気になるを解決! お役立ちコラム

【6コールめ】研修初日の自己紹介 何事も最初が肝心って事ですね。

更新日: 公開日:

紆余曲折あったけど化粧品コールセンターで勤務する事になった私。その入社初日の研修は意外な流れで始まった。

集合場所の喧騒とロッカー騒動はありつつも、どうにか参加できた業務研修。私にとってコールセンターは未知の世界。断然不安の方が大きくて、あれやこれや考えてしまう。研修日程は5日間×8時間の計40時間。結構な長丁場。ちょっとした夏期講習か免許の合宿くらいある。一体どんな研修が始まるのやら。

不安な気持ちで研修室に入った瞬間に漂ってきた化粧品のよい香り。テーブルの上にはメイク落としから洗顔、化粧水から乳液、クリーム、メイク用品などがきれいに並んで、まるでメイクルームのようだ。完全に出鼻をくじかれた。同時に「あ、私は化粧品の仕事をするんだ」という現実感もやってきた。

そしてキラキラした化粧品を前に入ってきた研修講師の子安さん。背筋がピンと伸びてきれいな姿勢。奥ゆかしい顔立ちにほどよく映えるメイク。そしてハキハキした話し方。さすが化粧品の仕事に従事する方だ。きっと美容部員さんなんだろうと思ったら、なんとコールセンターのSVさんだというじゃないか。。。

化粧品のセンターに配属されるまではインターネットのカスタマーサポートセンターで3年間勤務して、そこから異動になったそうだ。それまで化粧品の仕事に携わった経験は皆無というから驚きだ。化粧品のコールセンターで働いていると、あんな風にステキになれるって事?この研修や仕事にはその秘密が隠されているのかもしれない。俄然興味がわいてきた。

そんな中で始まった研修。初っ端から知識をパンパンに詰め込まれるのだろうと覚悟していたけど、研修を受講するスタッフの自己紹介からゆるやかに始まった。しかも、自己紹介に加えて今年に入って一番嬉しかったエピソードも話すというだいぶフレンドリーな形式。ちょっとだけ気が楽になった。

でも、人見知りで引っ込み思案な私にとってはやや逆風。自己紹介だけでも敷居が高いのにエピソードトークは結構な難易度だ。全然思い浮かばない。。。しかも、こういう時に爪痕を残そうとすると大体スベって大けがをする。結婚式のスピーチと一緒。笑いのツボも感覚もわからない初対面の人たちの心を掴む事は簡単じゃない。ここは冒険せずに無難にまとめよう。

受講者は10人。座った席順に発表することになって、なんと私は一番最後だ。え?大トリ?お笑いのネタ番組なら大御所の漫才師が社会派ネタで切り込んで爆笑を勝ち取るポジションだ。わたしには到底そんな実力はない。勝手にプレッシャーを感じてしまったが、研修初日で誰もそんな事を期待していない事に気付いてホッとした。まずは他の人の発表を聞いて様子をみよう。

トップバッターの戸部さん。居酒屋とのダブルワークだそうだ。気になる一番嬉しかったエピソードは、お姉さんに子供が生まれて、初めて赤ちゃんの手を握った事だそうだ。話が終わるやいなや、研修室が拍手と共に温かい空気に包まれた。いきなり正解が出てしまった。M-1だったら間違いなく決勝の3組に残るやつだ。

続く鈴木さんは劇団員。どおりで声が通るわけだ。声量が違う。しかも、次回の公演で準主役に初めて選ばれたという大ネタを投下してきた。当然ながら研修室は拍手の嵐。やられた。いや、何もやられてはいないのだけど、またしてもハードルが上がってしまった。この流れが続いたら、、、考えただけで恐ろしい。

でも、その後の自己紹介は一転して落ち着いて安定ムード。緩やかな話が続いて一安心。このまま平穏に自分の番が回ってくる事を祈っていたけど、直前の杉田さんの自己紹介で事態は荒れ模様になる。

なんでも中学校のPTAの役員をしているそうで、どれだけ大変な役割なのかを面白おかしく語り出した。その軽妙な語り口は関西の大物女性芸人さながら。研修室はどんどん引き込まれていき、まるで独演会だ。R-1かTHE Wで3回戦くらいまで進んでもおかしくない。聞き惚れていたら、いつの間にか私の番が回ってきた。

大したネタも思い浮かんでなかったけど、杉田さんの話術に引き込まれて、それまで考えてきた事が全部飛んでしまった。でも、頭の中ではM-1の出囃子が鳴り響く。何か話さないと。そう思って口をついて出てきたのは、「一昨日、コンビニでガリガリ君を買ったらアタリが出たんですけど、コンビニでアタリの交換って、そもそもアリなのか不安になってしまって、勇気が出なくてアタリの棒をまだ持ってます」と小学生低学年のようなありふれた日常をさらけ出してしまった。

誰もがリアクションに困って一瞬だけ静寂が訪れた。でも、そこはさすがSVの子安さん。うまく機転を利かせて「ガリガリ君のアタリをコンビニで交換するのはアリか?ナシか?」というアンケート方式に持ち込んでくれた。そのおかげで、研修室はそれなりに盛り上がって研修の本編へと進むことが出来た。初日の研修開始直後にして、いきなり子安さんに助けられた。あの風貌にして、巧みなファシリテーション力。恐るべし。自分の不甲斐なさには少々落ち込んだけど、ますます子安さんに憧れを抱いた。

この初日の自己紹介。全員で一番嬉しかった事など、何らかのエピソードを話すのは、アイスブレイクというらしい。研修やミーティング、商談など、初対面の人が集まって話をするときに、本題と関係のない雑談やゲームを挟む事で、緊張が解れて、話しやすい雰囲気が出来てくるそうだ。その効果はてきめん。それまで険しかったみんなの顔が少しほぐれて笑顔になったし、研修室の風景さえちょっと明るく見えた。

しかも、アイスブレイクの効果はそれだけでなかった。一瞬にして顔と名前、その人のイメージが結びついた。戸部さんは元気一杯の居酒屋店員、鈴木さんは声量のある劇団員、杉田さんはしゃべくりが流ちょうなPTA役員。その強弱はあるけど、その他の受講生の方だってみんなそうだ。

そんな中、私はというと、当然ながら「コンビニでガリガリ君を買う人」というイメージがすっかり定着した。そのおかげで、お昼休みや帰り際に「私はコーラ味が好きです」とか「話を聞いたら食べたくなったから帰りにコンビニ寄ってみる」とか同期と話すきっかけを作ってくれたとひそかに感謝している。

そして後にプライベートでも一緒に出掛けるようになる戸部さんは、私の事を「ガリガリ君」と呼び始めた。それが仲良くなるに従って「ガリガリさん」→「ガリ子さん」→「ガリクソン」→「じゃがりこさん」→「じゃがバター」→「バタコさん」と愛を込めて呼んでくれた。もはや原型をとどめていないけど、時間が経っても私たちの脳裏に焼き付く自己紹介。同期で飲み会をする時にはだいたいその話題で盛り上がるし、すごいインパクトだなと改めて感じている。何事も最初が肝心って事ですね。さて、研修本番頑張ろう。

OSHIGOTOマートの
お仕事検索はこちら