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「自由が幸せだとは限らない」放浪者ロボットを出さない為に

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RobotA

2021.07.21

不自由さは大きなストレスに?

「自由だー!」
こんなことを言っている人がいたら、ある種の憧れのような感情を抱きませんか。

誰しも「明日も学校があるから〇時までに寝なさい」とか「目が悪くなるからゲームは〇分までにしなさい」と小言を言われ、もっと自由にできたらと考えた経験があるのではないでしょうか。私も一人暮らしを始めた時に「なんて素晴らしいんだ。」と自由を謳歌したものです。

話は変わりますが、「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府)」第3回調査結果が公表されていました。以前の記事でも同調査に触れましたが、今回の調査で前回までなかったある項目に目がとまりました。「コロナ疲れ」です。この調査によると、全体の70%を超える多くの人が「コロナ疲れ」を感じているとのこと。


※引用元 内閣府「第3回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」

「コロナ疲れ」とは何でしょうか。明確な定義はないようですが、

  • 手洗い・マスク着用、社会的距離の確保、三密回避などの感染対策の徹底
  • 不要不急の外出・都道府県を跨ぐ移動の自粛、海外渡航時の入国制限
  • 緊急事態宣言等による店舗の時短・休業、会食時の人数・時間制限
  • コンサート・イベント等の開催中止や延期、無観客開催 など

働き方の変化などニューノーマルへの転換は急務だと言われて久しく、誰しも安心・安全のための感染対策などは日常化していることを感じていると思います。しかし長期化する行動制限による不自由さのストレスはなかなか慣れません。私たちは当たり前のように知人にいつでも会えるし、行きたい場所へ行けるといった自由が保障された環境で暮らしていましたが、コロナ禍での不自由さは多くの人のストレス要因となっているようです。

自由は必ずしもポジティブに使われない

では「野良〇〇」と聞くとどうでしょうか。「野良ネコ」には自由なイメージがあるのではないでしょうか。野良には、自分の思うままに自由に振る舞うこと、という意味が含まれています。
はたまた近年よく聞く言葉である「野良アプリ」「野良Wi-Fi」はどうでしょうか。危険でネガティブな印象になると思います。

RPA導入における課題にも「野良ロボット」と呼ばれるものがあります。これもポジティブな意味での自由さはなく、様々な問題を引き起こすと言われています。

野良ロボットが引き起こす問題(例)

  • 他システムへ不要な負荷をかけてしまう
  • 誤ったデータへの書き換えや不要なデータを登録してしまう
  • 本来開示してはいけないユーザへ情報を開示してしまう など

「野良ロボット」とは管理者不在のRPAロボットです。RPAは高度なプログミング知識を必要としない環境が整備されている事もあり、RPA推進部門やIT部門ではなく各部門の現場で導入されているケースがあると思います。しかしロボットの存在や動作をRPA推進部門が把握できておらず、現場担当者の異動や退職、繁忙などにより新たなルールやシステム更新などのメンテナンス対応が行われないと「野良ロボット」は誕生します。

では「野良ロボット」対策はどうすれば良いでしょうか。


RPAロボットは仮想知的労働者(Digital Labor)と、あたかもヒトかのように呼ばれることがあります。そう呼ぶのであれば、多くの企業で入社手続による人材管理や人事制度により社員の処遇や働き方を定めることで「野良社員」問題が発生しないように、RPAロボットもその存在を管理し、ルールを決めることで「野良ロボット」を生まないようにすることができます。

RPA開発ルールを考えてみよう

プログラムやシステムを開発する際にプログラマーが守るべきルールを定めたコーディング規約という文書があります。RPA開発も標準的な作り方である開発ルールを決めることは「野良ロボット」対策のみならず、誰が見ても理解しやすく保守や機能改修の効率性を高めるとともに、ルールに則することで自然と不具合が生じにくくなるメリットがあります。

今回は開発ルールを決めるための参考情報としてUiPath社が無償公開している「UiPathコーディング規約」やRPAプロジェクトやワークフローのセルフチェックパッケージである「UiPathデリバリーアセスメント」をご紹介します。

※ UiPathコーディング規約
※ UiPathデリバリーアセスメント

私たちもRPAロボットの保守性と品質の向上を目的にこれらを利用しています。具体的には、次の通りです。


一般的なコーディング規約と比較して少ないものの「UiPathコーディング規約」はPDFファイルで50頁超の情報量です。特に現場でRPA開発されている方には、ハードルが高いかもしれません。そんな場合は「デベロップメントアセスメント」のツールによるチェックを試してみてはいかがでしょうか。本ツールでは「UiPathコーディング規約」に基づき自動でチェックし、その結果をレポートしてくれます。
※「UiPathデリバリーアセスメント」には、RPAプロジェクト管理を目的とした「プロジェクトマネジメントアセスメント」も含まれます。機会があれば別途触れたいと思います。

レポート:WFシステムの申請データから添付書類を取得し保存するRPAロボット

➡ 開発直後のレポート:163項目が指摘事項


↓ 指摘事項を確認し、RPAロボットを修正

➡ リリース直前のレポート:108項目の指摘事項


「ルールに基づきチェックし、問題がないロボットのみリリースしています。」と説明したわりには指摘事項は残っています。これは必ずしも「UiPathコーディング規約」に準拠する必要はないからです。

例えば「UiPathコーディング規約」の命名規則(プログラミングを行う際にソースコード上の識別子(英: identifier)の名称となる文字列を決定するためのルールを定めたもの)では日本語を推奨していますが、他言語のコーディング規約と整合させるために、我々はこれを問題ないものとルール化しています。このように指摘事項に対して修正するかしないか、また何故修正しないかを考えることでルールを決めていくアプローチもあります。

「自由が幸せだとは限らない」

そう言えばいつの日からか、WEB会議の背景を「どこでもドア」にしていました。「コロナ疲れ」からくる自由への渇望かも知れません。自由にはネガティブな側面もあるものです。

本記事のタイトルは、有名な絵本に登場する自由に旅することを愛する放浪者的キャラクターの言葉です。
今回の記事がRPA開発の現場へ放浪者ロボットをリリースしない取り組みの一助になれば幸いです。


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