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コムズカシイACD(Automatic Call Distribution)をバナナとサルで読み解く
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DIGITAL

小笠原大介

2021.08.18

セミの声が本格的になり、夏男としては冷房の効いた室内でのスポーツ観戦より、自分がアスリートになった気になり灼熱の中でも走り回りたい気分になります。通勤途中も横断歩道がハードルに見えて急に走り出しますね!

そんな夏の醍醐味はカブトムシですが、バナナトラップというステキな技を知りまして、この週末試してみるところです。

バナナといえば、かつてコールセンターの1機能であるACDをバナナとサルとの関係で説明したことがありますので、それをご紹介したいと思います。

ACDの概念

ACDそのものはAutomatic Call Distributionの略で、日本語ですと「自動呼分配」などと呼ばれます。

コールフロー全体を通じた言葉として話されることもありますし、オペレーターに着信させる方法として説明されるときもありますが、今回は下の図の青マル部分の最後の着信方法にフォーカスしてお話しします。


先ほどのバナナとサルの話はここでは「バナナ理論」と呼ぼうと思います。
そして前提として、本日の話は、動物園でサルに満足してもらうには?というテーマで考えていきます。


サルはバナナ好きという仮定のもと、この絵のようにサルにバナナを食べてにっこりしてもらうためには、どのような策があるのか?

そうです。バナナをあげればいいんですね。

あたりまえのことを言ったにすぎないような流れですが、サルは自分ではバナナの”ありか”を知らない場合は、バナナをあげられる飼育員を呼んであげればサルはハッピーになります。

このバナナを食べたいサルと、サル担当飼育員をマッチングしてあげるのがACDの根本的な考え方になります。


ただ、もしかしたらサル担当飼育員は弁当を食べに行っているかもしれない、休みかもしれない、と常に餌をあげられる状況にないということがあるかもしれません。飼育員にとっては不幸なことにやりたくないワニの餌やりに無理やりつきあわされているかもしれない。
サルを担当できる飼育員が一人しかいない状態が、実はサルが「キー」となっている要因かもしれません。

つまりは、サルにとってハッピーなこと、飼育員にとってハッピーなこと、「それをどう実現するのか」、「最適な方法は何なのか」を考えていくことが必要になります。

ACDのあれこれ

ACDそのものはコールセンター用語となりますが、その概念が生まれて活用されるまでの歴史の中では、電話を振り分けることを人がやっていたこともあります。
このようなお仕事は、電話交換業務と呼ばれていたり、近年でも百貨店のように各テナントに電話を取り次ぐようなこともありますね。

電話交換機業務は、「あの、この前買ったふわふわの白いパンみたいな・・・」とか、「去年も今頃にやっていたイベントは・・・」のような過去のなんとなくの記憶から売り場を特定して適切にテナントに導いたり、催事場などの案内を行う神業が必要だったりします。

さて、歴史を紐解きますと、コールセンターが生まれる前の、いわゆるオフィスですべての電話を受けていたような時代は、代表電話にかかってきた際に複数の電話機を一斉に鳴らす、という機能を使っていました。
今もこのような方法で電話が鳴り、取れる人が電話を取るという運用をされているセンターもあるかと思います。

ちょっと横道にそれますが、オフィスでの代表電話という考え方と異なる方法に、「ダイヤルイン」というものがあります。社員1人1人が、直通の電話番号を持つ方法です。近年は、携帯電話を持つことが多くなってきたこともあり、また、コロナ禍の最近では在宅勤務も増えていることから、あまり見られなくなってきた傾向もあるように感じますが、個人に重きを置く外国や外資系企業などではまだまだ多いと思います。

このケースの場合、電話を架ける人は、その個人に用事があって架けるので連絡しやすいメリットはありますが、1人に対して1番号が振られているため、その個人が不在であれば電話を取ることができません。よって連絡がつかなくてイライラしてしまうこともあるかもしれません。

コールセンターでのACD

さて、話をACDに戻しまして、コールセンターでも昔のように電話を一斉に鳴らすという着信方法をACD機能の一つとして提供することがあります。

この場合、オペレーターが自ら受話器に走って取りに行く方法なわけですが、この取り方には「ハントグループ」という言葉があります。Hunt Groupで狩りグループですね。
電話という獲物を涎(よだれ)をだらだら流しながら待ち構え、鳴った瞬間に皆がワッ!!って、飛びかかる。
・・・・・・・実際にはそのようなオペレーターは稀有で、ちょっと電話対応に疲れたり、次は誰か取ってくれるよねー(心の声)になったりしているのが現実でしょうか。

この方法は物理的に電話が鳴るのでさすがに鳴っているものは取ってしまうということで、結果として取りっぱぐれがない、という声も聞きますが、上記の心の声のように不平等感が生まれてしまう可能性もあります。

なお、ハントグループは、1つの内線グループのようなもので、そこに所属する内線番号5001、5002、5003の電話機を一斉に鳴らしたり、順番に鳴らしたりと、これも振り分け機能の一つとして活用が可能です。

また、エスカレーションされる際にSVグループをつくって転送先に指定することで、転送効率をあげることも可能になります。

そんなことで心の声をしっかり聴いて、平等に割り振っていきましょう、というのが最初のACDです。

ただ、この平等にというのがまたやっかいでして、、。
例えば、話し好きなお客様に当たって1時間ほど通話が続く場合もあれば、「間違えました」と3秒で通話が終わることも現実にはあります。1時間お話しにお付き合いした後に、「順番だから」いう理由ですぐに次の電話がきたら「嘘でしょ!?!?」って顔を私だったらしますね。

そこで、稼働時間を加味して振り分けていく、という発想のACDも生まれています。
稼働時間を通話時間のみで見るか、後処理時間も含めて見るかなど、センターによってその考え方も異なるでしょうし、システム側もどこまでを稼働時間として加味できるかで、提供可否が分かれていたりします。

そして、次に挙げられるのが、スキルという考えを加えた振り分け方法です。

冒頭に紹介したバナナ理論は、このスキルベースの話につながります。
おサルさんがバナナをもらったのはサル担当飼育員ですが、それ以外にワニ・トラ担当飼育員と栄養士がいます。
それぞれ自分が担当できる範囲が決まっているのですね。その担当範囲がスキルという考えに通じます。
サル担当にワニが急に来たら逃げますよね。ワニが来るなんて思ってもいないのでどう対処したらいいかわからないですし、そこにトラも来るかもしれないのです。

この飼育員の担当範囲、コールセンターであればオペレーターの持っているスキルによって電話を割り振っていく考えがスキルベースルーティング というものになります。

今や多くのコールセンター機能を有しているPBXは、スキルベースで着信させることは可能になっており、そのスキルを複数持つことも可能です。

先ほどの例でいえば、ワニ・トラ担当の方はワニでもトラでも大丈夫です。複数のスキル対応可能な方がいるとワニ・トラはもっとハッピーになりやすいかもしれないですね。そして複数スキルを持っている人は、どちらをより強みとするかを決めることも可能です。ワニよりはトラのほうが動物園に来園する客も喜ぶので、よりトラに力を注ごう、というようなことができます。

ここまでくると、センターとして顧客体験をどうしようか、どのような顧客サービスを提供しようか、ということが議論され、方針が固まり、皆さんに共有されているセンターがほとんどなのではないかと想像します。

そして、そのもう一歩進んだ考えになると思うのが、顧客の属性などによって振り分け方法をかえる方法です。

呼び方はいろいろありますが、DBルーティングなどと言われることもあります。
IVRを活用し、会員番号を入力してもらい誰かを特定したうえで、その方がVIPクラスだったらVIP対応のオペレーターにつなげよう、というようなものが一例です。またVIPであったら着信順番をかえる、というようなことも技術的には可能になります。


どっしり構えたゾウさんがようやく待ち行列の先頭に来ましたが、ガオガオ吠えているライオンを優先したり、首を長く待ち続けているキリンの前にコアラが割り込んだり、といった具合です。

上の図ですと一列ですが、実際には待ち行列が分かれたり、スキルを変えたりといった工夫が必要になります。
ここまでくるとシステム的にもPBXのみで実現できるわけではなく、IVR活用や顧客情報が集約されているCRMと連携して実現させる世界になってきます。


ご紹介した振り分け方法を並べてみると、上の図のイメージかと思います。着信方法ひとつをとってもいろいろな選択肢があります。
いくつか特有の言葉もご紹介しましたが、システムを提供している会社によって言葉の使い方や実現できる方法に違いがあります。

大事なのは言葉に惑わされて、「できる」「できない」を判断してしまうのではなく、ACD機能で実現できることを理解し、センターとしてどのような方法で着信させると、顧客サービスとオペレーター支援を両輪で実施できるか。
その考えを持つことではないかと思います。


次回はこのような機能があることを前提に、顧客体験に直接関係のあるコールフローについて触れてみたいと思います。

当社では、クラウド型IP-PBXを基盤としたコールセンター向けトータルテレフォニーソリューション「Omnia LINK(オムニアリンク)」をご提供しています。
基本の通話・管理機能はもちろん、AIを利用した通話音声のリアルタイムテキスト化や、FAQリコメンデーションなど次世代機能を提供します。在宅コールセンターにも対応しています。

以下のようなお客様にお勧めです。
 ・オンプレ型のPBXからクラウド型に移行したい
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https://www.bewith.net/gemba-driven/download/entry-126.html


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