できなかったスマホでのLINEすら駆使する変化を見せます。
祖母の場合も最初は上手く遊べずにいましたが、教えてもらう、試していくうちに成功体験に出来ました。

企業での検討はゲームを遊ぶ、とはかけ離れていますが、大事なのはリカバリー策を立てるという点。
そしてリカバリー案の策定にはやはり実体験が必要になってきます。

祖母が行ったリカバリーは、私に聞いてきたように、実体験をすでにしている人間に訊く事です。


纏めると、デジタル導入においては、実態に即した経験をどれだけ持てるかが、最短かつ効果的。
つまり“百聞は一見にしかず”という事になります。

しかしながら、企業において試行回数を増やす事は容易な事ではありません。
そもそも、“試す“事に対するハードルが上記の2点をクリアする、と同義のため、まさに”鶏か卵か“です。

その中で、アウトソーサーである我々における最大のメリットは、実業務で経験を蓄積できる、つまり、“実体験”を多種多様な業界、業務を行うクライアント企業に代わり、積み重ねる事ができる、まさにノウハウを集積できた点です。
そうして集積したノウハウを用いて、ある意味マッチポンプ形式で良化させる事ができるサービスになります。

祖母のどうぶつの森ライフから、改めて気付かされた様々な経験を積む事の重要性を胸に、引き続き皆様のご支援に努めていきたいと考える初夏でした。


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