ユニゾンコネクト お役立ちコラム③

eKYCとは?
導入する企業が増加している理由や、
4つの方式、メリット、
注意点をご紹介!

最近、「オンライン上で電子的に本人確認を行う仕組み」を意味する「eKYC」という単語を見聞きした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。顧客と事業者の双方にとって多くのメリットがあることから、さまざまなサービスで導入されるようになりました。
本記事では、従来のKYC(「対面」や「郵送」での本人確認)から、eKYC(オンライン上での電子的な本人確認)への移行を検討している企業に向けて、「eKYCがどのようなものであるのか」や「eKYCの4つの方式」「eKYCのメリット」「eKYCの注意点」について詳しく解説します。そのうえで、eKYC機能が搭載された「オンライン接客/電子契約システム」もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

eKYCとは?

eKYCについて説明する前に、まずKYCの説明をします。
KYCとは「Know Your Customer」の略です。日本語では「本人確認」と呼ばれており、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法)によって、以前から銀行や証券会社などに対してはKYCを実施することが義務付けられてきました(法律で義務付けられていなくても、顧客の素性を把握するために自主的に実施しているケースも存在)。
最近になって見かける機会が増えたeKYCとは「electronic Know Your Customer」の略であり、従来のKYC(対面や書類の郵送による本人確認)と異なり、オンラインで電子的に本人確認を実施する方法です。最近、さまざまなサービスの契約で、eKYCが利用されるようになってきました。

eKYC(電子的な本人確認)を導入する企業が増加している理由

従来のKYCでは「窓口での対面確認」や「郵送による確認」といった手続きが必要であり、顧客・事業者の双方にとって時間・労力がかかることがデメリットでした。
この状況を変えるきっかけとなったのが、2018年11月の「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則」(犯罪収益移転防止法施行規則)の改正です。本人確認を実施する手法が追加されたことにより、現在はオンライン上で電子的に本人確認を完結させること(eKYC)が可能になりました。

eKYCなら、対面での手続きや書類の郵送が不要なので、契約に要する時間が大幅に短縮されます。顧客は、交通費や時間をかけて窓口に出向く必要がありません。事業者は、対面確認を実施するための人的コストを削減できます。
スムーズな手続きが実現されることで、「手続きに時間がかかって面倒なので、契約をやめよう」という気持ちになりにくく、顧客の離脱を防げるため、契約数・売上を伸ばすためにeKYCを導入する企業が増加中です。

eKYCには、4つの方式がある

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以下は、現行の犯罪収益移転防止法施行規則で認められている4つの方式のeKYCです。

  • 「本人確認書類の画像」と「本人の顔画像」で本人確認を行う方式
  • 「本人確認書類のICチップ情報」と「本人の顔画像」で本人確認を行う方式
  • 「金融機関への顧客情報の照会」などによって本人確認を行う方式
  • 「公的個人認証サービスの署名用電子証明書」によって本人確認を行う方式

各方式について詳しく説明します。

「本人確認書類の画像」と「本人の顔画像」で本人確認を行う方式

「犯罪収益移転防止法施行規則6条1項1号ホ」において、「本人確認書類の画像」と「本人の顔画像」で本人確認を行う方式が定められています。
スマートフォンだけで完結できるため、顧客の利便性を考えて、この方式を多くの事業者が導入しています。サービスによっては、カメラ付きのパソコンでも実施可能です。
この方式では、専用のソフトウェアを用いて、「本人確認書類と顔を別個に撮影」または「本人確認書類を持った状態で顔を撮影」し、一致すれば本人確認が完了します。

eKYCのシステムを提供している業者は、「他人の顔写真の無断使用」「Deepfake技術によって生成した動画によるなりすまし」などを防止するための技術を研究・開発し、さまざまな対策を講じているので安心・安全です。
具体的には、ランダムに指示(「首を傾けてください」「笑ってください」「手を顔に添えてください」など)を出し、それに従うかどうかをチェックしたり、撮影時のフラッシュによる明度変化を解析したりしています。

「本人確認書類のICチップ情報」と「本人の顔画像」で本人確認を行う方式

「犯罪収益移転防止法施行規則6条1項1号ヘ」において、「本人確認書類のICチップ情報」と「本人の顔画像」で本人確認を行う方式が定められています。
この方式では、まずスマートフォンやICカードリーダーによって、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)の券面に搭載されている「ICチップ」に記録された電子情報(氏名、生年月日、住所、顔画像など)を読み取ります。
そのうえで、専用ソフトで本人の顔写真を撮影してICチップ内の顔画像と一致すれば本人確認が完了するため、本人確認書類を撮影する手間を省くことが可能です。ただし、ICチップの読み取りに対応したスマートフォンまたはICカードリーダーを持っていなければ、本人確認を行えません。

「金融機関への顧客情報の照会」などによって本人確認を行う方式

「犯罪収益移転防止法施行規則6条1項1号ト」において、「金融機関への顧客情報の照会」などによって本人確認を行う方式が定められています。
顧客に「本人確認書類の画像」または「ICチップの情報」を送信してもらってから、同意を得たうえで銀行などに顧客情報を照会し、情報が一致すれば本人確認が完了する方式です。
なお、銀行などに照会する代わりに、「顧客名義口座への少額振り込み」および「インターネットバンキングの取引明細画面のスクリーンショット画像の送信」でも実施可能とされています。

「公的個人認証サービスの署名用電子証明書」によって本人確認を行う方式

「犯罪収益移転防止法施行規則6条1項1号ワ」において、「公的個人認証サービスの署名用電子証明書」によって本人確認を行う方式が定められています。
顧客に「公的個人認証サービス(マイナンバーカード)の署名用電子証明書」を送信してもらう方式です。署名用電子証明書を発行している「地方公共団体情報システム機構」に照会して電子署名を検証し、改竄・なりすましがないことを確認できれば本人確認が完了します。
「マイナンバーカード発行時に設定したパスワード」を用いるため、不正防止という観点では強度が高いものの、「ICチップの読み取りに対応したスマートフォンまたはICカードリーダー」がなければ本人確認を実施できません。

eKYCのメリット

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以下は、eKYCのメリットです。

  • スピーディーに本人確認の手続きを行える
  • なりすましによる不正行為を防止しやすい
  • 書類を保管するスペースを確保しなくて良い

それぞれについて詳しく説明します。

スピーディーに本人確認の手続きを行える

従来のKYCを実施する場合、「対面での手続きや書類の郵送に時間・労力がかかりすぎるから、途中で断念する」という方が、どうしても一定数発生してしまいます。eKYCなら、「対面で係員に本人確認をしてもらうために実店舗の窓口に出向く」「郵送でやり取りする」といった手間がかかりません。
インターネットに接続できる環境とデジタルデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレット、ICカードリーダーなど)があれば、短時間で本人確認の手続きを完了できるため、「契約したい」という気持ちになった顧客を離脱させにくくなるでしょう。
また、契約業務を遂行する場所をコンタクトセンターに集約でき、各店舗や事務所のスタッフを別の業務に回すことが可能になるのも利点といえます。

顔認証技術で、なりすましによる不正行為を防止しやすい

顔認証技術とは、スマートフォンなどのカメラで撮影した画像から「顔」を検出したうえで、目・鼻・口の位置、凹凸、傾きといった特徴を、あらかじめ登録されている画像(本人確認書類の画像)と比較して「本人であるかどうか」を判別するテクノロジーですが、近年、精度が著しく向上しました。

ちなみに、「左右の目の虹彩」についても分析するシステムの場合、エラー率が100億分の1以下の認証精度になっています。
現在、顔認証技術は、eKYCのほか、「入退館管理」「セルフレジ」などでも活用されています。システムによっては、「マスクを着用して、口元が隠されている人物」であっても顔認証が可能な水準にまで進化しました。このようなテクノロジーの進歩を踏まえれば、もはや人間が目視で判断するよりも、顔認証システムに照合させるほうが正確に判定できる時代になったといえるでしょう。

対面での本人確認(KYC)では、メイクなどで印象が変化すると、「目の前にいる人物が、本人確認書類の写真の人物と同一なのかどうか」を容易に判別できないケースもあります。また、健康保険証など、顔写真が付いていない本人確認書類を提出された場合は、そもそも顔面形状での照合は行えません。
「顔写真付きの本人確認書類」や「専用ソフトウェアで撮影した本人の顔画像」「マイナンバーカードのICチップ情報」などが利用されるeKYCであれば、顔認証技術による照合や署名用電子証明書の有効性チェックなどによって厳格な本人確認が可能であり、なりすましによる不正行為を防止しやすくなります。

書類を保管するスペースを確保しなくて良い

従来のKYCでは、顧客から預かった書類を保管するための専用スぺースの確保や、火災や自然災害、盗難などに対する対策(「燃えにくい素材で作られたキャビネットや建物を選ぶ」「個人情報が流出しないように、鍵を取り付ける」「監視カメラを設置する」など)が不可欠です。また、書類の整理をする要員も確保する必要があり、コストがかかりました。
eKYCなら、電子的なデータの送受信・保管をするためのストレージ(あるいはクラウドサービス)や、情報セキュリティ対策は必要になりますが、物理的な保管庫は不要です。eKYCを導入すれば、オフィスの賃料などを低減でき、コスト削減につながります。

eKYCの注意点

eKYCにはメリットだけではなく、以下に示すように、注意するべき点もあることを認識しておきましょう。

  • システムを導入・運用するのにコストがかかる
  • 厳格なセキュリティ対策を講じなければならない
  • eKYCに対応できない方が一定数存在する

各注意点について詳しく説明します。

システムを導入・運用するのにコストがかかる

eKYCを実施するのであれば、「本人確認書類の画像」や「本人の顔画像」を顧客に撮影・送信してもらったり届いた画像データを照合したりするための専用システムを導入しなければなりません。
また、「公的個人認証サービス(マイナンバーカード)の署名用電子証明書」を利用する場合は、署名用電子証明書の有効性をチェックするためのシステムも必要になります。
そのため、ある程度の導入コストやランニングコストがかかることを認識しておきましょう。なお、「時期によって業務の繁閑に大きな差がある」という場合は、コストを抑えるために、固定料金制よりも従量課金制のサービスを選ぶことをおすすめします。

厳格なセキュリティ対策を講じなければならない危険性

eKYCでは、「氏名」「年齢」「住所」「電話番号」などに加えて、「顔面の形状」という生体情報を取り扱うため、厳格なセキュリティ対策が必須になります。
生体情報(顔面形状、指紋、虹彩など)は、自由に変更できるIDやパスワードとは異なり、基本的に一生涯変更することができません。そのため、何らかの理由で外部に流出し、悪意を持った人物・集団に入手されてしまうと、その後、何十年にもわたって悪用され続けるリスクが生じます。

万が一、情報漏洩が発生すると、被害者の人数によっては巨額の損害賠償を余儀なくされる場合もあるでしょう。企業の信用が悪化し、ブランドイメージが毀損されることにより、顧客が離反したり従業員を新規に採用しにくくなったりする可能性もあるのでご注意ください。
システム面でのセキュリティ対策だけではなく、事前にスタッフに教育・研修を実施し、組織全体の情報リテラシーやモラルを向上させることも不可欠です。「顧客の個人情報が漏洩する」という事態を防ぐために、万全の対策を講じましょう。

eKYCに対応できない人が一定数存在する問題

「運転免許証やマイナンバーカードのような顔写真付き本人確認書類を持っていない」「スマートフォンやICカードリーダーを持っていない」「顔画像を撮影・送信するのに抵抗感がある」「専用アプリのインストールを行えない」といった方も、高齢者を中心として一定数存在します。そのような方は、eKYCに対応できず、離脱してしまうかもしれません。

ちなみに、2023年4月末時点においては、マイナンバーカードの交付枚数が8,700万枚を突破しています。多数の国民が取得していますが、人口の3割程度は依然としてマイナンバーカードを持っていないことにご注意ください。
現状では「健康保険証しか本人確認書類を持っていない」という方も、ある程度存在します。そのような方も自社の顧客として取り込みたいのであれば、eKYCのみに一本化するのではなく、従来のKYCも選択できる体制を整備しておくほうが良いでしょう。

eKYCを実施するなら、「UnisonConnect」が
おすすめ

UnisonConnectとは、ビーウィズが提供する「オンライン接客/電子契約システム」です。犯罪収益移転防止法をはじめとした各種法令に耐えうる厳格な仕組みが構築されており、「身分証明書の画像」および「本人の顔画像」を撮影することで、オンライン上での電子的な本人確認(eKYC)を実施できます。

「商談」「本人確認」「契約」に関する機能がオールインワンで搭載されており、業務をすべてオンラインで完結することが可能です。移動時間や交通費、郵送費などのコストを削減できるので、ぜひ導入をご検討ください。

賃貸物件の契約など、業務内容によっては「店舗や拠点ごとに有資格者を配置して顧客に説明しなければならないけれども、人員が足りない」とお悩みの場合があるかもしれませんが、UnisonConnectでオンライン化すれば、1つの拠点(コンタクトセンター)から全国の顧客に対応できます。

顧客にとっても「来店する時間・労力が省け、利便性が高まる」というメリットがあり、「手続きに手間がかかる」という理由による離脱を防止しやすくなるでしょう。

UnisonConnectには「画面共有機能」「チャット機能」など、コミュニケーションをサポートする機能が搭載されており、口頭だけでは伝わりにくい内容も、直接対面で膝を突き合わせて同じ資料を確認するような感覚で分かりやすく説明できます。

「かんたんWebフォーム作成機能」が搭載されていることも魅力です。ノーコードで申込書などの電子フォームを作成できるので、オンライン化に伴う現場の負担が軽減されるでしょう。

そのほか、業務フローを表示する「タスクリスト機能」や、商談数・商談時間・完了率などを多彩な切り口で集計できる「ダッシュボード作成機能」、情報漏洩を防止するために画面共有する資料を管理者が制限できる「誤送信防止機能」など、スタッフを支援する機能も充実しているので、業務効率化や応対品質向上の実現にお役立てください。

なお、UnisonConnectでは、従量制の「トランザクション課金」を採用しています。使用した分だけ料金がかかる仕組みなので、業務の閑散期のコストを抑制できるでしょう。

まずは公式サイトから資料をダウンロード・閲覧したうえで、不明な点がある場合は電話(0120-936-080、受付時間:平日9時30分から18時30分まで)やお問い合わせフォームでお気軽にご質問・ご相談ください。

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