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オペレーションを進化させる
現場のWEBマガジン
「現場はできるけど、考えられない部下」は本当に考えられないのか、について考えてみる。

HUMAN

形柳亜紀

2022.11.16

私は、コンタクトセンターのアウトソーシングの会社にいるわけだが、コンタクトセンターの現場において「現場を回すのはとても優秀なのに、改善を指示すると、とたんに何もできなくなる」ということはよく聞く話だ。

その話はどのレイヤーでも同じだ。LDRとSV間でもあれば、SVとマネージャー間でもあるし、マネージャーと部長間でもあるのかもしれない。

現場の運営は完璧で、オペレーターの指導も適切、クレーム対応も適切に対応し、しっかりとお客様にご理解いただくことができる。そんな社員なのに「じゃあ、生産性を高めるための企画・実行をお願い」と言ったとたん、何も進捗がないまま、半年が過ぎる。

こういう社員は全く珍しくなく、むしろちゃんとできる人の方が少ないくらいであり、私自身も上司からされたこのようなチャレンジングな企画を放置してしまったことが一度ならず複数回ある。

今日は、優秀なはずの部下が、なぜ「改善」となると何もできなくなるのか、について考えてみたいと思う。

「生産性を高める」という大難題における上司と部下の葛藤

私は「明日からダイエットする!」と決意したことがおそらく100万回はある。しかし、本当に実行されたのは10回くらいだ。よって、99万9,990回は失敗している。人は自らやりたいと思ったとしても、本当にアクションを起こせる確率は極めて低い。

それでも少なからず成功したときには、他と何が違ったか。
大きく異なったのは以下の2点だ。

 ●明確な期限とゴールがあった
 ●実行するべきアクションの細分化に成功した

ダイエットに成功した場合は「年末に実家に帰るのに、このまま帰ると必ず太ったって言われるな。年末までに-3キロを目指そう」とか「結婚式までに2キロは痩せたいな」というように、明確な「期限とゴール」が設定されていた。

また、その目標に到達するためのアクションとして、「間食をやめる」「ヨガに週3回行く」などの具体的なアクションプランも立てていた。「漠然と痩せたいな。何かしなきゃ」では、全く実現できないのだ。

「考えられない部下」は、これと同じことが起こっているのではないだろうか。

上司の「生産性を高めるために何か考えて」というお題目は、部下によっては、抽象的すぎるので、即効性のある画期的な発明をしないといけないという気持ちになるのだ。「私は現場のスーパーバイザーであって、エジソンではないので、電気は発明できません」みたいな感覚だ。なので、何から手を出したらいいのかわからない。具体的なアクションにつながらない。

上司からすると、「それならばそれで、相談をするのがホウレンソウでしょ」とも思ってしまう。
しかし、実際には、「上司の指示が抽象的なので、自分のチャレンジが電気を発明するレベルに難しいと感じられる(実際は個人差あり)」と思えるスーパーバイザーはむしろ優秀であり、たいていは「私が何も思いつくことができないので、上司の要望に応えられない」という自己嫌悪に陥っている。なぜならば「生産性を高める」ことは教科書に書いてある有効な施策だから。みんながやっていることだから。

一方、上司の立場から言わせてもらうと、方向性は出しているのだから、何でもいいから自ら考え課題をブレイクダウンして、具体的なアクションプランに落とし込んでほしい。
しかしながら、待てど暮らせど、部下からは進捗がでてこないので、冒頭の「現場では優秀なのに、改善を指示すると何もできなくなる」というぼやきになってしまう。

このような状況は、部下としても、上司としても極めて苦しい。

しかし、自戒を多く含めながら申し上げたいのは、そのようなときに本来、手を差し伸べるべきなのは、上司である。なぜならば、「コンタクトセンターの生産性を高めること」は、部下の育成が目的ではなく、コンタクトセンターの改善のためであるからだ。
言い訳をさせてもらうと、上司には上司なりの葛藤があり、「手を出してしまったら部下のためにならない」とも思う。上司と部下というのはいつも難しい。だからと言って、何も進捗がない状況を許すことは、コンタクトセンターのためにならなければ、ひいては部下の成功にもつながらない。

上司はどう手を差し伸べるべきか

前段のダイエットの話に戻ると、①期限が決まっていないアクション ②実行可能なレベルまで具体化されていない施策は進まない。よって、上司としては、部下と話をして、具体的に何がアクションとして対応が可能か、を壁打ちする必要があるだろう。
バッくりとした「やってもらいたいこと」を実現可能な大きさにカットしていくのだ。

「生産性が低い要因」は、すでにいくつかに分けることが可能だ。

 ①通話時間が長い
 ②後処理時間が長い
 ③保留時間が長い

などだ。複数の要件にまたがることもある。

仮に生産性が低い理由が「後処理時間が長いから」だとする。
その場合、

 ①無駄な入力項目がある 
 ②オペレーターのタイピングスキルが低い 
 ③オペレーターの文章要約スキルが低い 

などの要素洗い出しが可能だ。
そこまで一緒に洗い出したうえで、具体的な対応策を一緒に考えていく。

①無駄な入力項目があるならば、業務フローの見直し・入力項目の必要可否の再判断という施策を検討できる。②タイピングスキルが低い場合は、タイピングソフトで練習をしてもらう、などの施策も検討できる。③の要約スキルについては、テストや研修を作って要約の仕方を教えることもできれば、テンプレート化することで効率化が図れるかもしれない。

このように、「生産性を高める」というお題目を、実行可能なレベルまで細分化できれば、部下にとって「電気を発明する」ような苦行を強いられる活動ではなくなっている。

そして、上司とこのようにお題目を細分化する経験は、「考えること」は「電気を発明すること」ではないことを理解してくれるはずだ。
現場で優秀で輝いている部下なのだから、そんなことがわからないはずはない。

アクション内容が確定したら、しっかりと期限を設定する。「いつまでに何をするか」をちゃんと一緒に約束するのだ。スーパーバイザーは、今日の運営を回すだけでも毎日忙しい。期限のない仕事はなかなか着手できない。しっかりと期限を定めることで、仕事の緊急性を高めなければ、実現されていかない。

近年のコンタクトセンターのDX

世の中全体がそうであるように、コンタクトセンターにもDX化の波が来ている。生産性を高めるためにRPAやAI-OCRを使うのは当たり前だ。これは私が現場にいるときにはなかったムーブメントであり、現場からすると未知の世界かもしれない。

しかしこれらのデジタル化による改善も、特別なことは何もなくて、「生産性を高める」という極めて抽象度の高い問いを細分化し、具体化した結果、RPAで解決できるものやAI-OCRで解決できるものが存在するだけだ。このような新しい選択肢が増えるということは「答えのない問い」が増えることでもある。上司としては、「ゴール設定」を間違わないことが求められているように思う。

例えば、「RPAをとりあえず活用してくれ」という指示では、そもそも現場は何から始めればいいかわからないし、そもそも「そのセンターにとってRPAの活用が有効か」も分からない。選択肢が多い時代だからこそ、何が目的であって、そのために対応する施策は目的達成に向けて効率的なのかを上司としてはチェックをしながら、支援してくことが求められるだろう。

リモートワークやDXと最近の上司業は難しいので、悩みは尽きない。正解が何かがわからないことばかりだ。教科書通りに推進ができない。そんな時代でも、答えがないからこそ上司なりの、センターなりの答えを持ち、そこに向けて推進していく力が必要だ。

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