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UiPath LTS 2021.10リリースの気になるを調べてみた ~積極的な動機による替えドキを目指して~

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RobotA

2022.02.09

替えドキの判断が不得意

スマホケースを利用せず乱暴に持ち歩いているため仕方ないのかもしれないが、スマートフォンの角が欠けしまった。通常利用は問題はないが、勿論見た目は悪いし、防水機能なんて効かないだろうな…という状態なので、買い替えについて頭を悩ませています。

 消極的な動機:替えないと使えない
 (画面が表示されない。電源が入らない等、通常利用すらできないため必要に迫られる。)
 積極的な動機:替えると利便性が向上する
 (新機能が利用できる。バッテリーが長持ち。画面が大きいなど新たな魅力に期待する。)

私が何故頭を悩ませているかというと、新機種にさほど魅力を感じていないため積極的な動機がなく、普段の利用には遜色ないことから消極的な動機ともならないことが原因だと言えます。

…と、それらしく考えてみましたが、日常生活における替えドキの判断が不得意であり、優柔不断なだけです。自分でも認識しており、これに悩むのは煩わしいので、比較的安価なシャツや下着など積極的な動機が生じにくいものは、定期的に全て交換するというルーチンを設定し、消極的な動機による替え(破れた服を着るような恥ずかしい状況)を回避しています。

これと同じくスマホも半ば強制的に替えるルールとすれば良いのでしょうが、それなりに高価なため悩みはしばらく続きそうです。

RPAの替えドキ(バージョンアップについて)

一時的に使えない状況となっても日常生活ではしばらく我慢すれば良いですが、ビジネス環境ではそうはいかないでしょう。よってRPA(に限らずビジネス基盤の全般に言えるが。)の替えドキ(≒バージョンアップ)も消極的な動機を回避するルーチンが必須だと考えることができるのではないでしょうか。

 消極的な動機:替えないと使えない
 (製品が提供終了する。サポート期間が終了する。等)
 積極的な動機:替えると利便性が向上する
 (新たな機能が利用できる。新たな関連製品との互換性が担保される。等)

私たちは、導入しているUiPath製品の1年ごとのライセンス更新タイミングでバージョンアップを必ず検討しています。その際に完全な製品サポートであるメインストリーム期間があるFTS(Fast Track Support)、もしくはLTS(Long Term Support)から対象を選択するのが一般的ですが、よりサポート期間が長いLTSをバージョンアップ対象として選定します。


<参考>UiPath社:プロダクト ライフサイクル

 

このルーチンにより、つい先日私たちのRPA環境もLTS 2021.10にバージョンアップしました。実際のバージョンアップ作業は、既に稼働しているロボットへの影響把握など綿密な計画に基づき実施することが求められますが、これについては別の機会として、今回は積極的な動機となりえるかもしれないLTS 2021.10について触れていきたいと思います。

UiPath LTS 2021.10リリースの気になるを調べてみた

前置きが長くなりましたが、本題に入る前にもう一つ、総務省が定めるところではRPAには3段階のクラスによる自動化レベルがあるとされています。

このクラスごとに見ていくと、ヒトの定型業務の効率化を目的としたRPA活用は勿論ですが、AI技術を活用したEPAも浸透してきているのではないでしょうか。

その代表例は画像認識AI技術を活用したAI-OCRとRPAの組み合わせによる自動化があり、当社でも最も効率化効果の高い事例の一つです。一方、更に高度なレベルであるCAとなると技術の発展段階にあり、まだほとんど実例がない状況ではないでしょうか。


<参考>総務省:RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)

 

先ほどのLTS 2021.10に話を戻すと、UiPath社のリリースではセマンティックオートメーションの第一歩と位置付けられており、まさにCAクラスの高度RPA利用を目指す足掛かりの位置付けのようです。

“今後UiPath社では、エンドツーエンドの自動化の次のステージとなる「セマンティックオートメーション」を推進していきます。セマンティックオートメーションとは、オートメーションが自己学習によって、企業の業務や個人の仕事におけるビジネス上の文脈を理解し、自動化対象業務やその自動化ためのワークフローの提案を行い、人間はその最終判断や最終的な考え方に集中できるというものです。「UiPath 2021.10」は、その第一歩となるものです。”

 

<参考>UiPath社:エンドツーエンドの自動化プラットフォームの最新版「UiPath 2021.10」を提供開始

 

LTS 2021.10では100を超える新機能や機能強化が図られているようですが、そのなかに「Self-Healing機能」「Integration Service」などRPA開発に関連しそうな気になるキーワードについて調べてみましたのでご紹介をしたいと思います。

「Self-Healing機能」
Self-Healingという言葉から自己治癒のような印象を受けませんか。過去の記事 “RPA導入で心が折れている場合ではない” でもある通り、RPAは変化を嫌うため柔軟性を保つことが開発者の苦労ですが、これが一気に解消するかのように期待してしまいます。まさにセマンティックオートメーションです。

具体的にはシステムへの入力作業を担うロボットが入力画面の構成が変化した場合、停止することがあるのは前述の過去記事にもある通りよくあることですが、ロボットが自らその変化を理解し対応する機能(≒自己治癒)を期待させます。そんな機能が存在するのか、期待通りの機能だとするとRPAの概念を覆すほどのインパクトです。

早速この機能について調べようとUiPath StudioやOrchestratorに該当するようなボタンやメニューがないか、またインターネットに参考となる情報がないかを確認してみましたが、残念ながら具体的に記述されている情報を見つけることができませんでした。困り果てた結果、中の人から得られた回答は以下です。

“「Self-Healing」は、IT Automationの各種アクティビティを使うことで、UiPath が動く ITインフラ(AWSやAzureなどのIaaS、VMwareなど仮想化技術、Office365やブラウザなど)の操作を自動化することができ、ITインフラの異常の検出や修復をUiPathが行えるとの一連の仕組みの総称“

 

<参考>UiPath社:連携の概要(Integrations Overview)/IT Automation

 

残念ながら早合点でしたが、確かにリリースにもそのような表記があります。ただ海外のUiPathフォーラムでは、これまでにも自己治癒、自然回復の方法はないかという質問が投げかけられていることからも、RPA開発者が妄想する技術革新のポイントであり、その機能実現が期待されます。

<参考>UiPath Form:Self healing or auto repair of Selectors

 

なお、参考までにこの質問に対する回答は、ログイン画面のIDやパスワード入力欄の画面要素を複合的(HTMLタグを取得、周辺のテキストとの位置関係)に取得する「あいまいセレクター機能」を紹介しています。これは以前のバージョンから存在する変化への対応を強化する便利機能であり、自己治癒とか回復というものではありません。


「Integration Service」


システム(A)でファイル作成されたことをキッカケに、システム(B)への作業であるプロセス①を実行するワークフローを実現するような場合、これまでロボットはシステム(A)でのファイル作成を厳密には感知できないということが課題となります。

そのために頻繁にファイルが作成されていないかシステム(A)を確認する(上図1.常時監視)、もしくは例えばMicrosoft365環境であればPowerAutomateを利用してシステム(A)でのファイル作成をキッカケにプロセス①を担うロボットを実行する(※上図2.他ツール利用)など疑似的に実現することが必要となります。


Integration Serviceは、200以上のクラウドシステムとのAPI連携と、別システムで動作するロボットとの連携により、外部システムのイベントをトリガーとした自動化を容易にする仕組みとなります。特に新旧システムが混在する業務環境では、このようなデータ連携の課題が発生するため、この課題を解決しシームレスな自動化を実現するのに役立ちます。

設定手順は、

①    「Connections」メニューで認証情報を登録する。


②    「Triggers」メニューで接続情報を設定する。


勿論接続するロボットの開発が必要ではありますが、このようにわずかなステップで外部システムのイベントをキッカケとした自動化がシームレスに実現できます。

積極的な動機による変化を業務効率化につなげよう

AI技術やRPA製品の技術革新は日進月歩です。また技術が高度化するにつれ、動向把握も難易度が高まっています。

今回のバージョンアップは、積極的な動機より変化を取り入れながら更なる業務効率化を目指していきたいと、改めて考えるキッカケとなりました。合わせて放置しているスマホの最新情報も調べてみようかな。。

ビーウィズでは「デジタル&オペレーション」として、AIを活用したソリューションのご提供や、ロボットを活用した定型業務の自動化とオペレーターによる非定型業務の組み合わせでバックオフィス業務の効率化、品質向上をご支援しております。

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詳しい資料は、以下よりダウンロードいただけます。
https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-129.html


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