コロナでいろいろなことがオンラインになった。
会議、商談、セミナー、面接、研修、診療、宴会、ライブ、美術鑑賞、旅行・・・・。
オンラインになって変わったのは、仕事の進め方やコミュニケーションの取り方だけではないらしく、女性ファッション誌の
リモワ時代の“映えトップス”と“楽ちんパンツ”(CLASSY10月号)
リモート会議で頼りになる「オンライン映えトップス」(eclat9月号)
美肌アイテムは画面「越し」、マスク「越し」でどう見えるか?で選ぶ(with9月号)
などの特集からもわかるように、服選びもメイクの仕方も変化している。
だからと言って服を全部買い替えたりはしないけど、色んなことを、ニューノーマルにチューニングしている毎日だ。
オンライン会議は既に日常化し、多くの人が経験していると思うが、仕事柄、この半年で特に注目してきたのは、研修のオンライン化だ。
私は、2017年から一般社団法人 日本コールセンター協会の「CCAJスクール」で講師をしている。
アウトソーサーもインハウスも数社ごちゃまぜでSVが集合する講師体験は、社内研修とはまた違う緊張感があり、私にとっては別モノだ。
コロナ禍では、残念ながら開催を見送ることもあったが、ようやく先月、オンライン開催をした。
オンライン化にあたり、カリキュラムや資料を少し変え、zoomの機能を勉強して検証し、準備を進めていた私はあることに気づく。
「ホワイトボードが使えない。」
1枚のホワイトボードの代わりなら、zoomの機能を使えばいいし、パワポを映せばいい。
でも違う、私はホワイトボードをたくさん使いたいのです。
ホワイトボードを使って距離を縮めたり一体感を作ったり
いつも使う会場には、ホワイトボードがたくさんある。
このホワイトボードを2日間かけて埋めていくホワイトボード芸は、このスクールでは私の定番だ。
これには良さがある。
「昨日話したことと同じことですね」と耳で聞くだけでなく、昨日と同じ方角にある同じ図を見ることで反復効果が高まる。
朝は右前のホワイトボードからスタートするが、後方との距離を感じたら後ろのホワイトボードに移動する。
こうして全てがアリーナ席になる。
おこがましいが、ジャニーズのドームコンサートの花道と同じ考え方だ、たぶん。
そして私が多動ぎみに動くことで、空気を混ぜて一体感をつくっている。
空気が動いて停滞感も防げる。
聞き疲れてきた夕方には、セットチェンジ。
ホワイトボードを壁にして、グループディスカッションに集中できるようになる。
わたし的には、これは、この研修の醍醐味のひとつであった。
でも、コロナで出来なくなってしまった。
まず、大人数が一部屋に集まること自体、避けるべきことだし、たとえ集まれても、マスクをしていても、講師が部屋中を縦横無尽に動き回るわけにもいかない。
グループディスカッションだって避けた方がいいだろう。
オンラインと研修は、相性が良い
オンライン化にあたり、ホワイトボードは、スライドに変えた。
同じスライドを繰り返し見てもらうことの反復効果を狙ったが、きれいなパワポでは「加工品」感が出てしまい「生もの」感が少なかったような気がする。
そうか、ホワイトボードは「生もの」だったんだ、と気づかされる。
対面でもオンラインでも同じ内容を伝えることは出来たが、スライドでは空気を混ぜられない。
次回以降の課題だ。
グループディスカッションは、既にお馴染みの方も多いと思うが、zoomの「ブレークアウトセッション」を利用。
対面と違って講師が同時に全グループの様子を見渡せないのは難点だが、教室をぐるぐる巡るかのように各セッションに少しずつお邪魔すれば、「盛り上がっているな」とか「軌道修正した方がいいな」ということは、なんとなくわかった。
初日の入室時の混乱など嘘のように、皆落ち着いていたし、真剣に取り組めていた。
他のグループの声が聞こえない分、なんならいつもより集中できているのではないかとすら感じた。
心配ごとは色々あったし、「時々、通信が不安定になり聞き取れなかった」「もっと他の受講者と交流したかった」などの意見はあったものの、
「接続環境さえ整えば、対面と同等の効果が得られると思います」
「オンライン研修を検討しているなかで、オンラインでコツを知れて良かった」
「チャットでの意見交換は集合研修より敷居が低く感じられ、オンラインならではで良かった」
などの好意的な感想をたくさん頂き、2日間コースを無事に終えることができた。
あなたのオンライン研修は、きっと成功する
実はビーウィズは10年前から、SV講座の多くをテレビ会議システムを使っておこなっていたので、実はずっとオンラインだった。
だからコロナ禍においても、テレビ会議システムからzoomに切り替えることへの抵抗は少なく、SV教育を続行することが出来た。
コロナ禍、研修に限らず、多くの方がオンラインで話をする機会があるだろう。
会議は双方向だけど、研修は何か仕掛けなくては、講師は孤独になりやすい。
だから、これからオンラインで研修することになるあなたへ、少しだけアドバイスさせていただこう。
ひとつだけ助言をするとしたら、何が一番大切か。それは、
あなたの気持ちが折れないこと
である。
オンライン研修を受け慣れていない受講者は、オンラインでのリアクション初心者である。
だから反応は薄い、というか、あなたにはとってそれは無反応に見えるかもしれない。
序盤では、反応の薄さに抗おうとせず、受け入れることが大切。
はじめに気持ちが折れてしまっては、もったいない。
かといって、研修の時間中「無反応に慣れろ、反応の薄さに耐えろ」と言っているわけではない。
できる対策はある。
・リアクションの練習
たかが「いいね」だが、受講者にとっては、されど「いいね」かもしれない。
スタンプを押すのは簡単だが、意外と勇気はいる。だから押しまくる練習をして押すのをフツーのことにする。
「チャット」も同じ。簡単に答えられる質問をして、答えまくって慣れてしまうと遠慮がなくなるだろう。
・10分に1回「何か」する
例えば45分のセミナーで、あなたがとても饒舌であれば、喋り続ければ良い。
でも長時間の研修では限界がある。対面に比べてオンラインは集中力が持ちづらいから、対面よりは頻繁に「何か」した方が良い。
例えば私の講座では、30分経ったらグループワークや個人ワークのシンキングタイムなど、比較的“オオモノ”のアクティビティを入れるようにしている。
そして、10分に1回は、誰かを指名して質問してみる。きっと良いことを言ってくれるから、それで空気が動く。
次の10分は全員に質問して、大きく〇とか×とか、身体を使って回答してもらう。
少し動くだけでも眠くなりかけていた人の眠気が少し覚める。全員が眠そうだなと思えば、10分後にまた体操をすれば良い。
・自信をもって話せるよう練習しておく
始めの10分間と、自信がないパートは、練習しておくのが良い。
練習して自信がつけば相手の無反応に耐えやすい。だから気持ちが折れにくい。
そして自信や熱意は、画面やマイクを通しても受講者に伝わるから、そのうち自然と反応を得られるようになる。
では、自信がないとどうなるか。
無反応に耐えられず、同じことを繰り返し話したり、一文が長くなる。受講者はつまらないと感じ、もっと反応しなくなる。
既にお気づきだと思うが、実はこれは、対面研修とたいして変わらない。
実際、私は対面研修でも拍手の練習をするし、10分以上続けて話さないようにしているし、どんなに慣れた研修であっても始めの10分間の練習は必ずしている。
オンライン研修とはいえ、事前にやるべき準備や工夫の根幹はあまり変わらない。
コンテンツが優良であれば、オンライン化に向けて「大替え」する必要なんてない。
でも、ちょっとのチューニングにこだわる必要はある。
オンライン化はますます進むだろう。
研修でも、もっといろんなことが出来るようになるだろう。
楽しみ。
それでは、皆様。
素晴らしいオンライン研修を!
ビーウィズには20を超えるSV講座があり、現在は全ての講座をオンラインでおこなっています。
一部の講座は「育成スキル向上講座」「スクリプト・FAQ作成講座」として、CCAJスクールで開催しております。開催日により対面型のこともありますが、オンライン開催時は「オンラインフィードバックのコツ」「オンライン研修のコツ」についてもご説明しています。
CCAJスクール「育成スキル向上講座~研修とフィードバックの進め方を学ぶ」
CCAJスクール「スクリプト・FAQ作成講座~効果的なスクリプトを、効率よく作成する」