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「自分の仕事の価値はどのくらいだろう?」分からない人は「インフォーマルパワー」に注目してみよう
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HUMAN

たそ

2021.11.04

「自分の仕事はどのくらいの価値を生み出しているのだろう?」
そう悩んだ経験があるビジネスパーソンは少なくないことでしょう。あるいはいまその最中にあるという人もいるでしょう。

営業成績、といった「数値化できる」職種の場合はひとつの指標として「見える化」されていますが、そうでない職種の場合、自分の仕事の価値を見つけてモチベーションに繋げるのは、時として難しいものです。

悩んだときに振り返ってみたいのは、ビジネスパーソンの「市場価値」とは何かということです。

ビジネスパーソンの「価値」とは何なのか?

仕事の価値は、必ずしも数値化されるわけではありません。

製造の現場ではいくつの商品を生み出した、営業の現場ではいくらを売り上げた、と比較的目に見えるものもありますが、そのように価値を可視化できる仕事の方が少ないかもしれません。

さらに可視化できるものであっても、必ずしも「その人個人の仕事の価値」とは言い切れません。何かを作る技術や営業のやり方を教えた人が必ずいますし、人脈を提供している人もいることでしょう。よって売上の何割かは、こうした教育や情報などを与えてくれた人の功績ということになります。

ひところ、主婦の家事の貨幣価値はいくらか?と話題になったことがあります。それと同じなのです。

よって、自分の「業務の結果」だけでなく、「周囲の人に与えた価値」もまた、その人の仕事の価値と言えます。

そして、その価値をはかるひとつの方法があります。「インフォーマルパワー」というものです。
ミシガン大学のマキシム・シッチ准教授は「インフォーマルパワー」を計算することで、その人の価値をはかる方法を提唱しています。

「インフォーマルパワー」とは

シッチ准教授はインフォーマルパワーを「価値を生み出し、事を成し遂げる」能力の目安と位置づけています。
そして、以下のステップで計算します。


②に注目してみましょう。

ひとつの仕事を成し遂げる=例えば10万円のものを売る営業に成功した人であっても、他からの「キャリアに関するアドバイス、感情面でのサポート、日常的な活動の手助け、情報提供、役に立つリソースや人の紹介」がなければ成立し得ない契約であった可能性は高いでしょう。

ステップ②、③のスコアを比較すると、相手から提供されている価値以上のものを自分が相手に提供できているかどうかがわかります。もちろん圧倒的に多ければ良いというわけではありません。価値を与え続けるだけでは、フェアな人間関係は維持できません。

しかし、貨幣価値に変換はできないものの、自分の仕事、あるいは会社に所属している自分の「価値」を知ることができるのです。

値段として見える仕事の成果はバラバラであるのが普通

筆者の放送局勤務時代、こんなことがありました。

放送局は報道、スポーツ、ドラマ、アニメ…と多くの情報を提供しています。
その中で、ひとつの作品を大ヒットさせ、一人で億単位の売上を出しているプロデューサーがいる、という話を聞きました。

一方で、報道の現場は常に赤字です。大きなニュースが発生すればするほど膨大な取材費用や人件費がかかり、赤字になっていきます。

しかしこのように赤字を続ける報道局に価値はないのか?
というと、そうではないでしょう。放送局は基本的に「報道機関」であり、一定割合をニュース番組に宛てるよう決められています。むしろ、絶対に存在しなければならないのが報道局なのです。

自社の存在の根幹業務を担っている報道局の仕事は、赤字であってもなくすことはできないのです。もちろんその中で良質の番組を作れば社の信頼度は上がるという価値を生み出します。
また、良い映像を撮影すれば、他の情報番組でも再利用されます。もし社内、部署間でこれに値段をつければ、金銭的価値を生み出していることにもなります。

もちろん数億円の商品を生み出す社員の価値は絶大です。ただ、そこには宣伝担当、営業部隊、そのプロデューサーの心理的支えになっている存在が必ずあり、それらなしには数億円に至らなかった可能性は否めません。

お会いしたところ、非常に謙虚な方でした。

貨幣価値にこだわりすぎて視野を狭めてはならない

なお、上の「インフォーマルパワー」を提唱しているシッチ教授は、このような注意点を挙げています。


価値のやり取りをしている相手が狭い範囲に集中することの危険性を指摘しているのです。

例えば、トップ営業マンがいたとして、その人の鞄持ちをすれば自分にもある程度の金銭価値を感じられる…
そのような狭い考えではいけません。トップに居る人がこれからも未来永劫そうであるわけではないからです。

ではどのようにして自分の価値を上げていくか。

まずひとつは、周囲が忙しすぎて手が回らないような知識や人脈を身につけ提供する。会社が何を求めているのかを知り提供する。そういったことだと筆者は考えます。

その人の価値とは、市場あるいは会社が決めるものであるという側面もあります。市場や会社が、「いくらならこの人材に支払って良い」と判断するものであって、自分で決めるものではありません。
天才的なクリエイターなどはその存在だけで価値を認められますが、そういった存在はごく一握りです。

周囲が何を求めているのか。会社は何を求めているのか。
それを理解しながら自分なりの形で提供しようと考えること、価値はすでにそこに発生しているのです。

ライタープロフィール

<たそ>
京都大学理学部卒業後、大手放送局でおもに記者として勤務、広報・人材開発にも携わる。ライターとして独立後は取材経験や各種統計の分析をもとに社会分析を続け、ビジネス、人材、デジタルなど幅広い分野でメディア向け記事を寄稿している。


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