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今さら聞けないけど知るって楽しいシリーズ 電話編①:日本どこでも電話がつながる仕組み
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DIGITAL

小笠原大介

2020.10.07

プリンとブリ

『プリンにする?ブリにする?』

社会人1年目の5月若葉のころ、お茶の水博士のような風貌の先輩にふいに質問された言葉。
あー、もうそんな時間か、でもランチの選択としては変な質問ねーお茶の水さん、ぷぷぷ、と思っていたら、これPBXという電話用のシステムの設計にかかわる質問でした。

この質問が何を意味しているかお察しの方は、電話システムに精通されていると思いますが、そんな聞き間違いからスタートした、私の電話システムとの出会いから、そして、その世界に魅了されたひとりとして、この不思議な世界を少しご紹介したいと思います。

全部つながっている

電話の世界も他の業界と同じように、進化が激しく、多様な利用方法や技術が出てきました。

しかし、今も昔もその基本となるのはNTTの加入電話サービス。

時を少し戻して昭和のころ。
吉祥寺の居酒屋からふるさとの疎開してくる家族に『気を付けて来いよ』と電話すると、その声は実はずっと物理的にケーブルなどを通じてつながって届きます。

居酒屋の電話機から近くの電柱をたどって空をめぐり、はたまたマンホールから地下をめぐったケーブルが、ふるさとの家までまるで1本の線のようにつながっているのです。

誰もが確実に使える環境を目指し、日本全国津々浦々まで。
水道や電気と同じように「ライフライン」ともいわれる環境をつくった先人に、畏怖の念を感じます。

居酒屋の近くの電柱からはじまった電話線が、徐々に束ねられ太いケーブルになり、最寄りのNTTの設備内に入り、そこに設置されている巨大な「電話交換機」という電話の処理を担う装置につながります。
その装置では、電話交換機が電話をかける、電話を受ける、誰から誰に電話をつなげる、という一連の処理を行っています。

電話線は長すぎると音声品質が悪くなって聞こえなくなったりしてしまいます。そのために、平均2.2kmほどの長さになっているようです。その距離をカバーできるようにNTTのビルが全国にあるのですね。
吉祥寺の居酒屋の近くにもしっかりNTT吉祥寺ビルがあります。

NTTビルに入ってから、NTTのビル内やビル間を張り巡らされた電話網を伝っていきます。

ここも電話交換機間を大量の呼量を処理できるように太いケーブルで接続され、吉祥寺から隣県を通り、最終的にふるさとまでリレーのように声が橋渡りされて、ふるさとの最寄りのNTTビルまでたどりつくと電柱から家の電話につながって声が通じるのです。

この間ほんのわずかな時間で、声もしっかり聞こえて届くのですからすごいですよね。


この絵のピンク色部分のNTTのビルに入ってからの仕組みは、どでかい装置がいくつも並んだり巨大なケーブルが何本もあったり、壮絶かつある種芸術的とも言えます。しかし、日本全国を電話交換機1台のみで処理ができるわけではありません。
そのため何台もの電話交換機がつながって、電話交換機ネットワークがつくられています。

そのネットワークは政令指定都市から近隣の各県、そしてそこから各地区、最後に家までというように徐々に枝分かれしてつながっていきます。

どこかで故障が起こったり、電話線が切れても、複数のルートを通れるように設計し仕組みづくりをしてきたのです。

この全体の電話網(加入電話)は人間の身体だと、心臓の中心から指の毛細血管までの流れともしばしば例えられます。

まさしく全体が125マイクロ秒の鼓動で同期して!多くの人の声を順番に送ることで時間通りに音声が届く驚きの仕掛けをつくっています。

音はどのように伝わるのか

そもそも声が遠く離れたところにも電気信号として伝わるって不思議です。

声は空気中の分子が揺れて伝わっていきます。
その揺れの代表的な例として、ジャイアンがリサイタルを開催した際に周辺家屋の窓が割れ、カラスが気絶することがあげられます。
このことから、声を出すことによって空気の波動が起こっていることをご想像いただけると思います。

この揺れを電子の世界でも起こしているのが電話の仕組みの根本です。

視覚化すると波形としてあらわれるイメージです。

少々強引な説明ですが、電子化された波形は連続した途切れの無い状態ですが、一定の時間間隔で細かく区切っていくと徐々にカクカクとした状態になります。

デジタルの絵や文字を拡大すると綺麗な曲線ではなくギザギザになっているような感じですね。
こうしていくと縦と横で測れるようになり、それは数値で表すことができ、いわゆる「1」と「0」で表現できるデジタル情報として扱えるようになります。


電話を掛けたときの最初の空気の振動である声は電子になって、途中の電話交換機ではデジタルに変換され、再度出ていく際に逆の順番で声として届くような変換がされています。

生の声を聞くより電話のほうがくぐもった感があったりしますが、それは人間が鈍感な音域であるものすごい高音や低音は大雑把にするなどの工夫がされているからです。

ぷるるるという電話をかけた時の音も人間の声に寄せたりしているのです。
ちょっとした、でも気の利いた工夫が電話環境を快適にしているのですね。

時代が昭和から平成へと進むと、技術も進化し性能があがっており、その対処方法は劇的に変化し効率的に行えるようになっています。

昔だったら家までの距離の兼ね合いや利用者数によりつなげ方を考慮するなど、設計大変だっただろうなーと思う次第です。

誰がどこに電話したいのか、を把握する方法

一方で音を伝えるためには誰がどこに電話したいのか、という情報をしっかりと把握する必要があります。
つまりは居酒屋の電話番号からふるさとの家の電話番号につなげる、という情報です。

ちょっと前に多くの会社で、従業員にPHSを支給し、企業内に設置する電話システムとPHS用のシステムを連携させ、PHSを内線として使うことがありました。

「企業内の電話システム」と「PHS用のシステム」の2つのシステムの間を50本ほどの電話線で結び、電話をする際にどの線を使うかお互いに認識を合わせて、電話を掛けます。

しかし、そのやりとりがずれて「企業内の電話システム」と「PHS用のシステム」側で異なる電話線を利用したことにより、意図した人とは違う人に電話がつながるという状態になることがありました。

電話では、「誰が誰につなげるか」ということと、「どの通り道を使うか」ということを決めて通話を確立させています。

PHSの例ではその企業が利用する限定的なシステムですが、NTTの場合では日本全国が利用対象となり、そのために利用する電話交換機なども規模が桁違いに大きくなります。

番号1つ違うだけで違う人に電話がつながってしまいますので、その「誰が誰につなげるのか = 制御情報」をしっかりと伝えるような仕組みが電話の世界では確立されています。

NTTの電話交換機が、誰につなげるかわからなかったら、再送をお願いする仕組みが成されているなどが一例です。

これは昭和から使われている電話だけではなく、IP電話なども同じ原理です。

普段、電話をかけるときは意識していないかもしれませんが、制御信号はデジタルの世界でやりとりされていますので、紐解いていくと実は電話の世界もしっかりとデジタルなんですね。

携帯電話やスマートフォンはどのようにつながるのか。

最後に携帯やスマホにも少し触れておきたいと思います。

携帯の特徴は、いわずもがな無線でつながることですが、その無線をキャッチするのは基地局ともいわれるアンテナです。

これも先のNTTビルと同じように街中に多く設置されています。
物理的なケーブルも基地局のアンテナも届く範囲が限られているのは共通しています。

加えて移動しながら使うという特性があるので、「この人ここにいるよ」という情報を管理し、移動しながらでも使える環境を提供しています。
携帯になると携帯用の制御情報のやりとりが発生しています。

吉祥寺の居酒屋で発した声が、空気の振動から、電柱やマンホールを通過しつつ、電子化とデジタル化にスリム化され、複雑なNTTの電話網を通り、再度、地下やら空を飛びながら声に戻って家族に伝わる。

このようにして電話がつながっていくわけですが、最後のふるさとの家が仮に企業だった場合、「PBX(ピービーエックス)と呼ばれる電話システムにつながります。
PBXは、企業内での電話環境を提供する仕組みを作っています。

また、コールセンターにおいては「電話を受ける」もしくは「発信する」仕事を行いますが、ここにおいても効率的に電話を利用する仕組みがあります。

次回は、企業において利用するPBXの仕組みとその設計方法について、プリンとブリ問題にふれつつお話したいと思います。

Omnia LINK(オムニアリンク)は、クラウド型IP-PBXを基盤としたコールセンター向けトータルテレフォニーソリューションです。
基本の通話・管理機能はもちろん、AIを利用した通話音声のリアルタイムテキスト化や、FAQリコメンデーションなど次世代機能を提供し、在宅コールセンターにも対応しています。


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