2023年3月6日(月)に開催された、企業経営者を対象とした企業における障がい者雇用の促進や雇用管理に関する具体的な取組事例をご紹介する、令和4年度第3回雇用支援セミナー「障害者雇用を進めるための企業経営者(トップ)セミナー」に登壇いたしましたので、講話内容を書き起こしでお伝えいたします。
講師
ビーウィズ株式会社 人事部シェアードサービスユニット
ユニットマネージャー 檜垣 一美
講演内容
ビーウィズ株式会社の檜垣です。
当社は特例子会社ではありませんが、私が所属している人事部シェアードサービスユニットで、精神障がい者を中心とした60名の障がい者を雇用しています。
この60名の障がい者は、他部署の従業員と席を並べ、誰に障がいがあり、誰に障がいがないのか、一見わかりません。そのため、障がいをほぼ意識することなく働いています。
本日はビーウィズが取り組んできた障がい者雇用、特に繰り返してきた試行錯誤について発表させていただきますので、よろしくお願いいたします。
はじめに、ビーウィズについてお話しさせていただきます。
ビーウィズはコンタクトセンターの運営を中心としたアウトソーシング事業を営んでいます。
従業員の9割以上はコンタクトセンターで電話応対をはじめとした業務に就いているオペレーターで、従業員数は8,000名を超えています。
従業員の全員が常用雇用者というわけではありませんが、大型業務を受注すれば100名単位でオペレーターを新規雇用することがざらにあります。そのため、法定雇用率(*1)の達成が順調な年でも、急な従業員数増加によって達成が厳しくなることも多々あります。そのよような中で、毎年障がい者雇用に懸命に取り組んできました。
*1:障害者雇用促進法にて定められた常用雇用労働者における障がい者の割合。2023年4月時点では2.3%。これから段階的に引き上げられ、2026年7月には2.7%となる。法定雇用率が達成できていないと、行政等一部入札に参加できなくなるなどのビジネスへの影響も生じる。
2022年6月にハローワークに提出した障がい者雇用状況報告書では障がい者雇用率は2.53%、法定雇用率を達成することができました。
ただし、2021年の障がい者雇用状況報告書では法定雇用率を達成できていませんので、毎年余裕を持って法定雇用率を達成しているわけではありません。
現在全国の拠点で100名を超える障がい者を雇用しています。そのうちのおよそ60%はコンタクトセンターでオペレーター職として働いており、残りのおよそ40%はシェアードサービスユニットに作られたシェアードサービスグループで事務・事務補助・軽作業職として働いています。
コンタクトセンターのオペレーターはもちろん、シェアードサービスグループも経理財務部や総務部などいろいろなから部署から切り出した業務に取り組んでいますので、雇用している障がい者の全員がビーウィズの業績を直接的間接的に担っています。
ビーウィズで働いている障がい者の障がい種別を円グラフにしてみました。
全社では身体障がい者と精神・発達・知的障がい者の割合はこのようになっていますが、コンタクトセンターとシェアードサービスグループそれぞれでは、その割合が大きく違っています。コンタクトセンターの精神障がい者の中には発達障がい者を含んでいるため、特に注目してもらいたいのは身体障がい者の割合です。
コンタクトセンターのオペレーターという職種は、シフト制で勤務時間の調整がしやすいことから健常者に混じって障がい者からも応募があります。ですが、精神障がい者にとってはお客様と電話で直接やり取りすることは負担が大きいようで、なかなか安定雇用につながりません。
クライアント様から高い品質と厳しいコスト削減を求められる中で特別な支援体制を取ることも難しく、実際に従業員の9割以上がオペレーターという人数規模から考えればコンタクトセンターの障がい者雇用は道半ばといった状況です。
そういった事情からシェアードサービスグループでは、精神障がい者と、そもそもコンタクトセンターでは受け入れができていなかった重度の身体障がい者を中心に積極的に障がい者を雇用しています。
これまでの当社の常用雇用労働者と障がい者雇用率の推移です。
上記は動きの大きい2014年から2016年のグラフですが、それ以前は業績拡大にともなう常用雇用者の増加に対応することができず、過去、行政指導(*2)を受けたことがあります。障がい者雇用は社会貢献であるとの意味合いから総務部の業務のひとつでした。
*2:法定雇用率が達成できないと行政指導を受け、2年以内に法定雇用率を達成するための計画を立てることになる。行政指導を繰り返す等、悪質と判断されると社名が公表されることもある。
従業員の9割以上がオペレーターということもあり、オペレーターとして障がい者を雇用しようと全国のコンタクトセンターを管轄するハローワークの面接会に参加するなどしていましたが、電話応対業務の難しさと、現場担当者の障がい者雇用経験の浅さなどから、採用してもすぐに辞めてしまう状況が続いていました。
当時の法定雇用率1.8%を達成するために四苦八苦していたわけですが、2013年に障がい者雇用促進法が改定されて法定雇用率が1.8%から2%に引き上げられることになり、もはやコンタクトセンターでオペレーターとして雇用していくだけでは法定雇用率は達成できないという考えに至りました。
新たな部署のはじまり
大きな方向転換を迫られた結果、2014年10月に障がい者雇用を推進するための部署を作ることを決めました。このとき設立されたのが業務支援部です。同時に、本社管理部門から請負業務の切り出しもはじめました。
総務部の業務のひとつであった頃との大きな違いは、障がい者を自部署で雇用できるようになったことでした。設立から半年と経たないうちに20名を超える障がい者を採用して、障がい者雇用率は2%を超えました。
請負業務の切り出しには苦戦しました。障がい者にどんな業務ができるのかわからない、それどころか障がい者と一緒の職場で働いて大丈夫なのか、などと言う社員もいて、なかなか業務を請け負わせてもらえませんでした。
業務支援部は障がい者雇用のために作られた部署です。請負業務は集まっていませんでしたが、それでも障がい者の採用を続けました。業務の依頼がないので時間ができると業務研修をしていました。データ入力やファイリングなどの練習をしていたのですが、精神障がい者ばかりでしたから一見して障がいが有るのか無いのかわかりませんし、他部署からしてみれば普通のアルバイトが普通に事務作業をしているように見えたと思います。このあたりからだんだんと業務の依頼が増えていきました。
この表の棒グラフの部分は常用雇用者数の推移を表していますが、2015年半ばから業績が急激に拡大したのに伴い、母数である常用雇用者数は1年で1,000名近く増えました。その後も常用雇用者数は右肩上がりに増えていきますが、業務支援部で障がい者を雇用していたことで、なんとか法定雇用率前後の障がい者雇用率を維持することができました。
2016年に入る頃には新宿本社の管理部門のノンコア業務をほぼ請け負ってしまいました。その時点での業務量のままでは30名は雇用できても50名は雇用できないということがわかっていましたから、再び方向転換が必要になりました。
業務支援部として新宿本社の管理部門から請け負った業務には、人事部からの事務補助業務が多くありました。人事部はそのほとんどの手続きを紙で行っていましたが、人事部員にしか触れられない書類や人事部員しか入れない書庫などもあったので、もう一歩踏み込んで人事部員にしかできない業務をやれるようになるために、業務支援部は人事部業務支援ユニットとして人事部配下となりました。人事部員になったことで社会保険や雇用保険、入社退社などの手続き書類に触れられるようになり、50名を雇用するための業務量を確保することができました。
その後、法定雇用率の2.3%への引き上げをはさんで、2021年12月に人事部配下ではあるものの全国の拠点から業務を請け負わせてもらおうと、シェアードサービスユニットと組織名を変更しました。社内営業に取り組んでいたところで、先月、法定雇用率の段階的引き上げが発表されました。
3年後に法定雇用率は2.7%になります。今度はシェアードサービスユニットで雇用する障がい者の人数を100名にするためにどうするか、さらなる方向転換に頭を悩ませています。
ここからは人事部シェアードサービスユニット、シェアードサービスグループについてお話しさせていただきます。
現在、シェアードサービスグループには60名の障がい者が勤務しています。
この写真撮影にはおよそ半数くらいが集まってくれましたが、障がい種別、障がい内容は表の通りです。精神・発達障がい者の人数が突出して多いことがわかります。写真の手前に白杖を持つ視覚障がい者が座っていますが、そのまわりにいるほとんどが精神・発達障がい者です。
ここであらためて障がい者雇用について考えたいのですが、「障害者」とは、身体、知的又は精神になんらかの先天的後天的な理由で本来の機能を果たすことが出来ない状態、つまり「障害」があるため、継続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける者、と障害者基本法で定義されています。
つまり、障がい者を受け入れる現場が、障がい者雇用にあたって考えなくてはならないことは
①障がいは本人の努力では解決できない身体的精神的状態である、と理解すること
②障がいが原因で起こる問題を、いかに起こさせないか
③障がいが原因で起きた問題を、いかにカバーするのか
④業務を進めるためにかかる時間に加えて②③で増えることになる時間工数をはじめとした、
障がい者雇用だからこそ、をどこまで許容するのか
ということになります。
障がい者雇用に取り組むと決めた企業は、障がい者雇用は時間工数がかかるということをまず許容しなくてはなりません。ただし、それは起こる問題起きた問題を許容する、ということではありません。起こる問題をいかに起こさせないか、起きた問題をいかにカバーするのか、に時間工数をかけるのです。
ビーウィズでは、自分の障がいを前向きに受け止め、就労支援機関に支援されて就職活動をしている障がい者であれば積極的に採用していますが、どこに影響が出ている障がい者かによって、その雇用には大きく二つのやり方があると考えています。
①主に勤怠だけに影響が出る障がい者
②主に業務遂行、もしくは勤怠と業務遂行どちらにも影響が出る障がい者
①主に勤怠に影響が出ている障がい者、というのは
障がい種別や障がい内容はいろいろですが、頻繁に通院が必要だったり疲れやすかったり、通勤に時間がかかったり、週5日8時間、決められている出勤時間・退勤時間では勤務はできないけれど、出勤すれば健常者と同等に業務を進めることができる障がい者です。
現場がやらなくてはならないのは、出勤時間・退勤時間の変更や短時間勤務が可能となる業務構築であり、先程お話ししたコンタクトセンターのオペレーターとして勤務している障がい者はこちらにあたります。
②主に業務遂行に影響が出ている障がい者、というのは
その程度はいろいろですが理解力に影響が出ている知的障がい者、強いこだわりがあったり咄嗟の判断力や記憶力に影響が出ている精神・発達障がい者です。
現場がやらなくてはならないのは、分散している軽作業の集約、業務手順の再考とマニュアル化、業務習得時間の確保、などになります。シェアードサービスグループで勤務している障がい者はこちらになります。
これだけの人数をまとめて業務を進めていくことは、障がいの有る無しにかかわらず大変なことです。ましてや、そのほとんどが精神・発達障がい者なのですからさらに大変です。
障がい者雇用であることを言い訳にして依頼された業務の品質が悪かったり、納期が守られなかったりするのであれば、その業務は二度と依頼してもらえなくなります。そこで、シェアードサービスグループは、チームで業務を運営していくことにしました。
チーム運営のメリット
チームで業務に取り組むことで、メンバーの一人が体調を崩して突然欠勤しても別のメンバーがすぐに業務を引き継ぐことができ、依頼された通りに依頼された日付までに業務を進めることができるからです。
現在、チームは6チームあります。どのチームに所属するかは入社後1ヶ月かけて順番に体験実習を行い、障がい特性をもとに話し合って決めています。「このチームなら頑張れる」 という実感を持ってチームを決めた後は、障がい状態の悪化による退職を除けば、退職者が出ることはほぼありません。
それぞれのチームには、業務の進め方などに特徴があります。
・庶務業務チーム
毎日、出勤してから退勤するまでいつ何をやるのか決まっている、時間割に沿って業務を進めていくチームです。
・請負業務チーム
業務支援部が設立されたときに作られた、各部署から依頼された大小難易度様々な業務を組み合わせて進めていくチームです。
・請求管理チーム
請負業務の一つでしたが、経理財務部と連携して会計ソフトを使った請求書処理を行っているチームです。PCリテラシーが必要で、前職で事務職経験のある方、特に障がいの受容がまだできていない方にも向いているチームです。
・音声処理チーム
視覚障がい者を中心としたチームで、代表電話の応答や読み上げソフトを使ったデータ作成、インターネットを使った情報収集などを行っています。
・ANNIM業務チーム
ビーウィズの新規業務であるAI-OCRで手書きの書類をデジタルデータ化していくマイクロBPOサービスANNIMの最後の照合作業を任されているチームです。業務は単一です。
・障がい者雇用チーム
障がい者雇用に関わる事務作業を行うチームです。応募受付から面接日程調整、支援機関との連携などの採用活動から、入社手続き、定着支援などを行っています。
チームのとりまとめはチームリーダーに任せていますが、チームリーダーもチームメンバーもそのどちらもが障がい者です。チームリーダーはチームメンバーの障がい状態や体調を把握していて、毎日、チームメンバーの障がい状態や体調に合わせた業務指示を出します。
業務が順調に進んでいることを確認し、問題が起きれば依頼部署と調整します。チームメンバーのほとんどはコミュニケーションが得意ではありませんが、チームリーダーが間に立って依頼部署とチームメンバーをつなぎます。
できることできないことを確認しながら業務を教えていくことは簡単なことではありませんが、障がい者同士だからこそその大切さがわかっています。障がい状態や体調についても丁寧に話し合います。話し合うことが日常です。チームリーダーはチームメンバーの頼れる先輩であり、ビーウィズで働いていく上での目標、ロールモデルでもあります。
シェアードサービスグループでは、就労支援機関に通所している障がい者からの求人応募を中心に採用活動を行っています。「障がい者が体調や障がい状態にあわせて働けること」 「障がい者にとって働きやすい職場環境をつくっているのが障がい者自身であること」 などが就労支援機関に評価されているようです。
就労支援機関から評価されるシェアードサービスグループの特徴は6つあります。
- 先程までお話しさせていただきましたが、業務の進め方などに特徴のあるチームで業務に取り組んでいること。
- チームの中がチームリーダーを中心に組織化されていること。全員に役割や自分の担当業務があり、毎月目標を決めています。
- チームメンバーをチームリーダーが支えるということ。チームメンバーの相談はチームリーダーがまずは受けますが、チームリーダーは全員、障害者職業生活相談員の研修を受けています。
- 支援機関としっかりと連携していること。業務や職場での悩みはビーウィズが、治療やプライベートでの悩みは支援機関が解決にあたります。
- 障がい者の採用面接に障がい者が参加していること。面接は障がい者雇用チームが段取り、面接にも障がい者が参加しています。
- チームリーダーをシェアードサービスグループ全体で支えるということ。負担の大きいチームリーダーが悩みを抱え込まないよう、チームリーダー同士が協力し合える体制を作っています。
ここからはシェアードサービスグループのそれぞれのチームについて、お話しさせていただきます。
日常的な庶務業務を行う庶務業務チームの代表的な業務は、社内便やセルフサービスコーナーの管理などです。従業員が毎日気持ち良く働いていくためになくてはならない業務が集められています。
写真は全国各地の拠点から送られてくる社内便の仕分け作業の様子です。誤配があってはいけませんので、必ず2名でダブルチェックをして宛先部署に届けます。
使用する社内便封筒は中に入れる書類にあわせて3種類ありますが、混乱しないよう工夫して整理しています。
他部署から請け負った業務を行う請負業務チームの代表的な業務は、名刺印刷、書類の封入封緘発送業務、監督官庁への届出業務などです。
写真は上が名刺作成業務、下が人事手続き帳票の精査業務になります。
名刺作成業務は業者に発注していた業務を内製化したものですが、名刺データの作成、印刷、裁断と分担して作業を進めます。
人事手続き帳票については、ハローワークに届け出る雇用保険や健保組合に届け出る健康保険などの下準備やファイリング、付随する封入封緘発送作業の全てを行っています。どちらの業務も間違いが無いよう、作業の合間合間で必ずダブルチェックをしています。
請求管理チームでは、ビーウィズが支払う請求書の処理をまとめて行っています。
経理財務部と連携して処理している請求書の件数は月に200件以上、取り扱い金額は月に1億円を大きく超えます。
会計ソフトを使っての作業になりますが、経理業務未経験の障がい者メンバーに会計ソフトの使い方や会計の基礎知識をチームの中で教えられる態勢になっています。
請求書処理に間違いは許されませんので、2名でダブルチェックをしながら慎重に作業を進めます。
請求書を処理するために必要となるエビデンスデータもマニュアルに従って作業しますが、このマニュアルを作成しているのもチームリーダーです。
ここからは障がい者をいかに定着させ長期雇用につなげていくか、シェアードサービスグループでの工夫をお話しさせていただきます。
障がい種別に関わらず、障がい者が体調を崩すと不安定になってくるのが勤怠です。
シェアードサービスグループでは障がい状態にあわせ、週4日以上、1日5時間以上、出勤時間退勤時間を30分単位で調整しています。
60名全員の勤怠管理を障がい状態に寄り添って丁寧にやろうとすると大変な業務量になります。チームメンバーのとりまとめをチームリーダーに任せているからこそできることです。
シェアードサービスグループでは面談を大切にしています。特に支援機関との関係構築に力を入れており、定着面談は入社後すぐから頻繁に行っています。
先程の60名全員の勤怠管理は大変な業務量になるという話と同様に、定着面談も支援機関と情報交換しながら丁寧にやろうとすると大変な業務量になりますが、こちらも支援機関とのやり取りをチームリーダーが日常的にしているからこそできることです。
特例子会社でもなんでもない民間の一般企業が取り組むのですから、障がい者雇用を進めていくにあたって財務上、設備上、組織上、業務上、できることやできないことが企業にあるのは当然です。この許容範囲を広げていくことが、障がい者雇用です。そしてそれは起こる問題や起きた問題を許容するということではなく、起こる問題をいかに起こさせないか、起きた問題をいかにカバーするのか、そのためのなにかを許容するということです。
ダイバーシティ&インクルージョンが浸透した現在であっても、企業にとって障がい者雇用の一番の目的は法定雇用率の達成ですが、障がい者にとっては生活の糧を得る大切な機会でもあります。業績が良かった、悪かった、などに左右されない、持続可能な障がい者雇用でなくてはなりません。
障がい者雇用を成功させるためには、障がい者5名を健常者1名が管理しなくてはならないなどと言われることもあります。ですが、健常者が障がい者を管理することを前提にしていてはすぐに限界が来ます。
シェアードサービスグループでは、ビーウィズの従業員が気持ちよく働くための庶務業務や、いろいろな部署から切り出した請負業務はもちろん、新規業務の構築やマニュアルの作成、採用活動など、障がい者が働きやすい職場環境を作ることそのものに障がい者自身が取り組んでいます。これがビーウィズの考える、持続可能な障がい者雇用です。
障がい者が一人でも多く、働く喜びを感じることができる職場に就職することができれば、それは社会を明るくすると信じています。
これからもビーウィズは、シェアードサービスグループと、まだ道半ばのコンタクトセンターでの障がい者雇用に取り組み、試行錯誤を続けていくつもりです。
本日発表させていただいたこれまでの取り組みに、現在の許容範囲の中でもやれることがあるかもしれないという気付きや、許容範囲そのものを変えていくヒントとなるものがあれば幸いです。
質疑応答
Q:御社のチームで業務を運営するにはチームリーダーの存在が欠かせないが、チームリーダーはどうやって採用しているのか?
A:チームリーダーを採用しようとして採用できるものではありません。
自然と自分の業務だけでなく他の人の業務の手伝いをしたり、他の人から質問を受けて教える側に回る人が出て来ます。このような人を見つけたら、コミュニケーションを厚くしてその視点を引き上げていきます。
一人採用するだけではなかなかわかりにくいのですが、一度に複数人採用するととてもよくわかります。
Q:チームリーダーも障がい者ということだが、どうやって負担軽減しているのか?
A:チームリーダー同士で助け合えるよう、週に一回、それぞれのチームの状況を報告してもらうためのmtgを実施しています。
困り事が起きたとき、それが人手が足りないということであれば単純に人手を融通しますし、メンバー同士の人間関係などであればうちのチームではこういうことがあったなどの経験値を共有します。
また、障がい者雇用について基礎から学ぶこともチームリーダーを助けることになります。ビーウィズではチームリーダーは全員、障がい者職業生活相談員の講習を受けた有資格者です。
Q:障がい者の安定雇用に重要なことはなにか?
A:障がいが原因で仕事で失敗をしてもすぐにフォローしてもらえる、という安心感があります。
最初から業務手順の中でダブルチェックをすることになっていますし、障がいが原因で起きた失敗について責められることもありません。
シェアードサービスグループではチームリーダーを含めて障がい者が多く働いているので、なにかあったときにすぐに相談できるのも離職率の低減につながっています。
Q:採用チャネルはなにを使っているのか?
A:ハローワークが主催する面接会は障がい者雇用率を達成すると参加しにくくなってしまうこともあり、就労支援機関を通じた応募が多いです。
就労支援機関の通所者向けに実施しているオンライン会社説明会には、毎回20人以上の障がい者に参加してもらっています。
ただし、どのような考えで障がい者雇用を行っているのか伝え、どうすれば障がい者にとって働き易い環境になるのか定期的に意見交換を実施するなど、就労支援機関、しかも地域に点在するセンターそれぞれと信頼関係を構築するための努力は必要です。
現在時点で人材紹介サービスや民間の障がい者向け就職サイトは利用しておらず、採用に費用はかけていません。
Q:社内理解をどう進めるか?
A:どのような考えで障がい者雇用を行っているのかは当然社内に向けても繰り返し伝えていく必要がありますが、一番効果があるのは目の前に当たり前に働いている障がい者がいることです。
社内理解が進まないから障がい者雇用ができない、と言っていては何も始まらないので、まずは一人でも障がい者を雇用することが大事です。
そして、障がい者だから(業務の品質が悪かったり、納期が守れなかったりしても)しょうがない、は絶対に言ってはいけません。しっかりとした仕事をしていれば、社内理解は後からついてきます。
また、障がい者雇用を社員の奉仕の精神に頼るのではなく、きちんと人事評価することが重要だと考えます。
Q:障がい者にやってもらう業務がない?
A:絶対にあります。
企業規模にもよりますが、各部署に分散している軽作業を集める、外注している業務を内製化する、だけでも10人程度の障がい者雇用のための業務量になると思います。
業務量が足りなければ作り出すことを考えていかなくてはなりませんが、例えば、コロナのために減った業務量はコロナ感染拡大防止策として毎日消毒活動を行うことで補うなど、こちらから提案したり、社内営業を掛けていくことも大切だと思います。
Q:電話応答が中心のコンタクトセンターで障がい者雇用を進めるには?(コンタクトセンター運営会社から)
A:まずはコンタクトセンターをオペレーターにとってより気持ちの良い職場としていくための庶務業務、例えば休憩室の簡単な清掃、消耗品の管理などから障がい者の担当業務としていきます。
並行して、コンタクトセンターのバックヤード業務からファイリングやデータ入力など電話応答以外の事務補助業務の切り出しを行います。多くのオペレーターが働いているのであれば入社退社手続きやシフト管理などの人事業務もあるかもしれません。
お客様と電話でやり取りするということを変えられない以上、オペレーターとして働ける障がい者の採用はいわゆる障がい者雇用というよりは障がいのある人にも働き易い環境が整った一般雇用だと考え、障がい特性上電話応答が難しい人が辞めて離職率が高くなるのは仕方がないことだと割り切って根気良く採用活動を続けます。
クライアント様の許可がいただけるようであれば、電話応答に慣れていない障がい者向けに手厚く研修を行うなども考えていきたいところですが、簡単なことではありません。エンドユーザーとのやり取りがメールだと障がい者でも問題無く業務構築できますが、電話応答が中心ということであれば電話応答以外の業務から障がい者向けに再構築していくことにまずは注力します。
通販市場は拡大の一途を辿り、今後更なる競争激化が予想されています。
多種多様なコールセンターを運営するビーウィズが、これまでの運営ノウハウを集約し、通信販売事業成長のポイントや顧客に対する効果的な施策などをご紹介いたします。
詳しい資料は、以下よりダウンロードいただけます。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-308.html
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