オペレーションを進化させる
現場のWEBマガジンpowered by Bewith

わかるようでわからない、“クラウド”のはなし

  • #クラウド
  • #ネットワーク
  • #システム

DIGITAL

KR

2022.10.12

こんにちは。3回目の登場となります。
今回は僭越ながら、クラウドの話をさせていただきます。クラウドという言葉を耳にするようになってずいぶん月日がたったように感じますが、私が初めてその言葉を耳にしたのは中学生の頃だったと思います。

クラス40人のうち携帯を持っていない生徒はたった3人で、私はそのうちの一人でした。心優しい友人たちは、私の母の携帯に思春期特有のポエティックなメールを送り、携帯を持っていない私を疎外しないよう配慮してくれたものですが、とはいえ、人より確実にインターネット等に疎かったのはたしかです。

そんな時に情報の授業で突如現れた「クラウド」。私は結構本気で空の上に衛星的なサーバーがあるから、クラウドと呼ぶのだと思っていました。みんな、空の上に情報を保存しているんだ…かっこいいやん…。

そう勘違いしたままでも特に今まで困ることはなかったので、なんとなくここまで生きてきましたが、私と同じ勘違いをしている皆さん、実はクラウドってそういうものではないのです。

そんなこと知っているよ!という方が大半だとは思いますが、そんな皆さんの中でもクラウドを深堀りしていくと、ぼんやりとした回答になっていく方はいらっしゃるはず。

というより、今回はそういった人がいると信じてクラウドについて改めて整理をさせていただきたいと思います。

クラウドという呼び方の意味

そもそも私がずるずると勘違いをしていた理由はこの「クラウド」という名称にあります。「クラウド」がそもそも「クラウド」と呼ばれる理由を皆さんご存知でしょうか。

一見サーバーに実態が無いから、雲をつかむようなイメージで名づけられたのだと思っていましたが実はそうではありません。もともとネットワーク図を描く際、インターネットなどの外部ネットワークを雲のアイコンで表現していたことに由来します。

クラウドは何なのか

由来が意外と単純明快だったと少しがっかりしたところではありますが、この由来によってクラウドを理解することが少し楽になりました。というのも、クラウドが指しているものはネットワークに関係しているということが分かったからです。ネットワークを軸にしてクラウドという言葉を理解する必要があります。

さらに深堀すると、クラウドと私たちが口にしている言葉は本来、「クラウドコンピューティング」を指しています。ITにおいて「コンピューティング」という用語は、コンピュータによる数値計算や、より広くデータ処理や情報処理といったコンピュータを使う活動全般も指すことがあります。

これらを踏まえると「クラウドコンピューティング」の意味は「クラウドを介して情報やデータを計算したり、処理したり、保存したり、伝達したりすること」です。さらにかみ砕くと、「外部にコンピューティングできるものを置いて、ネットワークを介して様々なサービスを利用すること」となります。

クラウドという言葉から派生して、人によって「クラウドサーバ」や「クラウドストレージ」を「クラウド」と呼んでいるかもしれませんが、「クラウド」の名の付くものの共通点は以下のようになります。

 ①ネットワークを介して使うもの
 ②コンピューティングできるようなものを外部に置いている

こう整理すると、クラウドもなんだか分かった気になってきました。

オンプレミスもクラウド化ってどういうこと?

先述のようにクラウドを整理しましたが、コールセンターで働いているとこんな話を耳にしたことはありませんか。「オンプレミスもクラウド化できる」。オンプレミスは内部に置くもの。内部にあるはずなのにクラウド化、つまり上述②の外部に置いている、とはどういうことなのでしょうか。

これにはCPaaSというお話が関わってきます。これを解説する前に、まずPaaSという単語の意味から説明させていただきます。

IaaS、PaaS、SaaSとは

お仕事をされる中で、IaaS、PaaS、SaaSという単語を耳にされたことがある方は多いのではないでしょうか。これらはそれぞれ「Infrastructure as a Service」「Platform as a Service」「Software as a Service」の略です。

意味を簡単に表にまとめさせていただきます。


これらの共通点は、全てに「as a Service」と入っている通り、ネットワークを通してサービスを提供しているという点です。

そして、これらの相違点は「Infrastructure」「Platform」「Software」とある通り、ネットワークを通して利用できるサービスが違うという点です。

インフラ、プラットフォーム、ソフトウェアって、いったいどう違うの?と疑問に感じる方もいらっしゃると思います。こちらについても簡単に説明をさせていただきます。

ソフトウェアを動かすためにはプログラムだけではいけません。ソフトウェアを入れるハコ、コンピュータが必要ですし、やり取りをするための回線も必要です。プログラムが動くためのOSも必要です。

このようにソフトウェアひとつ動かすのにあたっても、用意しなければならないものはたくさんあります。とはいえ、自分ですべてを用意するのは大変です。そこで登場するのがPaaSやIaaSです。

これらはインフラ、プラットフォームという名の通り、ソフトウェアを動かすための環境をネットワークを通して貸すサービスです。どちらもソフトウェアを動かす「基盤」という意味合いですが、インフラは水道や道路をインフラと呼ぶように、プラットフォームよりもより公共性、共通基盤的なものに相当します。

プラットフォームは共通基盤の上に、少し要素を追加した状態となります。元ある基盤をそのまま提供するのがインフラ、設定を加えてから提供するのがプラットフォームと考えるとわかりやすいかもしれません。

PaaSとIaaSの整理をすることはできました。ではSaaSとの違いは、ということになりますが、こちらは既に先ほど少しふれましたが、インフラやプラットフォームがソフトウェアを動かす為に必要、というように、ソフトウェアはインフラやプラットフォームをもとに実際に動くものとなります。

さて、ここまで長々とお話をしてきましたが、ここから本題です。「オンプレミスをクラウド化する」とは。これには先ほどお話ししたPaaSが深く関わってきます。

コンタクトセンター業界ではCPaaSという概念が最近よく耳に入るようになってきています。CPaaSはCommunications Platform as a Service、つまりコミュニケーションのプラットフォームをネットワーク経由で利用するということです。コミュニケーションのプラットフォームと言っても様々ですが、この場ではPBXに焦点を当てたいと思います。

まずは「オンプレミスをクラウド化したPBX」と「通常のクラウドPBX」をそれぞれ図にしたいと思います。


このように両者には実はそれほど大きな違いがありません。ただし、図の通り、クラウドPBXは「PBXそのものをGoogle等のプラットフォーム上に置いている」一方で、オンプレミスをクラウド化したPBXは「PBXは外部のサーバー置き場に置いている」状態となります。

Googleのプラットフォームも突き詰めれば、どこかにサーバーはあるわけですが、クラウドPBX提供事業者はそのサーバーの調達や置場、保守費用などはかかりません。しかし、オンプレミスをクラウド化し提供する事業者は別途、オンプレミスを提供している会社への費用やサーバーを置場への費用、保守費用などが事業者側に発生します。

その分費用はかさみますが、大手オンプレミス提供事業者のPBXを、実際に使用する際は身近な別の事業者から提供される安心感があるといったメリットがあります。

ここまでクラウドとは?から始まる疑問についてお話してきましたが、実はここまでお話しした定義は非常に曖昧で話者によって少しずつ意味合いが異なったりします。

「クラウドがさ~」と誰かが話し始めたら、「それは何を指しているクラウドかな?」と聞いてみてください。自分の理解にもつながるでしょうし、話のずれもきっと軽減されるはず。

そこで曖昧な回答が返ってきたら、私の中ではこういう定義なのだけど…と、この記事を頭の片隅にでもとどめながら、お話ししていただけたら嬉しく思います。


関連記事